2020年はマーベル映画(MCU作品)が1本も公開されないという寂しい一年に。しかしそのぶん、公開延期されていた作品も続々と封切られる2021年は空前のアメコミ映画イヤーになりそうです。ヒーローたちの“最大の逆襲”が始まる一年を、杉山すぴ豊さんに展望してもらいます。(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)

杉山すぴ豊

アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

現時点では2021年に7本のアメコミ映画が劇場公開予定

今年はウィルス禍のせいでマーベル・シネマティク・ユニバース(MCU)が1本も公開されないという衝撃的な年です。一方DCの方はバレンタインに『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDSOF PREY』、クリスマスに『ワンダーウーマン1984』がかけつけてくれました。

しかし来年は(ウィルス禍の終息を信じつつ)今年のうっ憤を晴らすかのようにアメコミ・ヒーロー映画が続々と封切られます。現段階でわかっているマーベル、DC系映画についてご紹介しましよう。

2021年公開予定 マーベル、DC系映画 ※2020年12月現在

『モービウス』
ジャレッド・レト演じるヴァンパイア系ダークヒーローが登場。コミックではスパイダーマンのヴィラン。

『ブラック・ウィドウ』
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』直後の出来事を描く。フローレンス・ピューが2代目ブラック・ウィドウに?

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
ウディ・ハレルソンがマーベル史上最悪のヴィラン、カーネイジに変化。

『シャンチー・アンド・レジェンド・オブ・テンリングス』
アジア系マーシャル・アーツ・ヒーロー登場。クライマックスはMCU版天下一武道会になるとの噂。

『ザ・スーサイド・スクワッド』
シルヴェスター・スタローンの出演が判明。コミックで人気の侵略エイリアン“スターロ”がメイン・ヴィラン?

『エターナルズ』
人類を守る超人ヒーロー族の活躍を描くエピック・アクション。アンジェリーナ・ジョリー、マ・ドンソクが共演。

『スパイダーマン3』( トム・ホランド版)
ドクター・ストレンジがピーターの師に? さらにジェイミー・フォックス演じるエレクトロがまさかの復活。

『ザ・スーサイド・スクワッド』がDC映画の新たな"起点"になる予感

こうしてみるとDCは『ザ・バットマン』等が2022年の公開になったため『ザ・スーサイド・スクワッド』1本という一見寂しい状況ではあるのですが、登場キャラクターが多く、ほとんどヴィランということを考えると、この作品を起点にDC映画が新たな広がりを見せる可能性があります。

例えばイドリス・エルバ演じるブラッドスポートというキャラは本来コミックではスーパーマンのヴィランであり、従ってこの映画でスーパーマンについて言及される可能性があります。

来年はスパイダーマン・イヤーになりそうです。スパイダーマンは本来マーベルのヒーローですが映画ビジネス的には結構複雑で、マーベルはディズニーで本格的にMCUが始まる前にスパイダーマンおよびスパイダーマンのコミックに登場するキャラの映画化権をソニー・ピクチャーズに渡しています。

従ってスパイダーマン映画は本来MCUと関係ないわけです。だから2012年のほぼ同時期に『アメイジング・スパイダーマン』と『アベンジャーズ』は公開されましたが両者はリンクしていません。しかしファンの間でアベンジャーズとスパイダーマンのスクリーンでの共演が観たい、との声もあがります。そこでディズニーとソニーが話をしてトム・ホランドのスパイダーマンはソニーが権利を持ちながらMCUにも登場できる、となりました。

スパイダーマンとヴェノムの共演が見られる日も近い?

一方ソニーはMCUと関係なくスパイダーマンの映画を作ることは可能で、その権利を行使して『ヴェノム』や『モービウス』を作ります。ソニーのこの路線はMCUとは別にSPUMC(SONYPICTURES UNIVERSE OF MARVELCHARACTERS)と呼ばれます。

映画ビジネス的にはMCUのスパイダーマンとSPUMCのスパイダーマン系映画が並行しますが、コミックには『スパイダーバース:この宇宙には並行世界が存在してその世界(バース)ごとにスパイダーマンがいる』という設定があります。

コミックではヒーローたちが時空を超えてバース間を行き来するみたいなエピソードは少なくない。映画もこのアイデアを取り入れMCUとSPUMCがスパイダーバースの関係にあり、『モービウス』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『スパイダーマン3』らがつながり、トム・ホランドのスパイダーマンとトム・ハーディーのヴェノムの共演シーンがこの3作の間のいずれかで観ることができるのかもしれません。

MCUは“シャンチー”“エターナルズ”という今までのMCUに登場しなかったヒーローたちをデビューさせフェイズ3との差別化を図っていきます。また映画と同時にディズニープラスのドラマ・シリーズ『ワンダヴィジョン』等と映画がどうつながっていくのかも注目です。

最後にビッグなネタを。ライアン・レーノルズ出演の『デッドプール3』がMCU内で作られる模様。さらにMCUドラマ『ムーンナイト』の主役にオスカー・アイザックが内定。アメコミ・ヒーロー映画のお楽しみはまだまだ続きます!

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