「君の名前で僕を呼んで」「BPM ビート・パー・ミニット」など最新作が次々公開される“LGBT映画”と呼ばれる一連の作品群。いまでこそオスカーや海外の国際映画祭で大きな賞を受賞する存在ですが、以前はLGBTを扱った映画は暗喩的なものだったり、カルトだったり、メインストリームから少し外れたものでした。しかし時代の流れによって、その立ち位置にも徐々に変化が。ここではそんな時代の変化の中で生まれてきた必見のLGBT映画をご紹介していきましょう。今回は2000年代から!従来、差別を受けたり、拒絶されたりするため、なかなか声を上げられなかったLGBTの人々が、自分自身の声を上げ出し、自己を追求、肯定するような作品が増加しました。(文・熊谷真由子/デジタル編集・スクリーン編集部)

01:「ブロークバック・マウンテン」

長年に渡って秘密の関係で結ばれた男たちの絆

画像: 長年に渡って秘密の関係で結ばれた男たちの絆

1960年代、ワイオミングの田舎町で出会ったイニス(ヒース・レッジャー)とジャック(ジェーク・ギレンホール)。時代にそぐわないふたりが葛藤しつつも密かに愛し合った20年を雄大な自然を背景に描いた叙事詩。アン・リー監督は「ゲイが主人公ではあるけれどロマンティックで普遍的なラブストーリー」と語っている。アカデミー作品賞候補になるなど高く評価された。

Brokeback Mountain( 2005)
監督:アン・リー
出演:ヒース・レッジャー、ジェーク・ギレンホール

02:「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

性適合手術を受けた主人公の心情が胸に迫る

画像: 性適合手術を受けた主人公の心情が胸に迫る

性適合手術を受けたものの、股間に“1インチ”(アングリーインチ)が残ってしまったヘドウィグが、自分の半身=本物の愛を探してアメリカ中を旅するミュージカル。もともとは監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルがオフブロードウェイで上演していた作品で、愛情あふれるヘドウィグの人物像にはジョン・キャメロン自身が投影されている。

Hedwig and the Angry Inch( 2001)
監督&出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル
共演:マイケル・ピット

03:「めぐりあう時間たち」

3つの時代を生きる3人の女性たちの生き様

画像: 3つの時代を生きる3人の女性たちの生き様

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』をモチーフに、異なる時代を生きる3人の女性の1日に焦点を当てる。1923年のイギリス、1953年のLA、2001年のNY。ゲイと明確にされていなくてもそれと匂わせる形で綴られる彼女たちの内面をニコール・キッドマン(オスカー受賞)、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープが体現。シンクロする3エピソードの語り口が見事。

The Hours( 2002)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ

04:「トランスアメリカ」

トランスジェンダーの父とその息子の米横断旅行

画像: トランスジェンダーの父とその息子の米横断旅行

トランスジェンダーのブリーが一夜の過ちで出来た息子トビーに、父親だと明かさないまま、共にアメリカを横断することになった道中を温かく見つめた作品。複雑な状況下のふたりのやり取りがくすりと笑え、人と人が向き合うことの大切さを教えてくれる希望のある展開がいい。フェリシティー・ハフマンが“元男”という難しい役どころを好演し、高く評価された。

Transamerica( 2005)
監督:ダンカン・タッカー
出演:フェリシティー・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ

05:「シングルマン」

愛する人を失った大学教授の前に現われた若い男

画像: 愛する人を失った大学教授の前に現われた若い男

パートナーを亡くした大学教授ジョージはその孤独と悲しみから命を絶つ決意をするが、教え子のケニーが彼に近づいてきて……。デザイナーのトム・フォードが初めてメガホンを執った作品で、ファッション界で培ってきた彼の美的センスが爆発した描写の数々は必見。コリン・ファースのただならぬ色香、子役から脱したニコラス・ホールトの美青年ぶりに世界中が驚嘆した。

A Single Man(2009)
監督:トム・フォード
出演:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア

2000年代その他のチェック作

カミングアウトという行為が少しずつ認識されていった時代。映画にも「ミルク」のような差別と闘うというジャンルと共に、自己探索のようなジャンルも増えてきた。そんな中、「キンキー・ブーツ」や「フィリップ、きみを愛してる!」のように柔らかいタッチでLGBTに対する世間のイメージをポジティブに変えて行くものも登場。またTV界で04年からスタートした、レズビアンのコミュニティーを描く「Lの世界」がヒットし、支持されたことも特筆すべきだろう。

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