早くもハリウッドでは来春のアカデミー賞レースがスタート!すでにその有力候補も挙がって来ています。日本で公開済みの「ダンケルク」もその一つですが、ここでは18年日本公開待機作を中心に、来年見るべき秀作をお伝えしていきましょう。(タイトルは原題、仮題を含む)

ベネチア映画祭グランプリやトロント映画祭最高賞の秀作がズラリ!

前回、前代未聞の作品賞読み違えというアクシデントで幕を閉じたアカデミー賞は、2018年3月4日(現地時間)に第90回となる授与式を行なうが、その前に1月23日にノミネーション発表が待っている。ハリウッドでは今、そこまでに各社による熾烈なキャンペーン活動が行なわれているわけで、有力候補の噂があれこれと聞こえ始めている。

画像: 『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンズとオクタヴィア・スペンサー

『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンズとオクタヴィア・スペンサー

完全に絞られるのはこれからだが、現時点(2017年10月末)で評判が最も良いものは、日本でも公開されヒットした「ダンケルク」のほか、先日のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』、同じくトロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した『スリー・ビルボード』の三作。これに続いて、サンダンス映画祭で絶賛され、にわかに評価が上がっている男性同士の青春恋愛編『コール・ミー・バイ・ユア・ネーム』や、これから全米公開となるスティーヴン・スピルバーグ監督の政治とジャーナリストの戦いを描く新作『ザ・ポスト』も最終候補に挙がってきそう。

画像: 『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド

『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド

他にも注目作が目白押しで、第二次大戦下のチャーチル英首相を描く『ダーケスト・アワー』、アマゾン・スタジオが配給したロマコメ『ビッグ・シック』、女優グレタ・ガーウィグの初監督作『レディー・バード』、ディズニー・ワールド近隣に住む人々の心温まる物語『フロリダ・プロジェクト』、アレグザンダー・ペーン監督の人類縮小計画コメディー『ダウンサイズ』、1927年と1977年の物語が交差するトッド・ヘーンズ監督の『ワンダーストラック』、1967年に起きた地方都市暴動事件の実話を描くキャスリン・ビゲロー監督の問題作『デトロイト』、そしてポール・トーマス・アンダーソン監督のロンドンのファッション業界を描くドラマ『ファントム・スレッド』といった、今後日本上陸が予定される作品の名前も下馬評に挙がってきている。

画像: 『ダウンサイズ』

『ダウンサイズ』

また日本公開されたものでも「ブレードランナー2049」や「ゲット・アウト」といったヒット作が好評。ネットフリックス作品で、戦争を背景に二つの家族の隔たりを描く「マッドバウンド 哀しき友情」も侮れない存在だ。

画像: 『デトロイト』

『デトロイト』

監督賞はこれらの作品から、「ダンケルク」のクリストファー・ノーランや、『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロー、『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナーらが候補間違いなしとの評判。高名な監督では『ザ・ポスト』のスピルバーグ、『ダウンサイズ』のペーン、『ファントム・スレッド』のアンダーソンらがいるが、『ダーケスト・アワー』のジョー・ライト、「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールらもマークすべき。「ワンダーウーマン」のパティー・ジェンキンズや『レディー・バード』のグレタら女性監督にも日が当たるかも?

画像: 『ワンダーストラック』

『ワンダーストラック』

無冠のオールドマンか、引退宣言のデイ・ルイスか、二大英国男優激突?

画像: 「マッドバウンド 哀しき友情」

「マッドバウンド 哀しき友情」

演技部門でも多くの俳優たちの名前が挙がっているが、ベテランから新人まで幅広い。まず主演男優賞で最も有力と見られているのは、これまで無冠の演技派ゲーリー・オールドマン。『ダーケスト・アワー』では太目の体型からチャーチル首相になりきっていて、まるで別人。いよいよその実力が評価される日が来そうな予感。これに待ったをかけるのが、『ファントム・スレッド』のダニエル・デイ・ルイスで、本作を持って俳優を引退すると宣言した彼は、史上初の四度目の主演男優賞という快挙を狙う。二大英国男優の対決になるか?

