映画ライター、岡田光由氏によるカンヌ国際映画祭レポート第6弾。コンペ部門にエントリーされている日本の河瀨直美監督の最新作「光」がいよいよ上映。現地にやってきた監督をはじめとするキャスト陣も、カンヌ独特の熱気に包まれながら、大歓声を浴びてパルム・ドールへの手ごたえを感じた様子。
画像: 記者会見に登壇した神野三鈴、水崎綾女、藤竜也、河瀨監督、永瀬正敏

記者会見に登壇した神野三鈴、水崎綾女、藤竜也、河瀨監督、永瀬正敏

ここカンヌで大いに気を吐いている河瀨直美監督は、まさにカンヌで見いだされ、育てられたカンヌの申し子。今回は「光」でパルムドールを狙っている。思えば「萌の朱雀」でカメラドール(新人監督賞)をいきなり受賞したのが97年。続いて「殯の森」でコンペティション部門のグランプリに輝いたのが07年ときた。すると今年17年はグランプリ以上だとパルムドールしかないのだ。

さてエントリーされた「光」は、映画の視覚障害者用音声ガイドに携わる若い女性(水崎綾女)と、徐々に視力を失いつつあるカメラマン(永瀬正敏)の出会いと交流を見つめた恋愛ドラマ。永瀬は前作「あん」に次いで二度目の河瀨作品出演。「河瀨直美の世界は役そのものを生きること。とてもスペシャルな場で、撮影のスタートという呼び声がかからない。いつでも演じていなくてはいけない」と永瀬は記者会見で明かした。

一方、水崎はオーディションで選ばれた新進女優で、採用の決め手は目。その大きくて強い眼差し、そしてその先にある“光”がヒロイン役に導いた。

そして河瀨作品初参加の藤竜也は、たまたまクラシック部門で主演作「愛のコリーダ」が上映され、フランスでは有名な俳優。彼の出演でより注目を浴びたい河瀨監督&澤田プロデューサーの読みがあったのでは。「彼女の演出はとてもユニーク。超人間的パワーを感じる。彼女の言葉で瞬時に彼女の映画の世界に引きずり込まれてしまう。またそこからなかなか抜け出せないのだ」と会見で語る。

画像: 上映会場での一行

上映会場での一行

その「光」の5月23日の正式上映前に、何と映画祭70年の記念イベントが同じメイン会場で開催され、カトリーヌ・ドヌーヴをはじめ、イザベル・ユペール、ジュリエット・ビノシュ、エマニュエル・ベアールらフランス女優たちはもちろん、ニコール・キッドマン、モニカ・ベルッチ、キルステン・ダンスト、エル・ファニングらハリウッド女優たちに加えて、もちろんカンヌ国際映画祭の主役となる世界の監督たち、クロード・ルルーシュ、ケン・ローチ、ロマン・ポランスキーら豪華な面々がレッドカーペットを歩き、最後にはステージで一堂に会した。70周年の目立ったイベントがないなんて言っていたら大間違い。すごい顔ぶれ、さすが世界のカンヌ国際映画祭!
そのために1時間弱も遅れて「光」の正式上映となったが、芦田多恵デザインの光輝くドレスでレッドカーペットを歩く河瀬監督は自信に満ちた堂々とした姿。午前0時過ぎの終映後に、何と10分間にも及ぶスタンディングオーベーションを、永瀬や水崎、藤らと受けて大感激。「言葉にならないものがこみ上げ、心の整理ができません。もしかしてこの映画には、言葉にならないものを人々に届ける力があるのかなと思いました」と上映後の取材で語った河瀬監督、確かな手応えを感じたらしい。

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