LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は、「ミッドウェイ」(2019)にて米国海軍のパイロットを熱演しているルーク・エヴァンスに話を伺いました。

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

ヨーロッパ戦線のことは詳しかったけれど太平洋戦争のことはあまり知らなかった

「ミッドウェイ」(2019)では米国海軍のパイロットを熱演しているルーク・エヴァンスだが、もちろん彼は英国ウェールズ生まれの舞台出身俳優。古典的なグッドルックスを武器に「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(2011)のアラミス役、「ホビット」シリーズの弓の達人バルド役や「美女と野獣」(2017)のガストン役などの映画で活躍している他に、舞台、テレビ、歌手、モデルとしても知られているマルチ・タレントのスターである。

画像: 「ミッドウェイ」

「ミッドウェイ」

『「ミッドウェイ」のクラレンス・ウェイド・マクラスキー役は実在の人物だから、現在生きている親戚や子孫のためにも重大な責任を持って、正直に誠実に役作りにあたった。第2次大戦については、英国で教育を受けたからヨーロッパ戦線には詳しいものの、太平洋戦のことはあまり知らなかったが、戦士はいつでも、どこでも犠牲の中心にいる。

マクラスキーが日本の大戦艦、赤城や加賀の位置を予見して、攻撃作戦を変えたのが米国の勝利につながったから彼の功績は巨大なものだった。彼の責任感、恐怖、怒り、愛国精神、そういう精神状態をあくまでもリアルに演じたかった。

監督のローランド(エメリッヒ)の仰天するような特殊撮影に加えて、彼の人間愛がにじみ出て、戦さに臨む男のロマンがヴィヴィッドに描き出されていると思う』

質問に答えていたルークは撮影を思い出したのか、目をしばたたかせて、感情的な表情になっていた。

コロナ禍での生活は歌詞を書いて友人が曲を付けるとか普段できないことをしていた

コロナ危機期間をどう過ごしていたか聞いてみた。

『3月半ばに撮影が突然ストップし、最初はフロリダ州のマイアミで3ヶ月間、軟禁生活を送った。海の近くだったから、毎日海で泳いで、砂浜を走ってのエクササイズをし、今まで忙しくて出来なかった作詞、じっくり脚本を読むこと、自分自身の生き方なんて言うと大げさだが、そういう貴重な時間を過ごすことが出来た。

毎日、歌詞を書いては、それに友人が曲をつけて、それを受けて、僕が歌って、ああでもない、こうでもないと言ってより良い歌に仕上げていく。すべてズームやフェイスタイムや電話でのやり取りだったけれど、それもまた、楽しかった。YouTubeで検索すると僕の歌が出ていると思うから試してみてね。

仕事に行く、そのための旅行などの責任が全く無いという状態は、ある意味で僕にとって素晴らしい自己向上の期間にもなって、ポジテイブに成長したとも言えるだろう。その間に4つの企画が展開して、間もなく、そのひとつでヨーロッパでもアメリカでもない国での撮影に参加するんだ。

到着したら検査を受けて、2週間の隔離期間を経て撮影に入るのだが腕がなるよね。今まで会う人間といったらマーケットの売り場の人ぐらいだったのが撮影の現場に入るのだもの。

今僕はロンドンの自宅にいる。マイアミから飛行機を1回乗り継いでロンドンに戻ってきたのだが、空港は全く人が居なくて気味が悪いくらいだったし、ずっとマスク着用が苦しい時もあったけれど、パスポートチェックとかが物凄く早くて記録的なスピードで空港から家に戻ってこられた。

この家を持ってからじっくり過ごしたことがなかったから、今は家の片付けやら整理に忙しい。常に音楽が家に流れていてね。クラシック、ロック、ジャズ、ラテン、何でも好きなんだ』

人気が出てもサインを求められれば快く応じる優しさで知られている。

『貧乏な家で苦労して育ったから、今の状況は夢のようだ。ファンあっての仕事だし、やっと両親や家族を助けることが出来るようになって僕はラッキーだといつも感謝し、常に努力を怠らないようにしている』

Photo by GettyImages

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