ホラー映画を見ていて“あれ、これはあの作品と共通しているな”と思うことがあるでしょう。そう、ホラー映画には定型・お約束事のような“あるある”が存在するのです。これを知っているとホラー映画を見る時よリ楽しめるという“あるある”から業界編を、ホラー・マスター塩田さんに解説してもらいましょう。(ライター:塩田時敏/デジタル編集:スクリーン編集部)

業界編

「悪魔の~」「死霊の~」の邦題で、本当に悪魔や死霊が出るのは少ない

画像: 実はゾンビものだった「ZOMBIO/死霊のしたたり」

実はゾンビものだった「ZOMBIO/死霊のしたたり」

“悪魔の~”邦題は昔からあるが、ホラーの代名詞としての“悪魔の~”は、トビー・フーパー監督「悪魔のいけにえ」以降か。出てきたのはデビルではなく、テキサスの狂人一家。ホラーの場合、大抵は“悪魔のような”殺人鬼、というあるある。

むしろ、「オーメン」「ローズマリーの赤ちゃん」など、本当にデビルの仕業の映画の邦題に“悪魔”は付かない。スチュアート・ゴードン監督「ZOMBIO/死霊のしたたり」も、その実ゾンビものだ。

人気スターのデビュー作はホラーだった、黒歴史(笑)あるある

画像: 左から二人目がジョニー・デップ(「エルム街の悪夢」)ちなみに冒頭の「13日の金曜日」の場面で奥にいるのがケヴィン・ベーコン

左から二人目がジョニー・デップ(「エルム街の悪夢」)ちなみに冒頭の「13日の金曜日」の場面で奥にいるのがケヴィン・ベーコン

有名なところでは「エルム街の悪夢」のジョニー・デップ、「13日の金曜日」のケヴィン・ベーコン、「クリッター3」のディカプリオ。トム・ハンクスは「血ぬられた花嫁」、ジョージ・クルーニーは「ハイスクールはゾンビテリア」、ジョン・トラボルタは「魔鬼雨」なんてのはシブ過ぎ(笑)。低予算で作られるB級ホラーで、将来大バケしそうな役者に逸速く唾付ける、というのは通ならではのお楽しみあるある。

凄惨なホラー映画の作り手は、実は温和なジェントルマン

画像: 大変な紳士だったトビー・フーパ―監督

大変な紳士だったトビー・フーパ―監督

映画のなかで怪しい人物が実はいい人あるあると同じく、残虐無道な作品を作る監督に限って優しい、というのも納得のあるあるだ。8月末に亡くなった「悪魔のいけにえ」のトビー・フーパー監督も大変な紳士だった。ゆうばりファンタに来て頂いた際は、アマンダ・プラマーを優しくエスコート。ファンやスタッフに対しても終始微笑みを絶やさず映画祭を盛り上げて貰えた。スチュアート・ゴードン監督もかなりの愛妻家。ホラー監督に悪い人はいない。

シリーズものホラーは、回を重ねる毎につまらなくなっていく

画像: 「ジグソウ:ソウ・レガシー」はこれまでのシリーズを越えたか?

「ジグソウ:ソウ・レガシー」はこれまでのシリーズを越えたか?

最近では一概に言えない作品もあるが、これは映画の宿命的なあるある。シリーズじゃなく、リメイクやリブートもオリジナルを越えるのは至難の業。ジャンル映画、とりわけホラーは修辞学的なクリシェ、つまり決まり事、定型、即ちあるあるが幅を利かせるから、そこに技が求められる。フィギュアスケートでいうコンパルソリーだ。だからこそ才能ある若手監督は“あるある”によって腕を磨いて来たのである。

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