LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は、『さらば愛しきアウトロー』の主演を最後にもう俳優業は引退したいと宣言したロバート・レッドフォードに直撃!

成田 陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

80歳で俳優引退しようと考えていたが相応しい作品を探してちょっと延びてしまった

さらば愛しきアウトロー』の主演を最後にもう俳優業は引退したいと宣言したロバート・レッドフォード。ダニエル・デイ=ルイスも『ギャング・オブ・ニューヨーク』の時は同様なことをしてしれっとカムバックしたから、全くあきらめる必要もなし、監督業はしたいそうだからカメラの裏側に立っているうちにまた復活するチャンスは大いにあると見よう。

『愛と哀しみの果て』(1985)で初めてインタビューして以来、ロバートはほとんどトレードマークのデニム・ウエアで現れる。ハリウッド・ナンバーワンと言われるグッドルックス、金髪、日焼けしたスポーツマンの肌、スレンダーな体が紺色の木綿地に映えると知っての上でのカジュアル・スタイル、初対面から30年あまり経ったが、眼の前の82歳の当人はシワこそ増えたものの、ほとんど無変化である。

なぜ今、引退を表明したのかと質問。

「実は80歳になった時に俳優を辞めようと思ったのだが最後の映画になるのがジェーン・フォンダと共演の『夜が明けるまで』(2017/配信)になってしまう事に気がついた。実に寂しく、深刻な老人の恋愛ドラマだったから、これをスワン・ソング(最終公演)にするのは余りに悲しすぎる。

次の作品を待ってみようとした矢先に『さらば愛しきアウトロー』のオファーが入って来た。面白くて、気分が高揚する内容ではないか。加えて僕自身のキャリアに同調する部分もあるし、僕が生きて来たジェネレーションの生活感なりテンポやリズムが感じられて、これぞ、夕日に向かって消えて行くガンマンのイメージを見せる映画だと思ったんだ。

今、僕らが直面している現実の社会はとてつもなく暗く、環境問題といい、これ程までに二極化し、党と党の間にある狭間を越えて共同活動などありようもない憂鬱な政治体制を目の当たりにして、映画ぐらいは晴れやかな気分にしてくれるものを見たいと誰もが思うだろう。民衆が皆、敗残兵の様な気分になってしまった今だからこそだ。

画像: 『さらば愛しきアウトロー』

『さらば愛しきアウトロー』

題名のガン(原題は『THE OLD MAN AND THE GUN』)というところが今いち納得出来ないが少なくとも「老人と銃」で、「銃を持った老人」ではないから我慢したのだがね。映画の中では僕の役は脅かすだけの空っぽの銃を持ち、一度たりとも発砲していないから殺人もしていない。この銃飽和時代に老人が銃を持って人を殺す映画などには絶対に出たくないからね。結局81歳になってしまったが21歳から俳優業を始めて60年余り、もう充分にやり尽くしたと言う気分なのだよ」と静かな声で、丁寧に応えてくれた。

今までで一番好きな自身の出演作品は『明日に向って撃て!』

「銀行強盗と俳優業はある意味で似ているところがあると気がついた。どちらも膨大な練習の積み重ねの成果で、活動の間は緊張と苦しみが往来し、終了するとエベレストに登ったような高揚感がみなぎり、それから深い深い絶望感に襲われる。アップとダウンの差が凄くて、精神状態が不安定になりがちにもなる。次のアップ感を求めて再びの冒険に乗り出してしまう。それの繰り返しが似ていなくもないと思ったよ」

今までで一番好きな出演作は、と聞いてみた。

「やはり『明日に向って撃て!』(1969)だろう。この映画でポール(ニューマン)と親しくなって生涯の友のつながりを持てたし、その後に再び彼と共演した『スティング』(1973)にも懐かしい思い出が詰まっている」と懐かしそうな表情を浮かべていた。

「子供の頃から絵を書くのが大好きだった。良い教師に巡り会えて絵画に集中する機会を与えてくれて今でも絵、アートは生活の重要な栄養になっている。自然が大好きだったからユタ州の山の中のサンダンスに家を持ち、ニューメキシコ州のサンタフェにも別荘を建て、茂った木々の中での生活こそ健康な心身を与えてくれると信じているから、大都会に出てくると田舎のネズミのようになって早く自然の癒やしを欲してしまうんだ」

ちなみに『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、彼は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でも演じたアレキサンダー・ピアースという役でちらっと顔を出している。

Getty Images

『さらば愛しきアウトロー』予告編はコチラから!

前回はこちら。女優としての自信がない⁈ ダコタ・ジョンソン

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