Bunkamuraシアターコクーンにて、横内謙介作、中屋敷法仁演出、戸塚祥太主演、内博貴出演の舞台『フォーティンブラス』が、8月19日(木)開幕を迎えた。

「フォーティンブラス」とは、シェークスピアの代表作ハムレットの中に登場するノルウェーの王子の名前。物語の中では、フォーティンブラスの父親がハムレットの国デンマークに戦争で負け、その復讐のために攻め行ってみたところ、既にハムレットの王家は滅んでしまっており復讐する相手は死んでいた...という結末に登場する人物。
長いハムレットの物語の中で2回だけ登場するこの「脇役」にスポットライトを当てて、横内謙介が俳優の視点から1990年に書き下ろした作品が、この「フォーティンブラス」。
本作は、劇団善人会議(現、扉座)で初演された後、多くの俳優たちによって幾度となく演じ継がれ、世界中に数あるシェークスピアの書き換え戯曲の中でも、群を抜いて注目を集めてきた日本の名作ともいえる。

どんな人間でも、人は生きていく上で、時には主役になることはあっても、ほとんどの場面は脇役を演じ続けざるを得ない。ましてや俳優は、ほとんど主役になれることなどは無く、ただ主役を夢見ながら生き続けているしかない。その悲哀を、フォーティンブラスを演じる脇役俳優の楽屋や劇場で生き生きと生活する人々の感情を通して描いている。

今回『フォーティンブラス』の演出を担当するのは、『半神』や『サクラパパオー』、『露出狂』や『奇子』、『黒子のバスケ』、 『文豪ストレイドッグス』シリーズなど話題作の演出を数々手掛けてきた中屋敷法仁。
主人公・羽沢武年(フォーティンブラス)役にA.B.C-Zの戸塚祥太、そして対立する黒沢正美(ハムレット)役を内博貴が演じる。
同い年で、共に舞台経験豊富な彼らが演じるこの二人の役者が見つめる「俳優」とは?

8月19日(木)に、公開ゲネプロが行われ、主演の戸塚祥太(A.B.C-Z)をはじめ、内博貴、能條愛未、矢島舞美、演出を手がける中屋敷法仁が取材会に出席し、舞台への意気込みなどを語った。

画像: 左から:矢島舞美、能條愛未、戸塚祥太(A.B.C-Z)、内博貴、中屋敷法仁

左から:矢島舞美、能條愛未、戸塚祥太(A.B.C-Z)、内博貴、中屋敷法仁

演じる役どころと意気込み

戸塚祥太「僕、戸塚は、羽沢武年という大部屋の脇役を演じさせていただきます。僕が演じる役は、脇役とは言えども舞台、お芝居への愛情をしっかり持っていて、それ故に歪んだ部分もあるそういう複雑な人間味のある役だと思います。こういった時期にみんなで稽古を乗り越えて小さな奇跡の連続だったと思うので、そうやってここまでこぎつけたので、初日の幕が開けたのも何かを信じて観てくださるお客様に対して、元気だったり勇気だったりというものを少しでも届けられるように、このチームで最後の最後まで小さな奇跡を毎日重ねていきたいと思います」

能條愛未「オフィーリア役・刈谷ひろみ役の能條愛未です。ひろみちゃんは、バラエティタレントということで、芸能界の酸いも甘いも経験していろいろあって女優をはじめて演るという役どころです。最初はお芝居の熱量は少ないのですが、周りのみんなのひたむきな姿や、与えられた役を真摯に向き合う姿を見て女優というものに目覚めていくそういう役です」

矢島舞美「玉代という役を演じるのですが、私はこの劇場に住み着いた劇場の主と言われるような存在感のある気味悪いねと最初は言われるようなおばさんなんですけども、この劇場に待ち続けていて久しぶりに会えたという、次あったら一緒に退場させようというか、この世から一緒に退場しようとずっと心に決めて待っているという、そういう誰も知らないところで秘めているものがあるので、本当にこの役をいただいて難しいと思ったのですが、やりがいのある役で、楽しいです」

内博貴「黒沢正美 あなたのサミー役を演らせていただきます、内博貴です。僕の役は本当に無茶苦茶です。僕なりに振り切って演らせていただいております。とっつーも言っていましたけれど、こういう時期だからこそ、みなさんに元気になっていただけるような作品になっていると思いますし、観に来てくださった方には気を遣わず思いっきり笑っていただきたいなと思っておます。こういう時期だから抑えようと思わず、しっかりマスクをしていれば、思いっきりギャハハハと笑ってくれたらいいなと思っています」

演出:中屋敷法仁「演出を担当しております中屋敷法仁と申します。このお芝居は、俳優という生き様ですとか演劇という仕事に対する誇りと情熱あふれる作品になっていると思います。演劇を愛するみなさまももちろんですけども、初めて観られる方も“俳優さんって、こんなにエネルギッシュなのとか、演劇ってさまざまな創造力を持っている素晴らしい空間なんだなということを感じていただけたら幸いです」

