「ハリー・ポッター」シリーズで世界のアイドルになったダニエル・ラドクリフですが、その後の出演作を見るとその“怪”進撃ぶりに驚かされます。いったい彼がどんな作品に出て来たのか、改めてその選択のすごさを見てみましょう。(ライター:相馬学/デジタル編集:スクリーン編集部)

ハリポタのイメージからは180度の方向転換を

画像: ラドクリフをアイドルにした「ハリー・ポッターと賢者の石」

ラドクリフをアイドルにした「ハリー・ポッターと賢者の石」

『ハリー・ポッター』シリーズを卒業してからのダニエル・ラドクリフの怪進撃が止まらない。あえて“怪進撃”としたことには理由がある。俳優としてはトップの資産を持つ億万長者にして、何よりハリー・ポッター役で世界のアイドルとなった人気スター。そんなイメージを活かしてハリウッド大作に出演し続ければスターのイメージも保てるし、左うちわでも生きていけるはず。しかしラドクリフがそんな安直な道を拒否しているのは、フィルモグラフィーを見ればわかるだろう。

“ハリポタ”シリーズの終了直後に出演したのが『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』だが、これは本格的なゴシック・ホラー。ジャンル的にも思い切った選択だが、役柄も男手ひとつで息子を育てるシングルファーザーなのだから、子役のイメージとは180度の方向転換と言えるだろう。

画像: 父親役を演じた「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」

父親役を演じた「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」

続く『ホーンズ 容疑者と告白の角』でラドクリフは、『ピラニア3D』等で知られるホラーの鬼才アレクサンドル・アジャ監督と組むが、こちらの役はさらにイビツで、ある日突然角が生えてくる青年の役。言葉使いも乱暴で下品なキャラは“ハリポタ”の対極とも言える。さらに実話に基づく『キル・ユア・ダーリン』では有名なビート詩人アレン・ギンズバーグ役に挑戦。ギンズバーグはゲイであったことでも知られているが、ラドクリフはこの役に合わせて、かなり過激な同性愛のラブシーンに挑み、ファンを驚かせた。

悪役や肢体不自由者あげくは死体役にまで挑戦

一方、ヒット作の続編『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』では珍しく悪役に挑戦。何をやらかすかわからないエキセントリックなキャラクターにふんして、ハイテンションの演技を見せるのだから、これまた“ハリポタ”とはまったく異なる雰囲気。

画像: 悪役に扮した「グランド・イリュージョン見破られたトリック」

悪役に扮した「グランド・イリュージョン見破られたトリック」

また、有名な死体蘇生博士の狂気を描く『ヴィクター・フランケンシュタイン』では、セムシの助手イゴール役に。途中で博士の治療により美男に変身するが、それも含めて怪演を見せた。
 

画像: セムシ男を演じた『ヴィクター・フランケンシュタイン』

セムシ男を演じた『ヴィクター・フランケンシュタイン』

極めつけが、最新作『スイス・アーミー・マン』だ。無人島に漂着して生きることに絶望しかけた若者と、漂着した溺死体の奇妙な交流を描くこの異形のファンタジーで、ラドクリフが演じたのは死体マニーの役。これがただの死体ではなく、言葉を話すし、意志もある。しかも腹に溜まったガスのせいで本編中延々とオナラをし続けるばかりか、性的な興奮を覚えると下半身も反応する!こうなると、もはや“ハリポタ”俳優や若手スターのイメージからは程遠く、一部のファンは悲鳴を上げてしまうかもしれない!?
 

画像: 最新作「スイス・アーミー・マン」では何と死体の役

最新作「スイス・アーミー・マン」では何と死体の役

ファンにはご存じの通り、ラドクリフ本人は自分がスターであることを意識していない。一方で俳優であるという気持ちは強く、演じたことのない役に挑戦したいと意欲的だ。何より、よい脚本の作品に出演したいという思いは人一倍。『スイス・アーミー・マン』にしても、ヘンな役だから出演を引き受けたわけでなく、その脚本が素晴らしかったから参加し、全力を傾けたのだ。

監督の話によると、マニーの片目がいつも重そうに閉じかけているのはラドクリフのアイデアで、実際に彼は撮影中、そのまぶたの開き具合を保ち続けたというから驚きだ。自身が選んだ作品に全身全霊を傾けて、その作品をより面白いものにしようとする“俳優”ラドクリフのブレない姿勢。それこそが、現在の怪進撃につながっているのではないだろうか。

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