ミュージカル『レ・ミゼラブル』や『サウンド・オブ・ミュージック』などの作品で、幼少期から作品に爪痕を残してきた原田優一と、近年では2.5次元以外の舞台にもひっぱりだこの太田基裕が夢の競演!上演中のミュージカル『ダブル・トラブル』で2人きりで10役以上を演じるために築いた、自然な関係性の法則や、「役を切り替える時間がない」という難しい演じ分け役について話を聞いた。絶妙なかけ合いで「(笑)」が多い、和み感満載の取材に。Wキャストとなる、ふぉ~ゆ~の福田悠太と辰巳雄大に対して、ライバル視を抱いているか否かは本文にて。(※インタビューは開幕前に実施
撮影/加藤 岳 スタイリスト/ゴウダアツコ ヘアメイク/大宝みゆき 文/内埜さくら

――お2人は役者としては初共演ですよね。役者としてお互いにどんな印象を持ちましたか。

原田「初めてご一緒したお仕事は僕が演出を担当したミュージカル『デパート!』(2017年11月公演)なのですが、当時と今であまり印象は変わらないと思います。最初にお断りさせていただきますと、僕は太田くんをもっくんと呼ばせていただいています。もっくんは、写真などで見るとシュッとしていて、キレイという言葉が似合うイメージ。ですが実際はものすごくオープンに、誰とでも気さくに接してくれる上に、予想以上に体を張ってくれる印象があります。現場がよりよくなるように、いい方向に壊してくれるというか。プライベートは僕の個人的な想像ですが、1人になると暗い部屋の隅っこで体育座りをしているか、遠くを見つめているような気がするのですが。表舞台ではきらびやかなオーラを放つ、真のエンターテイナーということです」

太田「僕の本当のプライベートをよくご存知で(笑)。演出家としての原田さんは、いい意味で演出家さんっぽくないというか。あらゆる他者に対して、ストレスをかけない“気遣いの人”という印象を持っていました」

原田「あはははははは!」

太田「遠慮ない表現でスミマセン(笑)。演者やスタッフさんたちに圧がかからないような緩い空気感を保ちながらも、しっかりとした信念を持っていらっしゃる方だなと思ったので。そして今回共演させていただき、役者として勉強になると、心から尊敬しています。(Wキャストでジャニーズ事務所所属の4人組男性アイドルグループ、「ふぉ~ゆ~」の)福田(悠太)くんと辰巳(雄大)くんが言っていた、“プロだな!”という言葉が一番しっくりくる印象です。客観的に大きく物事を捉えて、引き出しもめちゃくちゃ多いのに、ひけらかすことなくナチュラルに対応してくださる。キャリアも長くお仕事に関して膨大な知識を追求されてきている方なので、頼りにもなります。今回の共演で勉強しつつ、吸収していきたいと思っています」

――ふぉ~ゆ~の福田さん・辰巳さんとはWキャストですが、ライバル心が湧くことは?

原田「彼らも僕もライバル視はしていなくて、“お互いにお互いのいいところを盗みましょう”というスタンスで、今は一緒に稽古をしています。彼らハリウッドチームの半分は、やさしさでできているようなイメージ。格好よくて器用で、スタイリッシュだけれど、成分の半分がやさしさだから、観ていて癒やされるんです。力が入らずに自然体でいるのに、ダンスになると突然キレキレになる。見ていて心地がいいです」

太田「僕は彼らの芝居を見ていて、グループ活動が羨ましいと感じました。2人の息がピッタリ合う瞬間を見て、“グループ活動を続けていると、こんなに素敵なことが待っているのか”と教えてもらいました」

原田「グループ活動は未経験なの?」

太田「そうなんです。だから僕も仕事人生で一度は、グループとして活動してみたら楽しそうだったのかもしれないな、と。そういう感情がわいたのは、彼らのおかげです。この4人でよかったと思っています」

原田「4人全員が、お互い素直に褒め合う関係性でもあるから、もっくんの意見には納得です。Wキャストですが、同じ芝居や衣装を着ていても、まったく違う作品になるような気がしています。それこそ、暖色と寒色ぐらいに」

――Wキャストですが2人きりのお芝居ですから、特に関係性は重要なのでしょうね。しかも演じ分けが難しいですし。

原田「2人で10役以上を演じるわけですからね。しかも台本では次の1行にはもう別の役に切り替わっていることもあるので、どちらがどちらを演じるのか、混乱することもしょっちゅうです。僕は最初に台本を読んだとき、とりあえず1ページだけ読んで閉じました(笑)」

太田「僕も最初は、数ページで混乱してきてしまい、半分だけ読んで閉じてみました(笑)。脳が受け止めきれなくなってしまうんですよね。僕は台本をいただいたときに、自分がどの役を演じるか想定しながら読んでいるので」

