ハリウッドスターインタビュワー歴37年の成田陽子がお送りする「風と共にハリウッド」では、自身のインタビュー内容はもちろん、スターのさまざまな情報をお届けします。
今回は、今年のゴールデングローブ賞にノミネートされ、必ずオスカー賞候補にもなるダニエル・デイ=ルイスを取り上げましょう。彼は昨年俳優引退宣言をしたのでインタビューは無しですが、代わりにアンダーソン監督がダニエルの入魂の仕事ぶりを雄弁に話してくれました。

成田陽子(なりた・ようこ)
ハリウッドのスターをインタビューして37年!!ツーショットと来たらどっさりざくざく。最近は映画の記事も減ってきて発表してないお宝が貯まる一方。貯金は減る一方ですが、ともかくつたないブログで全く為にならないお話と、とっておきの古い写真とか新しいものも載せていきたいと思ってます。

ダニエル・デイ=ルイス主演の「ファントム・スレッド」PHONTAM THREAD(2017)私の大好きな映画です。

1950年のロンドン、と聞いただけでもう胸が高鳴りますし、主人公はヨーロッパの貴族や富豪の婦人たちのドレスをデザインして仕上げる高級ドレスメーカーというファッションと格式の世界、それをあの憑依の役作りをするダニエルが演じるのですから!

アメリカ人の監督、ポール・トーマス・アンダーソンとは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)(なんという邦題でしょうか!)で一緒に仕事をしている仲ですが、鬼才アンダーソンは初めての英国のドラマにして、英国ロケ、ほとんどが英国人のキャスト、という挑戦でした。

最初の俳優断念宣言の後イタリーに行って靴作りをマスターしたりしたダニエルですが、今回もまた俳優をやめるとアナウンス。ドレスメーカーの仕事を遂行するために今回は2年間縫製を学び、映画に出てくる自分自身の衣装は全て自分選んだばかりか、絹もボウタイやスカーフは自分で縫製したという、またもやの凝りようです。

そして、女性たちの豪華なドレスより、ダニエルの着るスーツやタキシード姿、仕事着に至るまで、洗練と品格の頂点の美しさとエレガンスが覗けて、男性ファッションの奥義が展開、上等な絹やウールの質感が耐え難いほどの美しさで画面に登場します。

大昔、少女!の私が住んでいた家にはお倉があって、その中には戦前の着物や生地が締まってあって、その中から私はオフホワイトの羽二重を出してきて、家族の洋服を縫ってくれていた女性にこれでブラウスを作ってくださいとお願いしました。

羽二重のぬめりとした感触が大好きで、約3枚のブラウスは大事に、大事に着たものでした。というわけで私は小さい時からファッションや生地が大好きだったので、この映画に対する情熱がお分かりいただけましょう。ともかくダニエルの見せびらかさない、本物のプロ根性の役作りには感服するばかりです。

1957年4月29日、英国はロンドン生まれ、父御は桂冠詩人のセシル・デイ=ルイス、母御は女優のジル・バルコンですから芸術性に富んだ存在になる運命は決まっていたと言えます。

フランス人女優のイザベル・アジャーニとの間に息子が一人、1996年にはアメリカ人の名高い作家、アーサー・ミラーの娘のレベッカ(彼女もライターと監督として活躍中)と結婚して二人の子供が生まれています。

ツーショットはもう少しあるのですが、いつものように箱の中で埃をかぶっているのでしょう。

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