LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が絶好調のレオナルド・ディカプリオをお迎えしてお送りします。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

レオナルド・ディカプリオ

子供時代からハリウッドで育ったものだから世の中のことを知らずに成長したようなもの

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」では二枚目の主人公役から汚らしいお髭の悪漢役にレベルダウンされて、人気稼業の儚さを嘆くテレビ俳優リック・ダルトンを熱演したレオナルド・ディカプリオは、インタビューの席にも薄っすらと髭をはやし、茶色の上着にダークグレイのシャツという役の延長のような格好で現れた。

『僕はハリウッドの真っ只中で生まれて育ったし、小さい時から映画が大好きだったからクェンテイン(タランティーノ監督)とは凄くうまが合うし、映画のことさえ喋っていればハッピーだからその点でも彼と殆ど変わらないオブセッションの持ち主。アンダーグラウンドのコミック漫画家だった父親について映画の撮影現場に行っては大道具の陰から場面の撮影を覗いていたものだった。

いつかこういう所でパフォーマンスをしたいと夢に見ていたのが、運よくコマーシャルのオーディションに受かって、それから次々にテレビの出演がかなって、子役から今まで僕の世界はいつも撮影現場だった。正直に言うと他の世界を全く知らないまま成長してしまったと言える。クェンティンにもその気があってお互いにシネフィル(映画オタク)だねえ、なんて笑い合ったり』

『マーゴット(ロビー)とは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で共演したけれどまだ新人の彼女を見て絶対にすぐにスターになるに違いないと思ったね。しかし彼女は全くの映画音痴で「チャイナタウン」?何それ?というひどいレベルで、物怖じしないあの突進力が女優としてのパワーになっているのだね。演技力とあのグラマラスな美しさももちろんだが彼女の積極的なチャージが成功のもとだと思う』

画像: 「 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

「 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

現在の恋人カミラとの結婚の可能性を尋ねるといつもの調子ではぐらかす

『ブラッド(ピット)とは初めての共演だけれど、今までハリウッドでお互いに似たようなルートをたどってきたから、織りなした〝タペストリー〞を共有していると言うのかな、不必要な気配りがいらない心やすさがあったから凄く良い感じの仕事ができた。やっぱり才能が溢れていて想像力に富んだ役作りを発散して僕も今まで以上のものが発揮できたと思う。

ほら、テニスをする時に自分よりうまい相手とするとレベルが上がるようにね。それに何と言っても気さくで楽しい相手役だった。これからも一緒の仕事があると嬉しいのだが』『この映画の背景は1969年で、僕は生まれていないけれど(1974年生まれ)映画やテレビで細かいところまで知っているから最高に居心地良い現場だった。

クェンティンが「フランク・アンド・ルッソー」というレストランでの撮影で、当時の食器を倉庫から出させて使ったという凝りに凝ったセットに、僕は懐かしい郷里に戻ったような気分を味わったのだから』実はこの数日後に「ミッキーとベア」という映画の主役をしている現在のレオの恋人、カミラ・モローネとの会見があった時、彼女にこの雑誌SCREENと一緒の写真をリクエストしたら『あら、レオと一緒の写真になるのね!』と表紙のレオを見て喜んでいた。

今まで交際した女性の殆どはスーパー・モデル、ざっと数えても人、カミラとの交際は今のところかなり長いために、すわ結婚という声も出ているのでレオにそのことを聞いたら、いつもと同じように、『先のことは分からないなー。そりゃあ、いつか家族を持ちたいけれど』という不明瞭な返事が返って来た。

今から年前「ボーイズ・ライフ」で初めて会った時のもやしみたいにふにゃふにゃだったレオは今、顎が真四角になって、まるでクラーク・ゲーブルのような貫禄のスターになっている。話し方も豊富な語彙を使って格調が出てきたし、これからはハリウッドを背負って立つ威厳を放つ俳優となるにちがいない。

26年前の筆者とディカプリオ

筆者とディカプリオ

Getty Image

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