King Gnuや平井堅のミュージックビデオなどを手掛け、2016年には初めての映像制作に挑んだ監督作『ヴァニタス』が初の長編にしてPFFアワード2016観客賞を受賞した内山拓也監督。俳優の細川岳と内山監督がオリジナル脚本を共作した最新作『佐々木、イン、マイマイン』は、佐々木とその仲間たちの過去と現在を描いた青春映画となっている。そんな本作に出演したKing Gnuの井口理と内山監督のスペシャルな対談をお送りする。
画像: 『佐々木、イン、マイマイン』
内山拓也監督×井口理インタビュー

作品や役への向き合い方や現場での居方みたいなものから伝わってくる“真面目さ”

ーー内山監督はKing Gnuの『The hole』のMVを手掛けられていますが、井口さんとはMVの制作よりも前に出会っていたそうですね。

内山「2017年頃だったと思いますが、友達が(常田)大希を紹介してくれて一緒に食事したんです。そのあとPERIMETRON、King Gnuと自然な流れで繋がりができていったというか。ある日PERIMETRONの事務所にいたら、理が“めっちゃ暇だから手伝う”と言ってMVの撮影で使うための荷物を運んでくれたんです」

井口「最初は建て込みのバイトみたいな感じだったよね(笑)」

内山「いやいやKing Gnuの井口理っていうのはちゃんと認識してたけどね(笑)。新宿の小さいライブハウスでKing Gnuが演奏するのを観に行ったり、メンバーのみんなと食事したり酒を飲んだり。出会ってからはちょこちょこ会ってはいたんですけど……」

井口「実は本作の撮影前までうっちー(内山監督)とはそんなに話したことがなかったんです。『The hole』の撮影現場を訪れた際にうっちー含めて4人ぐらいで深夜に食事をしたこともあるんですけど、その時もほとんどしゃべらなかったよね(笑)」

内山「しゃべらなかったね(笑)」

Photo by Tsukasa Kubota

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ーー最初の出会いから何年か時を経て、監督と役者という関係でお仕事をご一緒するというのは感慨深いものがあったのではありませんか?

井口「実は本作の出演はオーディションで決まったんです。そのオーディションの時にうっちーが頭を抱えながら“ちょっと今のお芝居ではなく別の感じでやってくれませんか?”みたいなことを言ってて、“あ〜なるほど……こういうタイプの……”と思ったのを覚えています(笑)」

内山「理に向けては言ってないよね?」

井口「何人かと一緒にオーディションを受けたから、その時の誰かに言ってたのかも(笑)」

ーー監督は井口さんが応募されたことを知って驚いたのでは?

内山「僕が映画を撮る予定があることを理も知ってるとは思ってましたけど、出演者募集の応募ページで彼を見つけた瞬間は“あ、理だ!”とちょっと驚きました」

井口「いくら監督が友達だからって“映画に出演させてよ”なんて言えないですからね。というか、友達だからこそちゃんと手順を踏んでいかないと失礼だなと思ったし、ゼロからスタートしようみたいな気持ちで応募してみました」

画像3: Photo by Tsukasa Kubota

Photo by Tsukasa Kubota

ーー現場で役者としての井口さんをご覧になっていかがでしたか?

内山「今回初めて役者としての理とお仕事をしてみて感じたのは、作品や役への向き合い方や現場での居方みたいなものから伝わってくる“真面目さ”が凄くあるなと。泥臭いシーンの撮影だったんですけど、理だけじゃなく佐々木を演じた(細川)岳も他の役者もみんな葛藤しながら戦っていました。理は目が血走ってて完全にゾーンに入っていましたし、岳は顔が痙攣しちゃって治まるまで少し時間がかかったり。もの凄い集中力で張りつめた空気のなかひたむきにお芝居に取り組んだぶん、そのシーンを全て撮り終わったあとはみんなで写真を撮ったりして一気に和やかな雰囲気になっていたのも印象に残っています」

ーー井口さんは泥臭いシーンに挑んでみていかがでしたか?

