『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などで2度のアカデミー賞(R)監督賞受賞を獲得した
巨匠アン・リーがメガホンを取り、
ウィル・スミスと待望の初タッグを組んだ話題作『ジェミニマン』。
今作のプロモーションで来日したプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのインタビューをお届けする。
画像1: 『ジェミニマン』
製作を務めたジェリー・ブラッカイマー
来日インタビュー

アン・リー監督は4Kの高解像度かつ3Dで撮影するのみならず、通常の1秒24フレームではなく1秒120フレームで撮影を行った新技術「3D+ in HFR」を導入することで究極の没入感を可能にした。
また、最新技術を用いてウィル本人の演技をもとにフルCGで制作された、当時の本人としか思えない23歳のウィルVS現在のウィル・スミスのバトルも見どころとなっている。
そんな今作のプロデューサーを務めたのは『アルマゲドン』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど数々のヒット作を手掛けてきたジェリー・ブラッカイマー。
プロモーションで来日した彼に、今作の撮影秘話を語ってもらった。

自分が観たい映画を作るのが一番大事だと思います。

ーー3D+in HFRというデジタルフォーマットを使用した今作ですが、これまで観てきたどの3D作品よりも遥かに没入感がありました。そういった最新技術について詳しくお聞かせ頂けますか。
「通常は毎秒24フレームで撮影を行うのが基本ですが、それだとフレームレートが遅すぎて動きを全て捉えられずブレが生じてしまうんです。それに粒子が粗いせいで柔らかい画になってしまう。ところが今作では毎秒120フレームで撮っているので、ブレもなく全てのものを鮮明に捉えながら撮影することができました。そういった部分に注目してご覧頂けたら面白いのではないかと思います」

画像1: 自分が観たい映画を作るのが一番大事だと思います。

ーーでは今後全ての3D作品にこの技術が使われる可能性もありますよね?
「良い面だけなら良いのですが、撮影で使用するカメラが大きすぎるのと、この技術を使用するにはとても高額なコストが必要なのでそこは今後の課題ですね。ただ、数年前まではいわゆる人気コミックの実写化は不可能でしたが、デジタルの特殊効果が進化したことで素晴らしい作品が沢山作られていますよね。それと同様に今作で使用した技術も少しずつ金額が安くなっていけば多くの作品で使わるようになると思います。それはコストの面だけではありません。実際に今作の撮影でもクランクインして間もない頃は大きなカメラとモニターやレコーダーなど色んなものを接続するために20本ものワイヤーが必要でしたが、撮影が終わる頃には6本に減っていました。そのように撮影中も進化を遂げていたので、今後はもっと使いやすくなっていくでしょうし、アン・リー監督は更に進化した技術を使って映画を撮っていくのではないかと思います」

ーー23歳のジュニアは若いウィルの肉体をフルCGで作り上げたそうですが、生身の人間とほとんど変わらない表情や動きに驚愕しました。このようにフルCGの人間であればもっと過激で危険なアクションシーンを登場させることも可能になるのではないかと思ったのですが。
「フルCGの人間の映像を作るためには実際に役者に演技して頂かなければリアリティが出ないですし、今回ウィルはパフォーマス・キャプチャーをつけてジュニアを演じてくれています。それにアクションシーンにはスタントマンの演技も必要になってくるので、やはり過激すぎる危険な撮影は役者やスタントマンにやって頂くわけにはいきません。ですから、フルCGだとしてもやれることに限界はあると思います」

画像2: 自分が観たい映画を作るのが一番大事だと思います。

ーーブラッカイマーさんは時代に合ったヒット作を数多く手掛けてこられましたが、“いま世間がどんな映画を求めているのか”というリサーチは常にされているのでしょうか?
「これまでリサーチは一切したことがありません。というのも、ひとつの映画を完成させるにはかなりの日数が必要なので、リサーチをして観客の求めるものを作り始めても公開する頃には全く違うものが求められる世の中に変わってしまっているんです。以前MGMがゼネラル・ミルズというシリアルの会社から人を引き抜いたことがありますが、ゼネラル・ミルズでは味のテストや広告、宣伝などリサーチに重きを置いている会社だったために同じ手法をMGMでも用いたことがあるんです。そしてリサーチをして作った全ての作品は失敗に終わりました(笑)。それがわかっているので私はリサーチしません」

ーーご自身のセンスや感覚を大事にされているということでしょうか?
「そうですね。自分が観たい映画を作るのが一番大事なのではないかと。ただ、完成後は必ず試写を行って、一般のお客様の意見を聞くようにしています。もしも内容に気に入らない点やおかしなところがあれば、追加撮影をしたり修正したりしているんです。それはこれまで手掛けた作品全てそうです。例えば『アルマゲドン』の試写を実施した際には、ベン・アフレック演じるA.J.がリヴ・タイラー演じるグレースにプロポーズをするシーンで“なんで指輪がないの?”という意見がお客様から出ました。マイケル・ベイ監督も私も指輪のことは全く気にしてなかったのですが、ご指摘頂いたのちに指輪を登場させるシーンを追加して撮影したんですよ(笑)」

ーーそんな裏話が聞けるとは思ってもいませんでした(笑)。ところで、ブラッカイマーさんが“映画を作りたい”と思うようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
「子供の頃から劇場で映画を鑑賞するのが日課になっていて、それは僕にとって大きな喜びでもありました。映画漬けの日々を送っていたある日、叔母が“本当に好きだと思えないような仕事はしてはいけない”と僕に言ったんです。それはきっと私の父親が一年のうちに2週間だけ休暇を取り、そのためだけに仕事を頑張っているような人だったからかもしれません。自分はそんな風になりたくないと思いましたし、なんなら“仕事=バケーション”だと思えるような人生を生きてしまおうと(笑)。おかげさまで楽しみながら映画作りをしています」

ーー最後の質問になりますが、ブラッカイマーさんがこれまでに大きな影響を受けた映画を教えて頂けますか。
「デヴィッド・リーン監督の作品が昔から大好きなのですが、『アラビアのロレンス』や『ドクトル・ジバゴ』、『戦場にかける橋』からは大きな影響を受けていると思います。それから黒澤明監督の作品も大好きで影響を受けていますよ」

画像3: 自分が観たい映画を作るのが一番大事だと思います。

(インタビュアー・文/奥村百恵)

<STORY>
伝説的スナイパーのヘンリー(ウィル・スミス)は、政府に依頼されたミッションを遂行中に何者かに襲撃される。自分のあらゆる動きが把握され、神出鬼没な暗殺者に翻弄されるヘンリーだったが、その正体は秘密裏に創られた“若い自分自身”のクローンだった。誰が何のために!? 真相を探るヘンリーはその陰に潜む巨大な陰謀に迫っていく…。

『ジェミニマン』
10月25日(金)より全国ロードショー
監督:アン・リー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ウィル・スミス
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド
   クライヴ・オーウェン
   ベネディクト・ウォン
配給:東和ピクチャーズ 
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画像: 『ジェミニマン』本予告 youtu.be

『ジェミニマン』本予告

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