漫画家·浅野いにおの新境地にして衝撃の問題作を完全映画化した『零落』。
本作で主人公の元人気漫画家·深澤薫を演じるのは、『シン·ウルトラマン』や『レジェンド&バタフライ』など話題作への出演が続く斎藤工。
極限状態にある漫画家をリアルに体現してみせた彼に、原作への思いや本作の撮影を通して感じたことなどを聞いた。
撮影/奥田耕平(THE96) スタイリスト/三田真一(KiKi inc.) ヘアメイク/赤塚修二 文/奥村百恵 衣裳/ジャケット¥69,300、ベスト¥41,800、シャツ¥33,000、パンツ¥41,800(スズキ タカユキ)
画像1: 斎藤 工インタビュー 物作りをしていて絶対に避けている事とは

――原作漫画「零落」を読まれたときの感想からお聞かせいただけますか。
「浅野いにおさんの作品にはずっと魅せられていたので、最初に「零落」を読んだときは“なんだこれは!”といういい意味での衝撃を受けたのを覚えています。チャップリンの『独裁者』の最後の演説のような、いにおさんの叫びみたいなものが描かれていてゾッとしたというか、“好きだけどすごく嫌い”という感覚でしたね。近年はケネス·ブラナー監督の『ベルファスト』やスティーヴン·スピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』など自伝的作品が増えていますが、それはつまり他人には見せてこなかった姿を赤裸々にさらけ出すぐらい自分と向き合わないと、観客には響かないという時代の流れが多少あるのかなと。そういった自伝的作品と同じようなものとして「零落」を捉えていました」
――主演としてお話をいただいたときはどのような心境でしたか?
「いにおさんの作品は「ソラニン」「うみべの女の子」と映画化されていますが、『他に実写化できそうな作品は零落しかない』とご本人がおっしゃっていたそうなんです。SF作品は映像化するのは難しいという意味だと思いますが(笑)。それがまさか自分に声をかけていただけるとは想像もしていなかったので、光栄に思ったのと同時に、“しんどいのを覚悟で挑まないと深澤は演じきれない”という気持ちでした」
――本作を通して、斎藤さんが物作りをする上で改めて大事だと感じたことを教えていただけますか。 
「流行に乗っかって物作りをすると、特に映像の場合は完成までに長い期間を要するので、いざ世に出そうとすると作り始めた当初からガラッと流行が変わっている可能性が高いんです。なので、それだけは絶対に避けるようにしていますが、それは普遍的なテーマで独自のものを作るみたいなカッコいいことではなくて、僕の場合は“こうはなりたくない”というのを排除しているだけというか。つまり消去法ですよね。そういう意識で作品作りをしているつもりです。ところが、そのやり方が通用しないこともあって、どうしてもいまの流行が優先されて、クリエイティブな部分が奪われてしまうことも少なからずあります。なので、作品作りをする上では、“自分にしかできないこと”を貫き通す必要があるのかなと思っています。「零落」もいにおさんにしか描けない作品だと思いますし、『ベルファスト』を観たときもそれは感じましたね」

画像2: 斎藤 工インタビュー 物作りをしていて絶対に避けている事とは

映画『零落』
原作は青春漫画の金字塔「ソラニン」を放ったカリスマ漫画家·浅野いにおの新境地にして衝撃の問題作。メガホンを執ったのは『無能の人』から10作品目となる竹中直人。主人公の元人気漫画家·深澤薫役を斎藤工、“猫のような目をした”風俗嬢·ちふゆ役を趣里、敏腕漫画編集者で深澤の妻·町田のぞみ役をMEGUMIが演じ、さらには玉城ティナ、安達祐実など個性的なキャストに加え、永積崇(ハナレグミ)、しりあがり寿、大橋裕之などバラエティ豊かな著名人も多数出演し、映画に深みを与えている。本作の主題歌「ドレミ」はドレスコーズの志磨遼平が書き下ろした哀愁漂うバラード。人気漫画家が長期連載を終え、新作が描けないことから落ちぶれていくさまが容赦なく描かれた注目作となっている。

〈CAST/STAFF〉
原作:浅野いにお「零落」
   (⼩学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
出演:斎藤⼯
   趣⾥ MEGUMI ⽟城ティナ / 安達祐実
監督:⽵中直⼈
脚本:倉持裕 ⾳楽:志磨遼平(ドレスコーズ)
配給:⽇活/ハピネットファントム・スタジオ
3⽉17⽇(⾦)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
©2023浅野いにお・⼩学館/「零落」製作委員会

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