映画界でもミュージカルが人気を集めている昨今。「ミュージカルをもっと知りたい、楽しみたい!」という人も多いのでは? ミュージカルの本場といえば、ニューヨークのブロードウェイ。日本にいながら、ブロードウェイの傑作が楽しめるのをご存知でしょうか? 映画館で本場ブロードウェイを中心としたステージが楽しめる松竹ブロードウェイシネマの始まりと上映作品『ホリデイ・イン』についてご紹介します。(文:宇田夏苗)

映画館は、映画だけの場所ではなくなった

今や日本でも定着しつつあるODS。ODSとは、「other digital stuff」または「other digital source」の略で非映画コンテンツを映画館で上映すること指す。デジタル機器や通信の発達によって、演劇、オペラ、バレエ、コンサート、スポーツ中継などの映像を大きなスクリーンで楽しめるようになった。

日本におけるODSの先駆けは、シネマ歌舞伎だ。第1弾となった野田秀樹作・演出『野田版 鼠小僧』が上映されたのは、ODSという言葉があまり一般的ではなかった2005年のこと。以来、名作や話題作を定期的に上映し、人気を集めている。

もう一つ、ODSの魅力を世に知らしめたのは、METライブビューイングだ。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の公演を世界にライブ中継するという画期的な試みは、2006年にスタートし、オペラファンの熱い支持を得て、今では73ヵ国・2000ヶ所以上で上映されている。

画像: 『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

『ホリデイ・イン』
©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

日本では、松竹が全国の映画館にて上映を開始。超一流のオペラが観劇できる上に、幕間にキャストのインタビューなどの特別映像も楽しめるシリーズは初心者にもおすすめだ。

これは、シネマ歌舞伎にも言えること。映画館ならば、初めてでも敷居の高さを感じる必要がない。何より特別に撮影された映像を通して、客席から目が届かない俳優の表情、芝居を見ることができる楽しさ。映画館でしか味わえない発見や感動があるからこそ、世界的にODSの人気が上昇し続けているのだ。

歌舞伎、オペラに続き、演劇ファンに待ち望まれていたのはブロードウェイ作品のODSだった。日本でもブロードウェイの話題作が次々に翻訳上演され、映画界でもミュージカルが活況の中、本場の舞台が見たい!という多くの人の夢を叶えてくれたのが、松竹ブロードウェイシネマだった。

『ホリデイ・イン』の力

2017年11月、『ホリデイ・イン』がブロードウェイ・ミュージカルとしては日本映画界史上初めて、映画館で上映されたことは、一大ニュースだった。

ビング・クロスビーとフレッド・アステアが共演した1942年の映画(邦題「スイング・ホテル」)をもとに、アーヴィング・バーリンの名曲の数々で綴られた同作は、2016年11月6日にスタジオ54で開幕。「演出のゴードン・グリーンバーグと共同脚本家のチャド・ホッジは映画を再構築し、ショーにハートをもたらした。」「魅力的なパフォーマンス、ダイナミックなダンス、生き生きとしたオーケストラが気分を盛り上げてくれる」などと絶賛の声があがった。

画像: 『ホリデイ・イン」 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

『ホリデイ・イン」
©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

アーヴィング・バーリンは、アメリカのポピュラーソングの柱となる作詞作曲家だ。ロシア系ユダヤ人移民のバーリンは、酒場の給仕をしながら歌を披露し、やがて自分で曲を作るように。正規の音楽教育を受けず、大衆ために曲を書いた。だからなのだろう。彼の音楽はシンプルなのに心にすっと響き、生きる躍動感に満ちている。

『ホリデイ・イン』は、映画から生まれた名曲「ホワイト・クリスマス」をはじめ、バーリンのヒット曲のオンパレード。トニー賞振付賞ノミネートのデニス・ジョーンズによる振付は、古き良きブロードウェイのエッセンスがありつつ斬新だ。

ハイレベルなダンスを軽快に見せるのは、さすがブロードウェイの俳優たち。ラストの大団円まで、これぞブロードウェイ・ミュージカル!と、映画館にいながら思わず拍手してブラボーと叫びたくなるほどだった。

当初、5日間限定で特別上映された『ホリデイ・イン』の成功を受け、2019年4月に「松竹ブロードウェイシネマ」シリーズが本格的にスタート。すでに4本の選りすぐりのブロードウェイの作品を日本の観客に届け、新たな作品も待機中というから楽しみで仕方ない。

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