LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」や主演作「トールキン 旅のはじまり」などを筆頭に活躍するニコラス・ホルトに話を伺いました。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

子役時代から見てきたが、最近は役者としても切れ味良くなり上品な香りも漂うように

12歳の時「アバウト・ア・ボーイ」(2002)で怠け者独身男のヒュー・グラントを変身させたいじめられっこの少年を演じて一躍注目を浴びたニコラス・ホルトももう、30歳!以来、スクリーンの上で、インタビューでニコラスの成長を目の当たりにしてきたが「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)ぐらいからルックスも鋭くなり俳優としての切れ味もぐんと良くなってきた。

『同じような役は絶対にしたくない。今回のようなクレイジーな役は。いつもは良い子ぶる自分から船の甲板から飛び降りるように勇気が要ったが、同時にその果てしない自由な空間での冒険が凄くスリリングで俳優としてもうちょっと上達したような気分になった。挑戦に生きているようなシャーリーズ・セロンとトム・ハーディと一緒に仕事が出来たのも大きな教育になったしね』

「女王陛下のお気に入り」(2018)の会見には、シックな絹のシャツを着て現れ『良いものを使ったり、着たりするのは役者として大事な感性の栄養だと思うようになったんだ』と物腰もぐんとエレガントになっていた。おまけになんとも言えない上品でシックな香りがニコラスから漂っている。

『あ、これ、素敵な香りだろう。「シングルマン」(2009)で監督をして親しくなったトム・フォードからプレゼントされた香水で“スウイート・タバコ”っていうんだよ。凄く高いから自分では買えないけれど』などと半分冗談を言っていたがフォードに会って以来、彼の眼鏡の広告のモデルになったりしたニコラスである。香水ぐらいザクザクと買える筈。

モデルとの間に二歳の子供がいるがプライベートに関しては一切明かさないスタンス

主演作「トールキン 旅のはじまり」(2019)の時は白のTシャツ(それも高級そうな)にグレイのトレパン、黒い短い上着にアディダスの靴という、流行りのヒップホップ調のスタイルで現れた。さすが元モデル、スリムな体型に小さな顔だから何を着てもスマートに着こなしてしまう。

画像: 「トールキン 旅のはじまり」

「トールキン 旅のはじまり」

『オックスフォード大にあるトールキンの書簡を見たのだがタイプライターのない時代の書き文字が正確で緻密で、彼の奔放な想像力とこの字のコントラストが面白いと思った。オフの時には冒険旅行に励んでいる。モロッコではミニチュア・モーターバイクで色々な場所を探検したし、インドにも行ったんだよ。エキゾテイックな街並みや文化や食べ物、カラフルな人間たち、すべてが凄くエキサイティング。次はどこに行こうかなあ、と考えているだけで楽しいし』

と言ったときの遠くを見る目が澄んでいてキレイだった。最新の会見はTVシリーズ「ザ・グレート」(2020~)で、ロシアの皇帝を演じた時。

『たった6ヶ月の皇帝期間で、人々に馬鹿にされた皇帝だけれど、豪華絢爛の衣装を着て顔を白塗りにして、僕としてはそれなりにやりがいのある役だった。僕がテレビを見る自宅の部屋は40インチのテレビがあって、座り心地の良いソファに座ってみる。でもあまりテレビに時間をかけないようにして今は“映画作り”についての本を読んでいるんだ』

2017年からアメリカのモデル、ブリアナ・ホリー・ベジャジと交際を始め、18年の4月には男の子が生まれている。しかし、子供の名前などは公表せず、プライバシーを固く維持しているのは、以前ジェニファー・ローレンスとロマンスを展開して(2011~2014)パパラッチに付きまとわれ、タブロイドの格好のターゲットになってしまった苦い経験があるからだろう。

コロナ危機が開けるとアンジェリーナ・ジョリーと共演した「ゾーズ・フー・ウイッシュ・ミー・デッド」が公開される予定。又、全く違ったニコラスが見られそうで、楽しみだ。

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