アンドリュー・ガーフィールドに続いて、オスカー主演賞を是非とも獲って欲しかったのが、フランスのエレガンスを漂わせるイザベル・ユペールでした。

候補になった途端、大勢のアメリカのテレビリポーター達は「イザベル・ヒュッパート」と発音していましたが、ま、世界的に有名でないこと、主演作もメガヒットなどではないので、仕方がありませんが。

「エル」(2016)はイザベルの格調高いエレガンスの外見と内面の異常性を見せての、おはこ役ですが、多くのアメリカ人はこの手の人格を好まないのです。

女社長でいながら、レイピストを性的に心待ちし、おまけに復讐も企てるという、魔性を秘めた女性を受け入れられない清教徒の残りがまだまだあるのでしょう。

「ピアニスト」(2001)でのピアノ教師の性的猟奇性には度肝を抜かれましたが、今では大好きな映画のひとつ、あまり見返したくありませんが、特別な映画です。

映画で見るより実際の彼女は、はるかに小柄で、顎が張っているために顔が大きく見えますが、スクリーンに登場すると、たおやかで、繊細で、何を着てもエレガントに見えるという女優ならではの自分の見せ方を把握しているのも素晴らしい!

ゴールデングローブ賞のようにドラマ部門と喜劇ミュージカル部門に分かれていたら、オスカー賞を取れたかもしれませんが、残念ながらオスカーはドラマ、喜劇合わせて5人しか枠がありません。

「エル」のポスターに猫を抱き上げている構図がありますが、彼女のパブリシストのメロディーが自分の愛犬を抱かせてのパロデイー版を作ったりしています。そういうことに軽く乗って、人生をほとんど屈託なく楽しんでいるイザベラに乾杯です。次のユニークな役に期待しましょう。

1953年3月16日、フランスのパリ生まれですから間も無く64歳。今でも平然とヌードになる肝っ玉根性。こういう味わいと佇まいのあるシニアの女優がハリウッドでは見かけないのも寂しいことです。

去年の「エル」に続いて、今年は「エヴァ」(2017)という、紛らわしいタイトルの映画にギャスパー・ウリエルと共演します。他にも数本主演作が並んでいるモテモテの女優ですから、またのオスカーチャンスが巡ってくるでしょう。

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