フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットーとアンナのクヴァンゲル夫妻のもとに一通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置くというささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポの捜査がクヴァンゲル夫婦に迫りつつあった―。ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録から終戦直後に書き上げ、今世紀になって欧米でベストセラーとなった小説『ベルリンに一人死す』の映画化だ。
自ら映画化権を獲得し、資金の調達に奔走したのは元祖フェロモン俳優として知られるヴァンサン・ペレーズ監督。カトリーヌ・ドヌーヴと共演した「インドシナ」来日キャンペーン時、彼のフェロモンに悩殺されたファンから『目で妊娠させる俳優』と騒がれた。出演はエマ・トンプソン(「ハワーズ・エンド」でアカデミー賞主演女優賞)、ブレンダン・グリーソン(「未来を花束にして」)、ダニエル・ブリュール(「グッバイ・レーニン!」)ら。4月末には監督のプロモーション来日も決まっている。
「ヒトラーへの285枚の葉書」
7月8日、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
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