アメコミライターとして活躍する杉山すぴ豊さんの連載コラム「すぴのアメコミ・ワンダーランド」では、アメコミ関連の映画について、縦横無尽に楽しい知識、お得な情報などをみなさんにお届けしています! 今回は、2019年2月8日に公開されるDCヒーロー映画の最新作「アクアマン」の面白さをたっぷりご紹介。

杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

「ジャスティス・リーグ」を観ていなくともわかりやすい

2019年のアメコミ・ヒーロー映画シーンはこの男から始まります!そう、「アクアマン」です。一足早く観る機会に恵まれたのですが、これはヒーロー映画の枠を超えて、あらゆる娯楽映画の楽しさを詰め込んだ“テンコ盛り”超大作です。

物語的には「ジャスティス・リーグ」の後という設定で、世の中は都市伝説的に“アクアマン”の存在を知っている、という感じです。ただ「ジャスティス・リーグ」を観ていなくとも十分わかりやすく楽しめる仕掛けになっています。本作はまず正統派のスーパーヒーロー映画になっている、そしてインディ・ジョーンズ的冒険映画になっている、さらに「アバター」的異世界で繰り広げられるヒロイック・ファンタジーでもあります!

加えてニコール・キッドマン演じるアクアマンの母、アンバー・ハード演じる海底人メラの美しさとかっこよさにノックアウトです。ニコール・キッドマンがまさかあんな格好をしてくれるとは思わなかったし(笑)、メラはマーゴット・ロビーのハーレイ・クイン、ガル・ガドットのワンダーウーマン級にDCコスプレーヤーの定番になっていくことでしょう。

画像: 不死身のヒーロー感炸裂!カッコよすぎるぜアクアマン

不死身のヒーロー感炸裂!カッコよすぎるぜアクアマン

本作で気に入っているところとは...?

実は僕が本作で気に入っているのは“人を助けるシーン”がちゃんとあることなのです。僕自身「マン・オブ・スティール」のすごさを認めながらも、やっぱりクリストファー・リーヴの「スーパーマン」に軍配をあげる理由は、「マン・オブ・スティール」にはスーパーマンが颯爽と人助けをするシーンがないからなのです。それは「バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生」でもそうでした。

やっぱりヒーロー物って、どんなにヒーローの欠点や葛藤を描くドラマが充実していたとしても、みんなを助けてキャーってされるというシーンが欲しい。そういう意味で「ワンダーウーマン」はそうしたカタルシスがちゃんと用意されていたし、今回の「アクアマン」にも海のヒーローとして活躍する見せ場があるのです。

スーパーマンは空を飛べるからヘリコプターや飛行機を救うシーンが多いのですが、アクアマンは海ですから潜水艦を助けるのです。ジェイソン・モモアの豪快っぷりもマッチしていて不死身のヒーロー感が炸裂。

確かにこの男ならロケットランチャーを直でくらっても平気だろう的な説得力があるのです。90年代のシュワちゃんやスタローンの映画って、常識的に考えれば一人であんなにたくさんの敵を倒せるわけないのですが、この2人の肉体とかオーラで納得してしまいますよね。それに近い。肉体派タフガイといえば、ドルフ・ラングレンが海底人の王役で出演しています。

画像: アクアマンが潜水艦を救うシーンに惚れます!

アクアマンが潜水艦を救うシーンに惚れます!

フラッシュかアクアマンのどちらかを選べと言われたジェームズ・ワン監督

さて、本作を担当したジェームズ・ワン監督が面白いことを言っていて、彼はワーナーからフラッシュとアクアマンのどっちかを監督して欲しい、と言われたそうです。その時アクアマンの方をチョイスした理由は“フラッシュは2度素晴らしいTVドラマ化されていて、自分が新たに手がける必要はないと感じた。でもアクアマンはまだ誰もやっていない”“それにアクアマンなら、僕が憧れていたスピルバーグやジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、ジョン・カーペンターのようなジャンル映画の要素をすべて盛り込めると思ったんだ”と。冒頭書いたように「アクアマン」がテンコ盛りエンターテインメントに仕上がったのはそういう理由からなのでしょう。

コミックの方ではアクアマンは1941年に発売されたMore Fun Comics 73号(11月号)でデビューしました。この号ではTVドラマ『ARROW/アロー』のベースとなっているヒーロー、グリーン・アローもデビューしています。いまDCのTVドラマはアローが牽引し広がりを見せています。これからのDC映画はアクアマンが文字通り“水先案内人”となってくれそうです!ちなみにマーベルにはサブマリナー(ネイモア)という海底人ヒーローがいます。「アクアマン」に触発されてマーベル・シネマティック・ユニバースでもこのキャラクターが映画化されるかもしれませんね。

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