LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は「ハスラーズ」でストリッパー役を激演したジェニファー・ロペス。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

自慢のボディは小さい頃から母の忠告で体に毒なものは一切やってこなかった賜物

「ハスラーズ」のストリッパー役を勇猛果敢にして、セクシー度飽和状態で激演したジェニファー・ロペス。オスカー賞候補確定と騒がれ、ゴールデングローブ賞、批評家組合賞、俳優組合賞などにノミネートされては、レッドカーペットで目を見張るセクシーなドレスを披露していたものの、どれも落選、オスカーに至っては候補にすらならなくて、今年のオスカーの最も巨大な見落としと騒がれている。

画像: 「ハスラーズ」

「ハスラーズ」

「ハスラーズ」で見事に姉御ストリッパー役を演じ、2019年の7月24日に50歳をマークしたというのにリミットを知らない迫力でフルスロットルの連続のジェニファー。インタビューのときには栗色の髪で現れ、役作りの苦労を身振り手振り激しく訴え、その夜のプレミアにはブロンドの髪に黄色のドレスで登場、その後のパーティーには同じブロンドの髪だったが濃い赤のドレスに着替えてにこやかに現れている。

この手のイベントでお色直し5回はざら、だそうで、その忙しさに加えて、歌手としての企画、テレビシリーズ、ファッションショウのドレスの打ち合わせ、そして双子の世話と元大リーグ選手のアレックス・ロドリゲスとの華麗なる恋愛披露シリーズを毎日のようにインスタグラムにアップするエネルギーがなんとも凄い。自身が宇宙の真ん中にあるという凄まじい意識と責任のなせる技であろう。

『私は自分の体にすごく誇りを持っているの。小さいときに母に忠告されてアルコールもタバコもドラッグも一度もしたことがないのよ。ほらほら、だから肌なんかピチピチで若いでしょ!苦労しなければ成功しないとも母に言われて苦労を端折ったこともないし、苦労こそ成功への第一歩だと信じているから。

「ハスラーズ」の役作りはまずストリップ劇場に行って観察、いつものようにお付きの人たちなど同伴せずに壁に張り付いたハエのようにじっくりと眺めて、その後ストリッパーたちとおしゃべりしたのだけれど、昔のように親の病院代を稼ぐとか生活費のためとかいう悲劇的な背景ではなく、自分の体が大好きだから、とか、学生とかオフィスワーカーがダブルライフを楽しむケースとか、シングルマザーなどもいて、誰もがストリップダンスを楽しんで、ポジテイブに働いているのにびっくり!』

自宅でポールダンスの練習を始めたらアレックスが大喜びで写真を撮り始めたわ!

『さてコーチが自宅に来てポールダンスのレッスンを受けたのだけれど私がTシャツとスウェットパンツでポールの横に立ったら「だめ、だめ。裸にならなきゃ。鉄のポールに裸に肌を合わせて踊らないと本格的なポールダンスにならないから、早く脱いで、脱いで!」と言われて、ブラジャーとパンテイーだけの姿にさせられて、まずは逆さになって滑り降りる技術の特訓からスタートしてね。ポールと擦れ合うたびに痛いことったらなくて、瞬くうちに体中に青あざが広がって、それを見たコーチが嬉しそうに「そうそう、これがポールダンスの最初の勲章よ!」なんて褒められて懸命になっていたのね。

そうしたら突然アレックスが現れて大喜びで眺めているじゃない。そのうちに写真までバシャバシャ撮り始めて、私は大いに抵抗したのだけれどコーチもアレックスも全く知らん顔なのだから!』と文句を言うにしては満更でもないという表情を浮かべている。そこがジェニファーの懐の深さでもあり、全てはPR効果のためという意識のせいであろう。

リラックスする時はあるのかと聞くと、『オフのときもすぐにアイデアを思いつくと仕事モードになってしまう。でもそれが好きで好きでしょうがないから今のところスローダウンする気はさらさらないの。休暇に行ってもそういう調子。アレックスもあきらめているようね』まさに仕事の鬼のジェニファーである。

90年代の頃の筆者とジェニファー 筆者とジェニファー

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