5月に公開予定だった『映画 ギヴン』が、8月22日、ついに公開された。真冬、立夏、春樹、秋彦の4人に、スクリーンで会えるのだ。本作は春樹と秋彦、そして秋彦の同居人・雨月にスポットを当てた物語。春樹・秋彦とバンドを組む真冬と立夏は、どう動くのか——。テレビシリーズから待望の続編となった映画に関して、真冬の声を担当した矢野奨吾さん、立夏の声を担当した内田雄馬さんに話を聞いた。

——『ギヴン』は2019年にテレビアニメとして放送されました。当時の反響はいかがでしたか?

矢野「原作ファンの方が世界中にいらっしゃるんだなと、感じました。各国の原作ファンの方から、僕のお芝居や声を好きだと言ってくれる方がいてくださったのは、本当にありがたかったです」

内田「キャスティングが決まった時に、原作自体が非常に愛されている作品だと伺っていましたし、出演が発表された際には、僕の元にも“放送を楽しみにしています”という声がたくさん届きました。期待値の高さはすごく感じていました」

——テレビシリーズのときは、「ノイタミナ枠で初の原作がボーイズラブコミック」ということも話題になりました。取り組む際に、そこに対する特別な感情はありましたか?

矢野「ボーイズラブに関してほぼ知識がなかったので、まずどのような作品なのか、原作を読んでみました。すると、日常を切り取ったような空気感をすごく大切にしている作品だなと感じて。読み進めていくと、自分もその世界にいるかのように、自然と入り込めました」

内田「ボーイズラブということに対する気負いは、それほどありませんでした。どちらかと言えば、心の動きを繊細に表現している作品だったので、そこを丁寧に追いかけていくことを重視していました。どこがキーポイントとなるかは作品によって違うので、その意味ではこの作品の一番大切なところはどこかをちゃんと考え、そこを表現できたらいいなと思いながら演じていました」

——この作品がスクリーンで上映されると聞いたときの感想は?

矢野「また真冬を演じられることがうれしかったですし、『ギヴン』のファンとして続編を見られることはとてもとてもうれしかったです」

内田「テレビアニメシリーズの段階で、映画まで行くという話は聞いていました。原作で描かれているところが、映画でも描かれる予定だと。その分、テレビアニメの時点で演じる上でも、そこまでストーリーが描かれるということは、ずっと自分の中で意識していました」

——真冬・立夏を演じる上で気をつけたところ、心がけたことは?

矢野「ひとりの男子高校生でいることを、意識しました。真冬は過去に大切な人が亡くなって、心にぽっかり穴が空き、暗闇の中で一歩も動けずにいた複雑な過去があります。でも学校生活において友達としゃべったり、バスケットをしながら笑顔になる姿を見ると、普通のひとりの高校生だなと。そこから音楽にのめり込んでいく姿は、青春そのものを過ごしている高校生だと思いました」

内田「立夏はギター以外での表現があまり得意な子ではないので、バンドメンバーと話す距離感と、真冬と話す距離感、その違いはしっかりと感じるようにしていました。また作品として“そこにいる”感覚、というんでしょうか。自然に会話を重ねていくシーンが、結構あるんです。そういう部分での繊細なところ、会話の温度感とかは、丁寧に追っていくように心がけていました」

画像1: 『映画 ギヴン』矢野奨吾×内田雄馬 『ギヴン』のファンとして続編を見られることはとてもとてもうれしかったです!
画像2: 『映画 ギヴン』矢野奨吾×内田雄馬 『ギヴン』のファンとして続編を見られることはとてもとてもうれしかったです!

——今回の映画では、春樹と秋彦の恋がクローズアップされます。彼らの関係性は、おふたりから見てどうですか?

矢野「春樹さんはバンドの中でも潤滑油のような存在なので、自分の気持ちを収めてしまうところがあると思います。秋彦さんは自分のしたいように生きていて、噛み合っているんですけど、こと恋愛に関しては全く噛み合っていなかったりするところが、大人ならではの“お互いの気持ちは分かっている”というか。視聴者の方から見ても、春樹さんがいちばん感情移入しやすいポジションだったりするのかなと思うし、でもやっぱり大人ならではの、グッとこらえる春樹さんがいるからこそ、秋彦さんという存在が成立していると思います。春樹さんには秋彦さんじゃないとダメだし、なおのこと秋彦さんは春樹さんじゃないとダメなんだろうな、と思いますね」

内田「お互いに頼れる相手であり、尊敬している部分もあるのでしょうけど、言葉にしない優しさとか、あえて言わないずるさのある人たちなので、“ストレートにものを言えないんだな”という印象です。まだ大学を卒業したくらいの年齢だけど、立夏と真冬に比べれば大人なので、思っていることを素直に表現できなくなる距離感は、今の自分から見ると“まぁそうなっちゃうよな”と思います。年齢を重ねるほど、やっぱりいろんなことを気にしていくので」

——映画『ギヴン』の見どころを教えてください。

矢野「秋彦さんとかつてつきあっていて、別れても同居している村田雨月という人の存在が、ものすごく大きいんです。彼は真冬と同じく天才で、音楽と秋彦さんのことが死ぬほど好きで、でもそのままだと音楽がダメになっちゃうから秋彦さんを捨てようとする。それでも捨てられず、ずっと同じところに留まっているんです。自分の気持ちやつらさを誰かにわかってほしい雨月は、真冬とすごく似ていると思います。映画でもバンド“ギヴン”歌う曲があるんですけど、誰かに届けたい歌であるのはもちろんのこと、僕は特に雨月に対して思いを込めて歌ったところがあるので、曲とリンクさせながら映画を見ると、より楽しんでいただけると思います」

内田「テレビシリーズから通して、人と人との距離感や関係値を丁寧に描いています。ひとつひとつのことにそれほど大きな意味がなくても、無駄なものは何もなくて、それが積み重なっていくことでふたりの心が動いていく。『ギヴン』は、小さな積み重ねが大きな想いに変わっていくことをまさに体現している作品だと思います。テレビシリーズから映画まで通して見ていただくと、心の動きをさらに感じながら楽しんでいただけるんじゃないでしょうか」

——公開をずっと待っていたファンの方々へ、メッセージをお願いします!

矢野「『映画 ギヴン』を待ち望んでくださっていたみなさま、ありがとうございます! テレビシリーズは高校生組のお話でしたが、今回は春樹と秋彦、雨月の大人組が中心となっています。彼らが恋愛に対して反応するところは、最初から最後まで胸が締めつけられるような時間だと思います。どなたにでもリンクするところがあると思うので、ぜひ彼らを温かく見届けてください」

内田「いろんな想いを抱いて、少しずつ変わろうとしている“ギヴン”メンバーの姿、変わっていく美しさを見ていただけたらうれしいです。また作中には、心が清らかになるような場面もあります。ぜひスクリーンで、お楽しみください!」

撮影/久保田司
スタイリスト/奥村渉
スタイリスト/ヨシダミホ(矢野奨吾ソロカット)
ヘアメイク/花嶋麻希(内田雄馬)
文/篠崎美緒

「SCREEN+Plus vol.67」スクリーンストアにて取扱中

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