イギリスの名匠ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』が2019年12/13(金)より全国順次公開。このたび監督が信頼を寄せるプロデューサー、レベッカ・オブライエンのインタビューが到着した。
画像: ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』12.13(金)公開/90秒予告篇 www.youtube.com

ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』12.13(金)公開/90秒予告篇

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画像: 写真左から、デビー・ハニーウッド、ケン・ローチ監督、レベッカ・オブライエン、クリス・ヒッチェン、ポール・ラヴァティ

写真左から、デビー・ハニーウッド、ケン・ローチ監督、レベッカ・オブライエン、クリス・ヒッチェン、ポール・ラヴァティ

本作で描かれる“不安定な仕事”はヨーロッパ全体で見受けられる

日本でも大ヒットを記録した『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していたケン・ローチ監督。名匠が引退宣言を撤回してまで描きたかったのは、グローバル経済が加速する中で変わっていく人々の働き方と、時代の波に翻弄される「現代の家族の姿」。

個人事業主とは名ばかりで、理不尽なシステムによる過酷な労働条件に振り回されながら、家族のために働き続ける父。そんな父を少しでも支えようと互いを思いやり懸命に生き抜く母と子供たち。日本でも日々取り上げられている労働問題と重なり、観る者は現代社会が失いつつある家族の美しくも力強い絆に、激しく胸を揺さぶられるだろう。

本作はスクリーン編集部が月イチで選ぶ、“最高品質”の映画を厳選する【今月の編集部イチオシ映画】にも選定され、「ここに描かれている問題は日本でも起きている」「監督の問いかけがずっと心に留まり続ける」と絶賛されている。

イギリス議会でも議論になった『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)に続き、いよいよ明日、日本でも『家族を想うとき』が公開されるが、イギリス総選挙の本日12日(木)にあわせて、本作のプロデューサーを務めたレベッカ・オブライエンのインタビューが到着した。

レベッカ・オブライエンは「ブラック・アジェンダ/隠された真相」(90・未)を製作して以来、ほぼすべてのケン・ローチ作品の製作を務め、02年には監督とともにシックスティーン・フィルムズを設立。ローチ監督作品に欠かせないスタッフのひとりである。

まず前作から本作の制作の経緯について、「『わたしは、ダニエル・ブレイク』は700以上のコミュニティで上映され、作品について語りたい、資金集めのイベントに映画の力を借りたい、という声が沢山あがったわ。さらに、イギリスの議会でも議論となり、この映画をきっかけに、自分や周囲の人が貧困状態におかれていることや、共に助け合うことの大切さを感じてくれたと思う。実際、議論の中には、映画と同じような境遇の経験を語ってくれる人が沢山いた」と振り返る。

続けて、「そうした経緯もあり本作をつくるきっかけになった。脚本家のポール・ラヴァティは、急増している不安定な仕事について問題意識を強く持っていて、語るべきテーマがもう一つあると使命感に駆り立てられていた。前作が援助と福祉がテーマに対し、『家族を想うとき』は仕事と、前イギリス首相のテリーザ・メイが言う、いわゆる「ギリギリの生活」と呼ぶ人々についての物語」と語る。

映画の舞台は前作と同様、イギリス北東部ニューカッスル。「ニューカッスルはコンパクトな町で、移動するのがとても楽なの。しかも、強い文化的なアイデンティティーがあって、イギリス全体の縮図のように、色んな階級の人が住んでいる」と語る。

映画で描かれている問題について、「イギリスだけがゼロ時間契約(注1)を推進している国ではない。本作で描かれる“不安定な仕事”は、ヨーロッパ全体で見受けられることだと思う。私たちは皆、オンラインで物を買って、宅配業者の配達で荷物を受け取る。さらに、国民保健サービス(NHS)の実態は、それを利用している家族の誰もが現状を知ってる。自分たちのために十分な時間を割くことができない過重労働の両親を持つ子供たちにとって、仕事や医療がどう影響するかをこの映画で感じてほしい」とコメント。

2008年サブプライム問題の影響を受けたノーザン・ロック銀行と住宅金融組合の破綻が、映画にどのような影響を及ぼしたかについて、「アビーとリッキーは、住宅ローンを組み、自分たちの居場所を確保できたかもしれないのに、間に合わせの賃貸住宅に住むことを余儀なくされてしまった。さらに、もう一つ影響を与えたのは、緊縮財政プログラム。二人とも働いていているけど、二人とも薄給の状態。リッキーは家族のために困難を切り抜けようと必死で、自分でなんとかしようとしている」と語り、インタビューを締めくくった。

注1▶雇用者の呼びかけに応じて従業員が勤務する労働契約、オンコール労働者ともいう。

家族を想うとき
2019年12/13(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ロングライド
© Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019

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