同い年の戸塚祥太と内博貴。初共演の感想

戸塚祥太「気心が知れた仲なので」

内博貴「昔よく言っていたんですけど、ごはんに一緒に行ったりしていたので。プライベートの時に、いつか外部の舞台で共演できたらいいねという話はしていたんです」

戸塚祥太「それはよく話していて。でもなかなかそういう機会がなくて。なかなかないじゃないですか、そういう機会って。1回あればラッキーだなくらいという風に思っていたら、まさに今作でそういう機会をいただけて!しかもスイッチが入る内を一番の特等席で観られるというのは!客席で内を観るというのはあったんですが、この同じ板(舞台)の上でというのは。やっぱり内って圧倒的主役感があるんですよね」

内博貴「やめろ、やめろ!」

会場「(笑)」

内博貴「ハードル上げんな」

戸塚祥太「ハムレットにしか見えない」

内博貴「やめろ!やりづらい」

会場「(笑)」

戸塚祥太「内ってボヤいたりするんですけど、“そんなんやめてくださいよー”とか言うんですけど、ちゃんと演るんですよね。だから俺、すごい好きなんですよね。稽古でも一緒にできて楽しかったです。これから開幕してそんな日々が重ねられるので、より楽しみですね」

内博貴「僕も同じですよ。とっつーの作品はよく観ていたので、それがまさかね、こうやって一緒にできるとは思っていなかったです。本当に稽古場からとっつーのお芝居を間近で見ていてずっと笑っていました。本当にニシキ(錦織一清)さんのような、そんな雰囲気をいつも感じながら。見ているとニシキさんが出てきてるような部分は多々あります」

戸塚祥太「(内は)楽屋暖簾は錦織さんの楽屋暖簾使ってるじゃない。カッコいいんですよ、錦織一清よりと書いてあって」

内博貴「錦織一清よりと書いてあるんですが、僕の名前書いてないんですよ。ニシキさんらしいでしょ?錦織一清よりしか書いてないです。色は真っ白で、錦織一清よりと書いてあるだけで、僕の名前、一切書いてないです。そのままニシキさんからもらったみたいになっています」

戸塚祥太「僕はシアターコクーンさんからお借りした暖簾です。特にないです。(今回演じる)武年は絶対持ってないので」

内博貴「本当は持っているけど、隠してるんだよな」

内博貴 初の悪役

リポーター「今回はここまでの悪役というのは初めてということで、演じてみていかがでしたか?」

内博貴「そんなハッキリ言います?」

戸塚祥太「初めて見る内ですよね」

内博貴「そうですね、悪ですね。もうね、本当にパワー使いますね。なんというんでしょう常に100%といいますか、上からものを言うタイプの役なので、そこはすごくエネルギー使いますし。本当の僕は違いますからね。僕は脳内メーカーアプリで調べたら、今年の運勢右脳が全部犬で、左脳が全部愛ですからね。犬と愛であふれてるんですよ。そんな僕が、今回の役を演じるのには、すさまじいパワーを使う訳です。狂犬ではなく、かわいらしいチワワとかに僕は愛されていますから。本当に演じたことのない役だったので、やりがいはすごい感じますね。今まで経験したことのない役を演れるというのは、やっぱり我々役者にとっては、すごく幸せなことですし、なので精一杯振り切って演らせてもらってます」

リポーター「中屋敷さん、どうなんですか?みなさんらしさを活かしてというのはあるんですか?」

中屋敷法仁「僕は演出家なんですが、この4名に関して元々大ファンというか好きなので、どうしたらこの4人からいい油が取れるかなということを考えて。今回戸塚くんは絞れば絞るほどいい油出るんです」

戸塚祥太「ありがとうございます」

中屋敷法仁「戸塚くんのごま油をたくさん出すということを。内くんはオリーブオイルをたくさん」

内博貴「でも僕はあれですよ。稽古始まる前、とっつーと中屋敷さんがデキていると思ってましたから。仲が良すぎて。“(中屋敷さんが)俺、明日来られないんだよ”という時ありましたよね、その時にとっつーと抱き合ってるのを見て、2人で抱き合ってチューするんじゃないかなって言うくらい。さすがにチューはしなかったですけど」

戸塚祥太「そこは五関(晃一)がいるんで」

会場「(笑)」

中屋敷法仁「今回の舞台は俳優さんの本性といいますか、演じている俳優さんではなくて、演じることは何か、心の魂みたいなものがみなさんから出ていて稽古場で楽しみにしていました」

本作の舞台の神様にちなみ、メリーさんとの思い出

戸塚祥太「自分が間違ったことをした時に愛のあるお叱りをしてくださったりとか、まだJr.に入ったばかりの頃先輩のバックで踊っていた時に、褒めてくださることもあったり、まだ小さい頃だったので勇気づけられたりして、それを励みに頑張れた時もあって、数少ない場面、言葉だったりしますけど、自分の中で大切に持ってこれからも精進していきたいなと思いますし、天国でジャニーさんと一緒にね、僕たちのことを見守っていてほしいです」

