毎月公開される新作映画は、洋画に限っても平均40本以上!限られた時間の中でどれを見ようか迷ってしまうことが多いかも。そんなときはぜひこのコーナーを参考に。スクリーン編集部が“最高品質”の映画を厳選し、今見るべき一本をオススメします。今月の映画は絶対王者に挑んだ男たちの実話をマット・デイモン&クリスチャン・ベール共演で映画化し、アカデミー賞最有力の一本とされる「フォードvsフェラーリ」です。

フォードvsフェラーリ
2020年1月10日(金)公開

伝説的な1966年のル・マン24時間レースを題材に、モータースポーツ界の頂点に君臨するフェラーリに挑んだ二人の不屈の男の実話を映画化。天才カーデザイナー、キャロル・シェルビー役のマット・デイモン、破天荒なレーサー、ケン・マイルズ役のクリスチャン・ベールのW主演にして初共演が実現。メガホンをとったのは「17歳のカルテ」「LOGAN/ローガン」など多彩なジャンルのヒット作を世に送り出してきたジェームズ・マンゴールド。

監督/ジェームズ・マンゴールド
出演/マット・デイモン、クリスチャン・ベール、ジョン・バーンサル、カトリーナ・バルフ
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

編集部レビュー

本物たちが魅せるあっという間の2時間半

これこそ本物の映画。すべてが“本物”で作られている。役者も監督もスタッフもみな本物。だから2時間33分があっという間だ。これが職人技というものだろう。

いうまでもなくクリスチャン・ベールとマット・デイモンが冴えまくっている。ベールのエキセントリックなキャラクター演技、ナイスガイ、デイモンらしい受けの演技の安定感、そのさじ加減が抜群。「LOGAN/ローガン」のジェームズ・マンゴールド監督らしい骨太な男っぽさにもしびれる。

でも、正直いちばんすごいと思ったのは、ル・マンのサーキット周りをまんま作っちゃったスタッフ。数多のレースカーも当時の素材で再現したそう。「タイタニック」を例にとるまでもなく、CGじゃない本物の厚みが、映画という虚構の世界を夢の世界に変えてくれる。本物へのこだわりが、心を動かす感動を与えてくれるのだ。

レビュワー:近藤邦彦
編集長。レース中に、ブレーキ効かねえよ!全取っ替え!とか、何を 言ってるんでしょうかこの人たちは。クレイジーな時代さがたまらん。

この友情こそ彼らに訪れた最大の奇跡

自動車やレースに詳しくないので、最初は自分向きの映画ではないのかもと感じた。題名からしても想像の範囲内の物語ではないかと。でもそんな理由で見逃したら後悔しただろう一本だ。

物語の中心となるのは王者フェラーリ打倒という不可能を託された二人の男の挑戦と友情。二人の異端児が手を組み、試練と難題に挑む様には池井戸作品のような痛快さがある。そして彼らに芽生える信頼。それは単なる“協力”ではなく、お互いの欠落を補う、本当の友情だった。これこそ二人に訪れた最大の奇跡だったのだろう。

既に伝説として有名な話なのかもしれないが、二人が挑むル・マンの結末にも、その後日談にも最後まで心を揺さぶられ続けた。もしあなたが車に興味がなくてもきっと大丈夫。むしろ本作はそんな人にこそ、想像を超えた驚きと興奮を提供してくれるはずだ。

レビュワー:疋田周平
副編集長。本作では脇役ですがジョン・バーンサル演じる人物も自動車産業における伝説の存在。彼が主人公のスピンオフも見たい!

マットとベールの奇跡的なケミストリー

共に長いキャリアがあるので、初共演だということが意外だったマット・デイモンとクリスチャン・ベール。英米俳優というのもポイントです。なぜ今まで目をつけなかったのかと言いたいほどの二人の相性の良さが、この映画の最大の見どころとも言えます。

ベールは相変わらずカリスマ的な存在感ですが、それを受け止めるマットの抑えた演技もとてもよかった。天才的なドライバーと、彼の才能に惚れこむ男。そんな役どころがどことなく実際のマットとベールに重なるような気がして、もう二人のシーンを見ているだけで胸がずっと熱かったです(笑)。

脇を支えるキャストとのチーム感も強く、きっと現場の雰囲気もよかったのでは?(あくまで想像ですが)良い脚本と演技と演出、全てがうまく作用して見応えのある映画が出来るのだと教えてくれる、お手本のような作品でした。

レビュワー:阿部知佐子
マット&ベールの他にも、ジョン・バーンサルにベールの息子役のノ アー・ジュープ君など、キャストが個人的にものすごくツボでした。

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