「小さな恋のメロディ」©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
11歳の少年少女の初恋を瑞々しい感覚で描き初公開時に日本で大ヒットを記録した「小さな恋のメロディ」が、2019年6月7日より東京・角川シネマ有楽町にてリバイバル公開される(全国順次公開)。

11歳の少年少女のあまりにも純粋なファースト・ラブ

青春映画のバイブル──というとなんだか大げさなと言われるかもしれないが、まさにその名にふさわしい1本のイギリス映画がある。1971年に初公開された「小さな恋のメロディ」。この題名を聞いただけで甘酸っぱい気持ちになってしまう人が実際に何とも多いのだ。

「小さな恋のメロディ」ポスター
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ストーリーはロンドンに暮らす11歳の少年少女、ダニエル(マーク・レスター)とメロディ(トレイシー・ハイド)の初恋を描くもの。パブリックスクールに通うダニエルは、親友のトム(ジャック・ワイルド)と毎日一緒に遊んでいた。ある放課後、教室でバレエの練習をしている女子たちをのぞき見したダニエルは、その中にいたメロディという美少女に一目で心を奪われた。

メロディに夢中になったダニエル。そしてダニエルの気持ちに気づいたメロディ。二人は雨の墓地でデートしたりするうちに、『いつも一緒にいたい』という純粋な思いから、『すぐにでも結婚したい!』と決心。でも大人たちはみんな反対。『なぜ11歳じゃダメなの?』やがて二人の強い思いは学校の同級生たちも巻き込んで……

画像: メロディとダニエルの純粋な初恋を描く ©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

メロディとダニエルの純粋な初恋を描く
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あまりに純粋、あまりにキュート。出演者だけでなく、製作スタッフもほとんど20代という。後に「フェーム」や「ミシシッピー・バーニング」などを監督するアラン・パーカーが27歳で原作・脚本を担当。製作を務めたデヴィッド・パットナム(後にオスカー受賞作「炎のランナー」などをプロデュース)も30歳になったばかり。そんなイギリスの若い才能が集まって生み出された革新的な作品は、母国では殆ど受け入れられなかったというが、なぜか遠く離れた日本で若者たちに熱狂的に支持されたのだ。

当時の日本の配給会社、日本ヘラルドでもこの大ヒットは驚きで、結局1971年公開洋画の年間5位となる興行収入をたたき出した。このクラスの製作規模の作品では驚異的な数字で、映画業界では誰もこの現象を予想できなかったという。

画像: 70年代何度も再公開されるごとに熱狂的ファンを生んだ ©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

70年代何度も再公開されるごとに熱狂的ファンを生んだ
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そんな現象を起こしたのは、まさしく当時の若年層の観客たち。SCREEN誌の若い読者もトレイシー、マーク、そしてジャックに夢中になった。映画の中でダニエルがメロディに恋したように、観客も等身大の感覚で俳優たちに恋してしまったのだ。

SCREEN読者の中には、実際に友人同士でロンドンまで旅立って、トレイシーの自宅を訪ねて、彼女と会い、ロケ地を歩き回ったレポートを送ってくれた人もいた。今でいう聖地巡礼の先駆けだろうか。1970年代のうちに何度かリバイバル公開され、テレビ放送もされ、そのたびにこのような熱狂的ファンが新たに生まれ、まさに“青春映画のバイブル”となったのだ。

ビー・ジーズの名曲の数々が今もあの感動をよびさます

画像: メロディを演じたトレイシー・ハイドは日本のアイドルに ©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

メロディを演じたトレイシー・ハイドは日本のアイドルに
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もうひとつこの映画を語る時に忘れてならないのは“ビー・ジーズ”の音楽もある。

『メロディ・フェア』『若葉の頃』『イン・ザ・モーニング』など、透き通るような歌声が、映画の詩的な情感を盛り上げ、今でもこれらのメロディがラジオなどで流れると、映画を見た瞬間に戻るというファンも少なくない。あれから半世紀近くが経ってもなお「小さな恋のメロディ」がフレッシュであり続けるのはエバーグリーンな“ビー・ジーズ”メロディの功績も大きい。

画像: ダニエルを演じたマーク・レスターは売れっ子子役になった ©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ダニエルを演じたマーク・レスターは売れっ子子役になった
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2年ほど前、マーク・レスターが東京コミコンに来場し、SCREEN主催でサイン会を行なった時、会場には3日間続けてファンの列が後を絶たなかった。もちろん70年代に「小さな恋のメロディ」に出会った世代が中心だが、それほど愛される映画はほかにどれだけあるだろうか。今は俳優を引退し、整体師をしているというマークは、現在フランスに住んでいるトレイシーにも一緒に行こうと声をかけたという。

残念ながらその時は実現しなかったが、二人が再び一緒にファンの前に現われる日を願って、今回のリバイバルにもう一度駆けつけてはどうだろうか? 

また本作と同時にもう一つの青春映画のバイブルといえる60年代ニューシネマの名作「卒業」も4Kデジタル修復版で再公開される。こちらも併せて楽しんでほしい。

「小さな恋のメロディ」
2019年6月7日(金)公開
角川シネマ有楽町ほか全国公開
配給:KADOKAWA
©Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

60年代の若者に衝撃を与えた傑作「卒業」が4Kデジタル修復版で再公開
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