このベテランに混じってフレッシュな旋風を起こしているのが『コール・ミー・バイ・ユア・ネーム』の美形新人ティモシー・シャラメ。本作での好演が話題となって、すでにウッディー・アレン監督の新作にも起用されているハリウッド期待の星だ。

画像: 『ストロンガー』のジェーク・ギレンホール

『ストロンガー』のジェーク・ギレンホール

ノミニー経験者ながら、オスカー像を手にしていない実力派たちもしのぎを削る。ボストン・マラソン爆破事件で両足を失った男性を演じる『ストロンガー』のジェーク・ギレンホール、サーカスの世界を描くミュージカルで美声を響かせる『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン、困難を乗り越え偉業を達成する障碍者を演じた『ブレス』のアンドルー・ガーフィールド、“史上最低の映画を作った男”を自ら演じ監督もした『ディザスター・アーチスト』のジェームズ・フランコー、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア』のホアキン・フェニックスらがノミネートを狙い、オスカー像を二つ持つ常連組のトム・ハンクス(『ザ・ポスト』)とデンゼル・ワシントン(『ロマン・J・イスラエル殿』)も有力と大混戦だ。

画像: 『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン

『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン

主演女優賞で最有力なのは、作品賞でもバトルを展開する『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンズと『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドの二人。フランシスは「ファーゴ」で受賞済みだが、二度目ということもあるかも?もちろん四度目を狙うメリル・ストリープ(『ザ・ポスト』)、初の主演賞に目くばせするジュディー・デンチ(『ヴィクトリアとアブダル』)という超ベテランたちも射程圏内。昨年の覇者エマ・ストーンは、今回コミカルな『バトル・オブ・セクセス』で70年代のプロテニス選手、ビリー・ジーン・キングを演じ、連続受賞をもくろんでいる? 

受賞未経験組では『レディー・バード』のシアーシャ・ローナン、『モリーのゲーム』のジェシカ・チャステーン、『私、トーニャ』のマーゴット・ロビーらが気になるところ。

隠れた実力派たちにスポットライトが当たりそうな助演賞部門

画像: 『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア』のホアキン・フェニックス

『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア』のホアキン・フェニックス

助演賞枠には、実力派として知られる俳優たちがひしめき合っている。

男優では『フロリダ・プロジェクト』のウィレム・デーフォーが優しいモーテル経営者を演じて、候補間違いなしという評価を得ている。「プラトーン」から苦節三十ウン年、初オスカーなるか?さらに『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル、『シェイプ・オブ・ウォーター』のリチャード・ジェンキンズ、『ダーケスト・アワー』のベン・メンデルソーンらに混じって、『コール・ミー・バイ・ユア・ネーム』の美青年役アーミー・ハマーと少年の父役マイケル・スタールバーグも有力との情報。

女優では、『レディー・バード』のローリー・メトカーフ、これまで地味な脇役が多かった彼女にスポットライトが当たるかも?また『私、トーニャ』で実在のスケート選手トーニャ・ハーディングを精神的に追い込む母親を演じるアリソン・ジャニーが、このローリーと激突しそう。彼女もTV「ホワイトハウス」などで知られるベテランだ。

画像: 『バトル・オブ・セクセス』のエマ・ストーン(左)

『バトル・オブ・セクセス』のエマ・ストーン(左)

この枠では他に『シェイプ・オブ・ウォーター』のオクタヴィア・スペンサー、『ノヴィタブル』のメリッサ・レオ、『ビッグ・シック』のホリー・ハンターら受賞経験組の名が並び、他にも『ダーケスト・アワー』のクリスティン・スコット・トーマスなど、誰が受賞してもおかしくない経験豊富な女優たちが揃った中で、シンガーのメーリー・J・ブライジが「マッドバウンド 哀しき友情」で一人、異彩を放っているのも注目。

これからアメリカ各都市の映画批評家賞が発表され始めると、ますます人選は絞られてくるはず。2018年の映画界でビッグな栄光を手にするのは誰か?今後も賞レースの結果を注目していきたい。

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