「ゲティ家の身代金」演出中のリドリー・スコット監督
世界一有名な誘拐事件を、巨匠リドリー・スコットの手で映画化した『ゲティ家の身代金(原題:All the Money in the World)』(KADOKAWA配給)が2018年5月25日(金)に日本公開。この作品について語るスコット監督のインタビューが到着した。

僕にはやらないといけないことがわかっていた。さもなければこの映画は消え去ってしまっただろう

フォーチュン誌によって、世界で初めての億万長者に認定された石油王ジャン・ポール・ゲティ。1973年ローマで彼の孫が誘拐され、当時史上最高額とも祝える身代金を要求されたものの、その支払いを拒否した世界一有名な誘拐事件。当時、世界中で話題となったこの衝撃の事件を現代のスクリーンに蘇らせたのは、『オデッセイ』『グラディエーター』『エイリアン』など、数々の不朽の作品を世に放つ、巨匠リドリー・スコット監督だ。このたび、『ゲティ家の身代金』のメガホンをとった巨匠リドリー・スコットのインタビューが到着した。

画像1: ©2017 ALL THE MONEY US, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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——驚異的なスピードで再撮を決定なさって、当初の予定通り年内公開、というのが信じられませんでした。この奇跡を可能にしたのは一体なんだと思いますか?

リドリー・スコット(以下R):素晴らしい効率の良さと、たくさんの経験だよ。そこには何のマジックもない。やっていることをちゃんとわかっていることだ。僕にはすごく経験がある。(最終的に)やらないといけないことがわかっていた。それは、基本的にケヴィン・スペーシーを入れ替えることだった。さもなければこの映画は消え去ってしまっただろう。このままではスタジオは、この映画にプリント代や広告費をかけないからね。公開日に行き着く前に死んでしまっただろう。僕のパートナーや僕に、そういうことを起こさせることは出来なかった。なぜなら、(製作費を出したのは)ソニーじゃないからだよ。プライベートの投資家なんだ。だから僕は彼のところに行って、「僕たちはこれを直せる。誰をキャストし直すことが出来るかわかっている。再撮をして、予定通りに公開出来るよ」と言ったんだ。僕にはそれを出来ることがわかっていた。なぜなら僕のチームは、どんなことでもとてもうまく出来るからだよ。彼らはとても優れている。正確さがとても大事なんだ。

——クリストファー・プラマーのことをすぐに思いついたんですか?

R:クリストファー・プラマーの名前は常に候補者のリストにあった。かなり前にこのプロジェクトをやっていた時にね。実は、このプロジェクトを始めたのは多分、5月か6月なんだ。とても早く製作が進んだんだ。リストには2人しか載っていなかった。ケヴィン・スペーシーとクリストファー・プラマーだ。それで、僕はクリストファーに電話をかけたんだ。

——これは、世界一裕福な男がターゲットとなった世紀の大誘拐でした。

R:そうだね。

ーーそのためにスキャンダラスに語られてきた実在の事件を映像化するにあたって、最も焦点を当てて描きたかったのはどんな点でしたか?

R:僕は、事実に基づいたストーリーが好きなんだ。ほとんどジャーナリズムのようなストーリーが好きだ。僕がこれまでに手がけた他のジャーナリスティックな映画は、多分「アメリカン・ギャングスター」だ。「ブラック・ホークダウン」もそうかもしれない。それから間違いなく今作だ。
今作はジャーナリスティックな扱いが要求される。それは、僕が普段やっていることと違うものだよ。なぜなら、僕はたくさんサイエンス・フィクションをやるからだ。いろんな作品をやる。多様性のあるものをね。でも、僕は、今についての題材をやるのが好きなんだ。現代社会について。今日についてのものを。
これは、70年代に僕が経験したシンドロームだった。僕はこの事件のことをとてもよく知っていた。なぜなら、僕はロンドンで、60年代、70年代、とても楽しい時を過ごしたからだよ。だから、それに関わった人々を何人か知っていた。もちろん、とても興味を持った。でも、僕が企画開発したわけじゃない。脚本が送られて来たんだ。

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——2017年公開作、そして今後アナウンスされるものも含め、監督、プロデューサーとして膨大な数の作品を手がけていらっしゃいます。そのペースが年々加速しているようにも感じます。その原動力は一体何でしょうか?

R:それもまた経験だと思うよ。じっくり考えないことを学ぶんだ。くよくよ考えない。ただやるんだよ。今作で(ケヴィン・スペーシーとクリストファー・プラマーを)入れ替えたように、じっくり考えていないで、(その問題を解決するために)何か実際にやることだ。最も大変で最も困難なことは、どんな題材であっても、それを書くことだよ。一旦、それが脚本に書かれて、その題材についてのビジョンがあれば、フィルムメーカーやライターの見方によって、どんなことでも興味深いものになる。だから僕は多くの映画を手がけているんだ。自分がやっていることが大好きだからだよ。

——最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?今作の最大の見どころは何でしょうか?

R:この映画は、みんなが考えているものじゃないと思う。裁判事件であるとか、トーキングヘッズ(画面に語り手の顔が出てくるもの)じゃないんだ。今作には、とてもストレスフルで、時にはかなり暴力的なところが出てくる。多くの意味で、それは家族の崩壊についてのストーリーなんだ。でもまた、子供のために立ち向かったこの女性の人生におけるとても緊張した瞬間だ。ミシェール・ウィリアムズによって演じられたこの女性の意志の強さや勇気は、最も重要なものだ。ファンタスティックだよ。

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