ほとんどすべてのマーベル映画にカメオ出演しているサングラスの謎の男。その正体は“アベンジャーズ”らマーベル・キャラクターの生みの親であり、世界で最も多くの作品が映画化されたコミック作家!7つのキーワードでマーベルの父の伝説に迫ります。(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)

STAN LEE(スタン・リー)
【年齢】95歳(1922年12月28日生まれ)
【肩書】マーベル・メディア名誉会長
【トレードマーク】サングラス
【代表作】スパイダーマン、アイアンマン、ドクター・ストレンジetc.

KEYWORD_01: マーベルの父

スタン・リーはマーベル・コミックの伝説の編集長(後に発行責任者、つまり社長になる)にして数多くのマーベル・ヒーローの原作者。ファンタスティック・フォー、ハルク、マイティ・ソー、アベンジャーズ、X-MEN、スパイダーマン、ドクター・ストレンジ、デアデビル、ブラックパンサー等は彼の手によるものである。

画像: マーベル・ヒーローの大半は彼が“創造”したもの

マーベル・ヒーローの大半は彼が“創造”したもの

キャプテン・アメリカは彼の創作ではないが、アベンジャーズに発見され現代に蘇るというドラマチックな設定はスタン・リーの手によるもの。また80年代からコミックだけではなくマーベル作品のTVアニメ化等にも積極的に関わり、これが後のマーベル映画につながったと言われている。あ

KEYWORD_02: ギネス記録に認定

スタン・リー原作(ないしストーリーを手掛けた)のマーベル・コミック・ヒーローたちは次々と映画化、TVドラマ、アニメ化され、製作総指揮としてクレジットされている。その功績が認められ、2011年ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに名前が刻まれた。(場所は7072 Hollywood Blvd. 星の数は2428番目)

画像: 「アメイジング・スパイダーマン」には“音楽を聴く図書館員”として登場

「アメイジング・スパイダーマン」には“音楽を聴く図書館員”として登場

そしてほとんどの作品にカメオ出演している。カメオで出演したこれらの映画の興行収入の合計が世界一となり”Super-cameo-Man”として2015年のギネス記録に認定された。なお「ブレイド」3作「ゴーストライダー」2作「パニッシャー」2作「エレクトラ」、「ローガン」等の一部X-MEN系映画にはカメオ出演していない。

KEYWORD_03: 実は本名じゃない

スタン・リーの本名はStanley Martin Lieber:スタンリー・マーティン・リーバーといい、つまりファースト・ネームのスタンリーをもじったものだ。実はスタン・リー自身は作家や役者を目指していて(演劇学校にも通っていたという)、コミック・ブックの仕事は生活費のための仮の仕事のつもりだった。

そして作家か役者で大成した時に本名で名乗ろうと思い、コミックでの仕事においてはペンネームとしてスタン・リーを使っていたのである。しかしコミックの方で有名になり“スタン・リー”と呼ばれることの方が定着してしまった。

なおコミック・アーチストの一人ラリー・リーバーはその苗字からわかるとおり、スタン・リーの弟。

KEYWORD_04: コミック会の革命児

スタン・リーのマーベルのヒーロー物はコミック界に革命を起こしたと言われるが、それは昔ながらのスーパーヒーロー物にリアリティを持ち込んだこと。

画像: 「アベンジャーズ」シリーズも“もしこの世界に本当にヒーローがいたら? ”という視点で描かれる

「アベンジャーズ」シリーズも“もしこの世界に本当にヒーローがいたら? ”という視点で描かれる

つまり“もしこの世界に本当にヒーローがいたら? ”の視点で描かれており、彼らの活躍する街は実在のニューヨークであり、ヒーローなのに家賃が払えず困っているスパイダーマンや世間から拒絶されるハルク、武器商人がヒーローという異色の設定のアイアンマン、ベトナム戦争と向き合うキャプテン・アメリカ、黒人ヒーローのブラックパンサー等、こうしたキャラづくりやストーリーが共感を呼び多くの読者層を獲得。コミックの可能性を広げたとされる。

KEYWORD_05: 有名なフレーズ

スタン・リーがサイン等を求められたときに書くコトバにExcelsior!(エクセルシオール!)がある。日本語では「向上せよ!」と訳されるが、これは彼が読者との交流をはかった編集後記的なコラムページ"Stan's Soapbox"(スタンの石鹸箱)の締めにいつも使っていたコトバ。

画像: サインを書くときは一緒に添える定番の言葉が

サインを書くときは一緒に添える定番の言葉が

スタン・リーはこのコラムを通じて若い読者に多様性の大切さを訴えたりしており、まさにマーベル・コミックを通じて少しでも豊かな人間性を身につけてほしいという気持ちが込められていると言われている。

またここでは“スマイリィ”スタン(笑顔のスタン)と名乗っている。東京コミコンでも感じたが、彼は多くの人々にいつも笑顔とユーモアで接してくれる。

KEYWORD_06: マーベル・メソッド

スタン・リーがシナリオを書き、それに合わせてアーチストが絵をつけていると思われがちだが、スタン・リーはまずプロットをアーチストにわたし、それをうけアーチストがコミックを描き、最後にスタン・リーがセリフを入れる、という方法をとった(この工程はマーベル・メソッドと言われる)。

従ってアーチストも自分の個性を活かし作品を仕上げられ、そしてスタン・リーは出来上がったキャラたちの活躍の場面を見ながら、それにふさわしいセリフを入れていくことで、より活き活きとした作品に仕上がったという。スタン・リーは役者志望だっただけに、キャラ毎のセリフに特にこだわったようだ。

KEYWORD_07: 日本との関わり

ゴジラをアメコミ化したり、日本の巨大ロボ・アニメ(『勇者ライディーン』等)を『ショーグン・ウォリヤーズ』のタイトルで発行したりと“日本のコンテンツのマーベル・コミック化”も多数手がけた。またマーベルを離れてからも日本のクリエーターとコラボした『HEROMAN』(ヒーローマン)『機巧童子ULTIMO』『THE REFLECTION』(ザ・リフレクション)等のアニメ、マンガ作品もある。

なお日本の東映が制作した特撮TVドラマ版『スパイダーマン』についてはアクションのすごさや巨大ロボが登場するアイデアなどを評価した。過去に何度か来日しており、手塚治虫氏と対談したこともある。東京コミコンにも2年連続でスペシャル・ゲストとして参加。

画像: 2017年の東京コミコンにもスティーヴ・ウォズニアックと参加

2017年の東京コミコンにもスティーヴ・ウォズニアックと参加

さらに:知らなかった?! トリビア3選

トリビア1: 本当は蚊男だった?

東京コミコンで来日したスタン・リー氏に「スパイダーマンはどういう発想で生まれたのか?」聞いたところ「壁にはりつく男というコンセプトでモスキートマン(蚊男)も考えた、蚊じゃかっこ悪い」「空を飛ぶ代わりに糸でスウィングするというアイデアを思いつき」スパイダーマンが生まれた、と。

トリビア2: 本当はコレクション品だった?

当初『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では、ベニチオ・デル・トロ演じる怪人コレクターの集めた“収集品”の一つとしてカメオ出演するハズだった。なお実はマーベル・コミックスが原作の『ベイマックス』でもスタン・リー氏はアニメになってちゃんと登場している。

トリビア3: 初出演はホラー映画?

数々のマーベル原作映画に登場してるスタン・リー氏だが、意外にも映画初出演は、1990年の『地獄の殺人救急車/狙われた金髪の美女』というホラー映画。この作品では主人公が漫画家という設定で、スタン・リーは“本人役”で“マーベル・コミックの編集長”役で登場。

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