映画ライター、岡田光由氏がカンヌよりお送りする映画祭レポート第2弾。今回は特別上映作「無限の住人」でカンヌ入りした主演の木村拓哉、杉咲花、そして三池崇史監督の会見などの様子をお届け。
画像: フォトコールに応える「無限の住人」の杉咲花と三池監督 (c)Kazuko Wakayama

フォトコールに応える「無限の住人」の杉咲花と三池監督 (c)Kazuko Wakayama

映画祭2日目。日本では公開中の「無限の住人」が早くもカンヌの大舞台ルミエールで夜10時30分から正式上映された。上映前に三池崇史監督、木村拓哉、杉咲花に加えて映画関係者がレッドカーペットを歩いて会場へ。三池監督にとってカンヌは、コンペティション部門出品は「一命」と「藁の楯 わらのたて」だったが、近年は「愛と誠」や「極道大戦争」と招待上映が続いている。今回もその招待作品、つまりアウト・オブ・コンペティションに選ばれてのカンヌなのだ。映画の面白さを徹底的に追求する三池監督の魅力に、すでにカンヌ映画祭側も承知で、世界の映画ファンもジャーナリストたちにも人気が高い。
さらに今回の「無限の住人」は、原作となる漫画に惚れ込んだ三池監督が、主人公・万次を木村拓哉が演じなければ映画化しないとまで言った作品である。「日本のスーパースターでアイドルを長年続けて来た彼にしか、万次が抱える半端じゃない孤独は出せないでしょう」と記者会見で語った三池監督。「だから、この映画の一番の挑戦は、木村拓哉との対決です」ときっぱり。「彼はつまらないという瞬間を一度も与えなかったし、エンターテイナーとして素晴らしい現場をつくってくれた」と。
その木村も「沙村広明先生が漫画で作り出した世界観を壊さずに、自分たちの血肉で表現しなくてはと思ったし、観客にバトンをうまく渡せるか。そんなスタートラインに立つことが、僕の挑戦でした」と記者会見で語った。

画像: レッドカーペットを歩いた三池監督と杉咲 (c)Kazuko Wakayama

レッドカーペットを歩いた三池監督と杉咲 (c)Kazuko Wakayama

そして深夜1時近くに上映が終了して、会場からスタンディングオベーションをたっぷり受けた三人。ほっと一息ついたところで、木村が感想を述べた。「会場での身の置き方はフォーマルだったけど、観客の映画の観方はカジュアルでストレート。言葉や文字ではない、気持ちで皆さんが表現してくれた。すごく素敵な体験で嬉しかった」。共演の杉咲花は映画のヒロインと同じ赤い着物姿で、「初めて着物を着たんです。初めてのカンヌはとても緊張したけど、三池監督と木村さんの存在が心強かったです。映画同様に万次に守られていた気がしました」とはじかみながら答えた。
すると木村が「カンヌ前に市原隼人から、映画の一番の花形はお客さんですよ、と言っていたことが納得できました。これまで俳優としてレッドカーペットを歩くことがゴールかと思っていたけど、間違っていた。上映会場に入って、観客からの拍手がゴールだったんだとね」としみじみ。すでにウォン・カーファイ監督の「2046」で初カンヌ済みの木村だが、今回13年ぶりで、海外メディアからの取材も受けていて「もっと多くの人たちからそれぞれの視点で感想を聞きたい。そして心の中でもう一度カンヌに来られるように頑張りたい。一度きりのタキシードにしたくないですからね」と。(岡田光由)

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