井口「佐々木の胸のあたりを蹴る場面があって、その時に岳くんが“もっと強く蹴って欲しい。大丈夫だから”と言ったんですよ。それで“この人正気かな?”と思いながらもちょっと強めに蹴ってみたんです(笑)。そこは是非チェックして欲しいですね。岳くんとお芝居してみて、彼のストイックさ、好きだなと思いました」

内山「あのシーンの後半に理が演じる吉村が佐々木に蹴られる場面もあるんですけど、蹴られたあとも画角を下げて撮りたいと思ったので理に“本気で転んで”とお願いしたんです。理は僕と同じように思っていたようで、当然のように直ぐに頷いてくれました。なので理が本気で蹴られて前のめりに倒れているシーンも是非チェックして欲しいですね。この日の撮影は岳も理も他の役者もみんな“やるぞ!!”みたいなもの凄いアドレナリンが出ていたのを覚えています」

井口「体育会系というか、なんかこういうのっていいよねって思いました(笑)。ちょっと部活っぽいですよね」

             Photo by Tsukasa Kubota

ーー今後もしまたお2人で作品を作るとしたらどんなジャンルに挑戦してみたいですか?

内山「個人的には理をめちゃめちゃ苦しめたいです。もちろんお芝居の話ですよ(笑)。ひたすら心の内側を覗き込むようなことを一緒にやりたいなと。身体的なことというよりかは“精神的にのめり込めるようなもの”をやりたいと個人的に思っています」

井口「うっちーがいま言った方向のお芝居にはまだ挑戦したことないから挑戦してみたいですね。あとはうっちーの考えたコントとかも面白いんじゃないかなって(笑)」

ーーシュールなコントになりそうな気がします(笑)。

内山「シソンヌみたいな(笑)」

井口「本作も全体的にクスっと笑えるところあるじゃないですか。僕はうっちーのお笑いのセンスがツボるし好きなんです。だからコントも見てみたいなと思って」

内山「コントもそうだけど、映画やドラマで言うとコメディが一番難しいジャンルだよ。だからもしやるんだったら真剣に向き合わなきゃね」

ーーここからはSCREENONLINE読者にお2人の好きな映画やドラマをご紹介頂きたいのですが、最近オススメの映画や海外ドラマを教えて頂けますか。

内山「ナディーン・ラバキー監督の『存在のない子供たち』が良かったです。どんな映画よりも撮るのが難しかっただろうなと思ったのと、正直どうやって撮っているのか不思議でした。とてつもなく緻密なことをやっているからこそ、あのナチュラルさが出せるんだろうなと圧倒されてしまって。中東の貧困や難民問題を描くことで色んな問題提起をしているんですけど、それと同時にエンターテイメント作品としても成立していると言えるぐらい展開が秀逸でした。
ああいった映画を日本で撮らなきゃいけないなと思いましたし、いつか自分の子供が生まれたときに観せたい映画です。それからパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『COLD WAR あの歌、2つの心』も衝撃でした。ここ数年の間に鑑賞した中で最も素晴らしいラストカットを観たなと。なんならあのラストカットを観るためだけにお金を払ってもいいぐらい。是非観て頂きたいです」

井口「僕は最近だと『TENET テネット』が面白かったです。あとNetflixで観たドラマ「アンという名の少女」も凄く良かった。L・M・モンゴメリの1908年の小説「赤毛のアン」に基づくテレビドラマシリーズで、最初から最後までずっとハートフルで心が温まるんです。主人公のアンが原作にかなり忠実で、演じている役者さんがガリガリの赤毛のそばかすの女の子でとにかくめっちゃいいんですよ(笑)。気になった方は是非観てみてください」

 ※2020年12月14日発売の雑誌「SCREEN+Plus(スクリーンプラス)」にお2人のインタビュー(オンライン未掲載の内容も一部あり)と写真が掲載されますので是非チェックしてください!!

             Photo by Tsukasa Kubota

(クレジット)
ヘアメイク(井口理)/木村一真

(インタビュアー・文/奥村百恵)

『佐々木、イン、マイマイン』
監督:内山拓也
脚本:内山拓也、細川岳
出演:藤原季節 細川岳
   萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作
   小西桜子、三河悠冴、河合優実、井口理(King Gnu)
   鈴木卓爾、村上虹郎
配給:パルコ
2020年11月27日より、新宿武蔵野館ほか全国公開
© 「佐々木、イン、マイマイン」
2020/日本/カラー/119 分

画像: 内山拓也監督×藤原季節主演!映画「佐々木、イン、マイマイン」予告編【公式】11月27日(金)公開! youtu.be

内山拓也監督×藤原季節主演!映画「佐々木、イン、マイマイン」予告編【公式】11月27日(金)公開!

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