LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は、スター・ウォーズシリーズのハン・ソロでお馴染みのハリソン・フォード。主演を務めた世界的冒険小説の実写版「野性の呼び声」について、自身のライフスタイルも合わせてお話を伺いました。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

朝から6回も飲んでしまうほどのコーヒー中毒なんだ

画像: 「野性の呼び声」

「野性の呼び声」

新作「野性の呼び声」でバックという大型犬と仲良くなるアル中の爺さんを好演しているハリソン・フォードは、青い縞のシャツに紺の上着にジーンズという彼らしいスタイルで会見に現れた(コロナが流行する前の時点)。今年の7月に78歳になるのだが顔の皺はともかく、たぎる覇気が力強くて何とも頼りになる存在である。

『この映画は自然と人間との共存を呼びかけている。自然には運命があり、人間も然り。犬のバックは野生に戻り、僕が演じている爺さんは自分の生活を整理し、一人で生きる覚悟を立てる。非常にパワフルなストーリーでこの作品に出られて感謝している。家族とともに楽しんで欲しいドラマだと思うね。

実は、家族と一緒に12日間のグランドキャニオンへの旅から戻ってきたばかりなのだがコロラド川からキャニオンに入って、ワイフと息子と友人と行ってその間周囲は自然のみ、水と土と空と我々の頭脳能力のみで暮らした。静かな自然のパワーに圧倒されながらね。そうすると今までの悩みやら問題がひどく小さくて、取るにたらないものに見えてくる。精神浄化と肉体の鍛錬に非常に効果があった旅だったね。僕はもう30年間自然保護問題と取り組んできている。色々な国に出かけては問題意識をアピールする任務を続けているだけに、今回の映画はそういった貴重な目的が少し遂げられた気がするね。

もちろんバックもアクションにもCGIが多用されているが今の時代に相応した娯楽作品として上等な内容だと思いたいし、バックを演じてくれた俳優がこれ又大変に上手で、感情表現が素晴らしく、僕は彼をいつもバックだと感じて一緒に演技をしてきた。彼なしにはこの映画は考えられないと言っても良いと思うね。

この爺さんはウイスキーを飲んでいたが僕はコーヒー中毒でね。朝から6回も飲んでしまう。ま、一日の終りにはウイスキーなどもたしなむがね』

小さい頃から犬を飼ってきて犬と共に生きてきたと言えるだろう

『僕の人生にはいつも犬がいる。現在は3匹いて、それぞれ違う性格を見せていて、それだけでも生活に色彩を与えてくれるし、犬がいない暮らしは考えられないね。この映画の頃の犬は人間の生活に奉仕する役目を担っているし、ユコンという厳しい土地でのゴールドラッシュの頃だから特に虐待に近い扱いを受けている。

しかし今の犬は我々に愛情と安定感、居心地の良さを与えてくれるから、よほど旅行ばかりの生活でもないかぎり、ぜひ犬との生活を勧めたいね。僕は小さいときから犬を飼っていて兄とふたりで、すべての世話をしていたものだった。シカゴのアパート生活だったから、庭などはなかったがしっかりと散歩をして、食べ物も僕らの責任だったから犬を通じて成長したと言えるだろう。

今まで犬がいなかった時は全く無い。僕は犬とともに生きてきたから、犬がいない暮らしは想像もできないね。今まで飼った犬はすべてレスキュー犬だ。犬を飼おうとしている人たちにもレスキュー犬を強く勧めている』

インタビューした時点での話になるが、

『「インディ・ジョーンズ」第5弾の企画はスムーズに進行しているよ。まだ脚本を修正したり、スケジュールを調整している段階だが非常に面白い。僕も参加することに凄く張り切っている。肉体と共に精神的なエネルギーを感じているからね。

僕が少年の頃見た映画でものすごく感動したのは「アラバマ物語」だね。13歳ぐらいだったが映画の中の社会の不正にものすごく動揺したのを覚えている。僕の父はカトリック、母はユダヤ教だったのだがふたりとも無宗教になったものの、差別や不平等に色々苦労していたから「アラバマ物語」がすごく身近に感じたせいもあるだろう』

コロナのせいで「インディ」の企画はストップしているが、ほかにテレビシリーズの企画もあるそうで、ますますエネルギッシュなハリソンの活躍に期待しよう。

Photo by Rachel Luna/Getty Images

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