フランス映画の素敵な魅力をお伝えしたい、というわけで、厳選した30作品を初級〜上級の3枠に分けてご紹介!今回は、映画史に残る名匠の古典から映画祭受賞作まで、フランス映画ファン必見作が盛りだくさんの上級編10選。(解説:まつかわゆま)

天井棧敷の人々(1945年)

フランス映画界の至宝とも呼ばれる名匠カルネの豪華絢爛人間ドラマ

フランス映画オールタイムベスト1を守り続ける古典。演劇映画オールスターが演ずる、ピエロ踊り子高級娼婦と貴族に泥棒が犯罪大道りを舞台に、詩的な台詞を歌うように語り繰り広げる抑圧された愛のせめぎ合い。ナチス占領下でフランス映画を守り続けたマルセル・カルネ監督、信念の大傑作。

監督:マルセル・カルネ
出演:アルレティ、ジャン・ルイ・バロー

アデル、ブルーは熱い色(2013年)

二人の女性の出会いから別れまでを描きカンヌを熱狂させた愛の変遷

画像: 二人の女性の出会いから別れまでを描きカンヌを熱狂させた愛の変遷

愛した人が同性だっただけ。恋愛のすべての局面をさらけ出し、その始まりから最後の最後、愛が消えるまでを凄烈に描き出す。ダメだと思い、いつかは別れると判っていても、それでも愛してしまう人間のどうしようもなさを二人の女性をモデルに描ききる。ヒロイン二人と監督にカンヌはパルムドールを贈る。

監督:アブデラティフ・ケシシュ
出演:レア・セドゥー、アデル・エグザルコプロス

美しき諍い女(1991年)

老画家と裸婦モデルの緊迫した共同作業を4時間に迫る長尺で描く力作

年老いた高名な画家が若く美しい娘と出会い、彼女をモデルに最後の大作に取りかかる。芸術とは何か、絵画とは何か、美しさとは、女とは…画家の苦闘に翻弄され戦うモデルと画家の妻という女たち。モデル役のエマニュエル・ベアールはほぼ全編その美しい裸体を惜しみなくさらす熱演をみせた。

監督:ジャック・リヴェット
出演:ミシェル・ピコリ、エマニュエル・ベアール

気狂いピエロ(1965年)

映像スタイルの自由をどこまでも突き詰めたゴダールの代表的一作

ゴダールのもう一本の代表作。犯罪ロードムービーのスタイルをとりながら、謎めいた美しい女に惹かれ平穏な生活を捨て彼女の逃避行に巻き込まれる男の混乱したラブストーリーでもある作品。赤青黄の原色を強調した色彩設計、南仏の太陽のまぶしさなど、強烈な映像が余韻を残し癖になる。

監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ(イタリア合作)

死刑台のエレベーター(1958年)

斬新な演出や音楽が話題を呼んだヌーベルバーグの旗手マルの処女作

ヌーベルバーグ誕生の一本。不倫相手に夫を殺させようとする妻。現場から逃げようとしてエレベーターに閉じ込められる男。男の車を盗む無軌道な若者たちなど、時代の変わり目を象徴する人々が一つの犯罪で結びつく。モノクロのパリの夜を彷徨う女の背景にけだるいモダンジャズが新しかった。

監督:ルイ・マル
出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー

This article is a sponsored article by
''.