原田「僕は『グーテンバーグ! ザ・ミュージカル!』という舞台(2017年3月、18年7月、19年8月公演)で複数役を演じているのですが、その作品では舞台上にずらりと並んだ、役名が書かれた帽子を役を変えるごとに2人で次々に取り替えていっていたんです。出ずっぱりという部分は同じですが、今回のほうが体力的にはきついと予想しています。舞台裏では一息つくのではなく、早着替えが待っているので。もしかしたら、舞台上より忙しいかもしれません。つねに舞台上にいて、人に見られているという感覚を2時間ぐらい感じながら、歌って踊って何役も演じるという意識を持っていないと。ですから現段階では、脳内がパンパンに張り詰めている2人でございます(笑)」

太田「頭から湯気が出そうな2人でございます(笑)。原田さんは、“今までのキャリアで、今回が一番大変な作品になるかもしれない”とおっしゃっていました。キャリアの長い原田さんの言葉には説得力があるので、逆にこの作品を乗り越えればお芝居の幅を広げられるのではないかと思っています。なんとかしがみついて頑張りたいです」

――役の切り替え方は、どのように稽古しているのでしょうか。

原田「本番中に準備時間を取れず、舞台裏で秒で変わらなければいけないので、本番までに体が勝手に動くところまで役を入れておかなければいけないんです。役とセットの切り替わりを込みで段取りの一端として捉えていかないと、脳と心が追いついていかないと日々、痛感しています。本番では、あわてていると思われないようなハケ方をすると同時に、内心ではメチャクチャあせっているでしょうね。“早くハケたい!”と」

太田「僕は現段階で、出ハケ(演者が舞台に出る&去るを合わせた意味)を覚えられる気がしません(笑)。以前、忙しい役を演じたときは、覚えられなくて両袖にメモを置いていました。ですが今作では、メモを確認する暇すらない。不安ですが、何度も稽古を繰り返して、体になじませていくしかないでしょうね」

原田「扉が後ろに4つあって、役柄とともに入る場所が違うし」

太田「僕はまだ“次はどこの扉から入って、どこから出たらいいんだっけ? 今、なんの役?”と、迷ってしまいそうです」

原田「稽古中の今はスタッフさんに“こっち、こっち!”と呼ばれて、身ぐるみはがされて着替えさせられている状態だからね。世代的にわかる方にお伝えしますと、ザ・ドリフターズさんの扉を使ったコント状態なんです」

画像1: 《原田優一×太田基裕》ミュージカル『ダブル・トラブル』インタビュー

――あはは! SCREEN ONLINE読者に向けて、タイトルにちなんだ質問を。最近、襲われたトラブルはありますか?

原田「公演で3月に2週間ほど大阪に行っていたときに、携帯を水没させてしまいました……。休演日に機種変をしたら、次はカバンの取っ手がちぎれまして」

太田「普通、ちぎれないですよね?」

原田「そう。だから、大阪では壊れるモノが続々! “二度あることは三度ある”と言いますが、人間関係だけは壊れずに死守できました。今、三度目がないように祈っているところです」

太田「僕は、稽古へ行って家に帰って寝るだけという生活なのでトラブルは起きないと思っていたのですが、ありました。入浴剤トラブルです。僕が湯船好きだと知っているファンの皆さんにたくさん、入浴剤をいただくんです。あえて選ばずに手に取ったアイテムを浴槽に入れるのを楽しみにしているのですが先日、まだ寒い時期に入れた入浴剤がミント系の超クールタイプで。体がどんどん冷えてきて“時期を間違えた!”とわかった時点で、時既に遅し。体の芯から冷えてしまい、暖房をつけた寝室で毛布にくるまったのですが、寒さでブルブルと震えてしまいました」

――(笑)。お2人が思う、作品の魅力もお願いします。

原田「ミュージカルとして、2人が入れ代わり立ち代わり10人以上もの役を演じていくのは、構造としてユニークだと思います。しかも、耳に残るキャッチーな楽曲ぞろいなので、ミュージカル好きな方々だけではなく、音楽好きさんにも楽しんでいただけるかと。もっくんと僕が、今まで培ってきた人生の引き出しを開けまくっているところにも注目していただけたら頑張った甲斐があります」

太田「現代と時代背景や国が違いますが、事前の知識がなくても老若男女楽しめる作品です。演じている僕らは緊張で汗だくですが、演者が苦労するほど作品は盛り上がる説があります。“わーっ、すごく大変そう!”と、面白がる鑑賞法もアリかもしれません(笑)」