レポーター「具体的にはどんな風に褒められたんですか?」

戸塚祥太「踊り踊っていてあの子がいいと言われたんです」

内博貴「訃報を聞いた時は驚きました。僕自身メリーさんに食事に連れてっていただいたりよくしていたんですよ。その頃からよく言われていたのが、“ジャニーさんの言うことは聞いときなさいよ”ってよく言われましたし、本当にいろんなところに連れていってくださいましたし。お寿司だったり、和食屋さんだったり焼肉だったり。焼肉の日はビックリすることがあったんですけど。メリーさんと焼肉に行くとすごい量のお肉を一回頼んで、たくさん食べなさいという愛情だと思うんですけど、子どもだったので、いいお肉ってそんなに何枚も食べられないんです。焼肉行く日は、“よし、行くぞ”と準備をしてから行っていたのを覚えています。そういう時もジャニーさんの言うことはちゃんと聞いなさいよ、ちゃんと見てくれいるからねと。叱られる時は叱られますし。僕は大阪出身なので本当に東京のお母さんというような存在でしたね。昨日目をケガしちゃたんですけど、ここ赤くなってると思うんですけど、これで済んだのはもしかしてメリーさんが守ってくれたのかなって思ったりもして」

戸塚祥太「そうだね、本当に」

内博貴「見守ってくれてるなと実感しています」

意気込み

戸塚祥太「ここまで稽古を乗り越えてきてこれだけでも小さな奇跡だと思っていて、このような時期に何かを信じて劇場に足を運んでくださるお客様にたいして、ステージの上に立てるというのは、本当にこのような仕事をしていて幸せなことだと思うので、その幸せをかみしめながら、かつ観てくださる方々に何かを届けられるように最後の最後まで僕自身小さな奇跡を起こしていきたいと思います。よろしくお願いします」

画像: 意気込み

舞台の模様

画像1: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像2: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像3: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像4: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像5: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像6: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

画像7: 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

ものがたり

お馴染みの名作『ハムレット』が華やかに上演されている、とある古ぼけた劇場。その楽屋で、売れない役者・羽沢武年が、上演中だというのにヒマしている。彼の役は、ノルウェーの若き王子、フォーティンブラス。
役名は勇ましいが、最初の出番は、芝居が始まって約2時間 15 分後。それもただ舞台を通り過ぎるだけ。二番目の出番は全ての物語が決着を見た後。のこのこ登場し、最後のまとめをするだけの、いわば「刺身のツマ」。
その上ハムレット役の大スターは、横暴で、陰険で、勝手に芝居を変えるわ、若い女優に手を出そうとするわとタチの悪いことこの上ない。武年ばかりでなく、オズリック役で恵子の恋人である岸川和馬やオフィーリアに抜擢されたバラエティタレント刈谷ひろみさえも、そんな大スターに嫌気が差し、楽屋には一触即発の不穏な 空気が流れている。
そんなある夜、芝居のはねた劇場に、突然不気味な亡霊が姿を現す。亡霊は、自らを「フォーティンブラスの父」だと名乗り、そして武年に向かって言った。
**“我が息子フォーティンブラスよ。さあ、今こそその汚れ亡き高潔な血を熱くたぎらせ剣を抜け。
そしてその剣に、ハムレットへの復讐を誓うのだ!!”**
その言葉にとまどいながらも武年は、亡霊にハムレットへの、そして大スターへの復讐を誓うのだった。
しかし劇場付きの老女優、松村玉代は、亡霊の姿を見て驚いた。この男は、「フォーティンブラスの父」なんかじゃない。昔、玉代が一緒に芝居をしていた俳優の岸川和春......すなわち、オズリック役の岸川和馬の死んだ父親の亡霊だ......しかし何故今頃、和馬の父が亡霊となって、思い出の詰まったこの劇場に......??
果たして武年の復讐の行方は?
そして亡霊が寄せる、この舞台に対する想いとは?

『フォーティンブラス』

■作 横内謙介
■演出 中屋敷法仁
■出演
戸塚祥太(A.B.C-Z)
内 博貴 ほか

■会場 Bunkamura シアターコクーン
■期間 2021 年 8 月 19 日(木)〜 29 日(日)
■チケット料金(仮) S 席 10,500 円 A 席 8,500 円 コクーンシート 5,500 円

※全席指定・税込
※コクーンシートは特にご覧になりにくいお席です。ご了承の上、ご購入ください。
パンフレット付きチケット
S 席 12,500 円 A 席 10,500 円 コクーンシート 7,500 円
※パンフレット付きを購入した方のみ当日会場にてお渡し。
■一般発売日(予定) 2021 年 7 月 31 日(土) 10:00〜

■お問合せ Mitt 03-6265-3201(平日 12 時〜17 時)
■公演に関するお問合せ ゴーチ・ブラザーズ stage@gorch-brothers.jp
■公式サイト https://fortinbras2021.com
■協力 ポニーキャニオン
■主催 『フォーティンブラス』2021 製作委員会(ミックスゾーン/ぴあ)

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