LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナー。今回のゲストは「ダンボ」でも話題のエヴァ・グリーンです。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

大の高所恐怖症だったのだけど、訓練で勇気が出てきて空中ブランコに乗ったのよ!

エヴァ・グリーン

『子供の頃サーカスに連れて行ってもらうと必ず寂しい気持ちになったものだった。野生の動物がオリに入れられて、道化師は面白いより恐ろしいし、子供の繊細な感性だからこそあの「寂しさ」が強く感じられたと思うのよ。同じ意味で動物園も駄目。

アフリカに何度か行ったのだけれど広大な自然でのびのびとしている野生の動物を見るとまさに「マジック」のパワーが感じられる。素晴らしいことにディズニーは「アニマル・フリー・サーカス」(動物抜きのサーカス)のキャンペーンをスタートしたのよ』

と「ダンボ」のインタビューで偶然にもディズニーのPR役を買って出たエヴァ・グリーンが嬉しそうに話してくれる。

アレキサンダー・マックイーンの豪快な白のドレスにアクセントは巨大な石の指輪(エレナ・アクトバというロシアのデザイナーだそう)を身にまとって、エヴァは空中ブランコ乗りの役作りについて話を進めてゆく。

『何しろ私は大の高所恐怖症で、本格的にブランコに乗るなんてとんでもないと最初にお願いしたのね。でもティム(バートン監督)は、ちょっとだけ練習してみたら?なんて凄く優しい声で勧めて、徐々に高いところに登って毎日3時間サーカスの人たちに教えてもらっているうちになんとなく勇気が出てきてやったのよ!ブランコを。

怖いより皆さんの忍耐強いコーチングに応えたいという想いでいっぱいだった。連日のトレーニングで肉体のコアと腕の筋肉がすごく発達して、ただで肉体改造をさせてもらってラッキーなんて思ったり。それにしてもサーカスの人たちって毎度死の恐怖にさらされていて、マゾヒストたちなのだなあと思ったわね。

ティムとは「ダーク・シャドウ」の傷ついた魔女、「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」の鳥女とこれで3度目なのだけれどとっても純粋で、優しくて、繊細で、俳優たちの言うことを丁寧に聞いてくれるアーティストで、一緒にいると内気な私でさえかばってあげたくなるほどデリケートなのよ。お互いのユニークなセンスが合致する時が最高の創造プロセスね。私は本番の前にはクラシックの音楽を聴いている。心が落ち着いて集中力が出てくるから』

「ダンボ」

昔はパン屋さんで女優の母の名前を利用したりしてイヤな子供だったかも(笑)

『サファリ旅行で一番印象に残っている動物はトリ。それも「セクレタリー・バード」という大きな鳥で、とっても深刻な顔をしてオフィスに出かける秘書みたいなのよ。それから一度はサイの赤ちゃんがいて、みなし児だから人間に近寄りたいのに角があるから危険だとハグとかできなくて。赤ちゃんは自動車に体を擦り付けられたりして、とっても可愛そうだったのもよく覚えているわ。

昔は虫のコレクションとか動物の剥製に凝っていたけれど、今はもうすっかり卒業して「ビーガン」(極端な野菜食)のダイエットに励んでいるから虫も動物もそばに置きたくなくなってしまったの。いまだに私の剥製趣味について聞かれるけれど、もうお終いです。

子供の頃、母(フランスの女優、マルレーヌ・ジョベール)と一緒に外出するとサインを求めるファンとかに囲まれて私はそういう状況を目の当たりにしてスターという役目を感じていたけれど、私自身はあまり目立つところに行かないし、ボーイフレンドも居ないし、外では煩わされることが少ないわね。小さい頃、大好きなパン屋さんに行っては「マルレーヌの娘だから」なんて言って順番を待っている列から最初にしてもらったり、ずいぶん母の知名度を利用したものだったわ。

今考えるとずいぶんイヤな子だったと思うけれど(笑)。母からは女優になると他人から勝手に判断される、人間として尊敬されなくなる、次の仕事が来るか来ないか常に不安な精神状態になる、というローラー・コースターの生活を我慢できるなら、というアドバイスを貰って、それは本当だったわね。

私は自然が大好きだからいつか自然の真っ只中にある農場みたいなところに住みたいと思っているの」次はマット・ディロンと「プロキシマ」という宇宙飛行士のドラマで共演するそう。

筆者とエヴァ

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