画像: 原田優一さん×太田基裕さん:ミュージカル「ダブル・トラブル」コメント youtu.be

原田優一さん×太田基裕さん:ミュージカル「ダブル・トラブル」コメント

youtu.be

ミュージカル『ダブル・トラブル』(A Musical Tour de Farce)

異なる劇場で同じ作品を同時期に上演するミュージカル「ダブル・トラブル」。〈ハリウッドチーム〉の福田悠太(ふぉ~ゆ~)と辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、〈ブロードウェイチーム〉の原田優一と太田基裕のダブルチーム編成で上演される。本作の出演者は 2 名のみ、演奏はピアノだけ。歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じると同時に、映画会社の社長や秘書、演出家、司会者、スター女優など...ありとあらゆる登場人物、およそ 10 人もの人物をたった 2 人で表現するミュージカルコメディ。

STORY

ミュージカル映画の曲を書くという大ブレイクのチャンスをつかんでブロードウェイから夢のハリウッドへやってきたのは、作曲家の兄ジミーと、作詞家の弟ボビーのマーティン兄弟。
舞台はこれから二人の仕事場となるリハーサルスタジオのバンガローだ。
しかし、曲作りのために社長のガーナーから与えられた時間はたったの数時間!
しかも、楽曲が気に入ってもらえなければ、即クビ!!
そこに代わる代わるやって来るのは、社長秘書のミリー、年老いた音響技師ビックス、インターンのシーモア、エージェントのクイックリー、セクシーな美女レベッカなど...個性溢れる人物たち。
ときに協力し、ときに喧嘩して、仕事に恋に奔走するマーティン兄弟。
2人は無事に成功をおさめることができるのか...!?

ミュージカル『ダブル・トラブル』(A Musical Tour de Farce)

画像2: 《原田優一×太田基裕》ミュージカル『ダブル・トラブル』インタビュー

出演:
〈ハリウッドチーム〉福田悠太(ふぉ~ゆ~) 辰巳雄大(ふぉ~ゆ~) ピアノ 小林 創
〈ブロードウェイチーム〉原田優一 太田基裕 ピアノ 堀 倉彰/中原裕章

脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:ウォーリー木下
音楽監督:落合崇史/大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一
主催/企画・製作:シーエイティプロデュース

◆ブロードウェイチーム(原田優一×太田基裕)出演公演
〈プレビュー公演〉
2021年 5月3日(月・祝) 志木市民会館パルシティ

〈東京公演〉
2021年5月12日(水)~16日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
2021年5月18日(火)~22日(土) よみうり大手町ホール

※緊急事態宣言の発令に伴い、上演が一部中止となっております。
最新の公演情報につきましては、公式サイトにてご確認ください。
(本ページに掲載された情報は5月18日時点のもの)

公式サイト:https://www.musical-wtrouble.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/wtroublejp

PROFILE

原田優一 YUICHI HARADA
1982年9月1日生まれ、埼玉県出身。

〈近年の主な出演作〉
ミュージカル「マリー・アントワネット」(2018-19年)
ミュージカル・レビュー「KAKAI歌会2019」(2019年)
ミュージカル「リューン~風の魔法と滅びの剣~」(2019年)
ミュージカル「グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2019」(2019年)
ミュージカル「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」(2019年)
舞台「麒麟にの・る」(2019年)※演出作
ミュージカル「Fly by night~君がいた」(2020年)
ミュージカル「グッド・イブニング・スクール」(2020年)※演出作
舞台「忠臣蔵 討入・る祭」(2020年)
ミュージカル「マリー・アントワネット」(2021年)

〈出演待機作〉
「Being at home with Claude ~クロードと一緒に~」(2021年7月3日~上演)

画像3: 《原田優一×太田基裕》ミュージカル『ダブル・トラブル』インタビュー

太田基裕 MOTOHIRO OTA
1987年1月19日生まれ、東京都出身。

〈近年の主な出演作〉
ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」(2016、2018年)
ミュージカル『刀剣乱舞』 シリーズ(2017年~)
ミュージカル「イノサンmusicale」(2019年)
ミュージカル「サンセット大通り」(2020年)
舞台「ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~」(2020年)
ミュージカル「ローマの休日」(2020-2021年)
ミュージカル「EDGES-エッジズ-」(2020年)
朗読劇「ラヴ・レターズ」~Spring Special~(2021年)

〈出演待機作〉
ロックミュージカル「MARS RED」(2021年6月24日~上演)
演劇調異譚「xxxHOLiC」(2021年秋上演)

画像4: 《原田優一×太田基裕》ミュージカル『ダブル・トラブル』インタビュー

原田優一さんと太田基裕さんのグラビア&インタビュー詳細は4月27日発売の「SCREEN+Plus(スクリーンプラス)Vol.72」本誌にてご紹介しています。

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