スイスが誇る名監督ダニエル・シュミットの⽣誕80年記念として、同監督の代表作『ヘカテ』(1982)が、デジタル・リマスター版で2021年4/23(⾦)より全国公開。公開決定にあたって映画評論家・蓮實重彦⽒よりコメントも到着した。
画像: スイスの名匠ダニエル・シュミットの『ヘカテ』がデジタルリマスター版で公開

衣装はクリスチャン・ディオールが本作のためにデザインしたもの

1941 年に生まれ、2006 年に逝去したスイスの映画監督ダニエル・シュミット。本作『ヘカテ』はシュミットの初の日本劇場公開作として好評を博し、その後の、ルキーノ・ヴィスコンティらに絶賛され、ヴェネツィア国際映画祭最優秀新人賞を受賞したデビュー作『今宵かぎりは… 』(72)、傑作『ラ・パロマ』 (74)などの相次ぐ公開への嚆矢となり、ひそやかなシュミット・ブームの幕開けとなった伝説的な名作だ。

第二次世界大戦の中立国スイスの首都ベルン。フランス大使館主催の豪華絢爛なパーティーの会場で外交官の男ジュリアンが、追憶にふけっている。約 10 年前、赴任した北アフリカの植民地で出会い、狂ったように愛した謎のアメリカ人妻クロチルドのことを…。

原作は、外交官であり、第二次大戦後の亡命先のスイスでココ・シャネルの伝記も執筆した、戦間期の文壇の寵児ポール・モランの小説「ヘカテとその犬たち」。

撮影は、ゴダールやシャブロル、オリヴェイラら巨匠の諸作を務めた名匠レナード・ベルタ、シュミットも盟友である R・W・ファスビンダーの『ローラ』『第三世代』ラウール・ヒメネスがプロダクション・デザインを務め、マルグリット・デュラスとのタッグで知られるカルロス・ダレッシオが音楽を手がけるなど、世界各国から一流スタッフが集結した。

画像: 衣装はクリスチャン・ディオールが本作のためにデザインしたもの

外交官役を演じるベルナール・ジロドーが劇中で身にまとう白のリネン・スーツなどの衣装は、「クリスチャン・ディオール」が本作のためにデザインしたもの。ヒロインのローレン・ハットンは、ポール・シュレイダー監督『アメリカン・ジゴロ』(80)など俳優として活動のほか、『ヴォーグ』誌専属のモデルとしても有名で、2018 年には史上最年長の 73 歳で同誌の表紙を飾るなど、生涯現役のレジェンド・モデルとして活躍を続けている。

このたびの公開に際し、シュミット本人とも親交が深く、ヴィム・ヴェンダース、ビクトル・エリセ、クリント・イーストウッド、そしてこのダニエル・シュミットの4名を「73 年の年世代」と呼称し、映画史に決定的な変容をもたらした作家として称揚、伝説的な映画雑誌『リュミエール』の創刊号(85 年)で彼らを特集し、その日本での受容に尽力した映画評論家・蓮實重彦氏よりコメントも到着した。コメント全文は以下の通り。

求めあう男⼥がとりわけ⼤きな悦びを享受するのは、素肌で交わることにもまして、ラフなドレスをまとったままの⼥を、⾐服を脱ごうともしない男が背後から抱擁することによってである。
それにふさわしい懐古的なワルツのリズムと、⼆階の欄⼲という宙吊りの空間とを⼆⼈に提供することで、ダニエル・シュミットは、もっとも⼼に浸みる忘れがたいラブシーンを映画の歴史に刻みつけてみせた。この場⾯、必⾒である。
——蓮實重彦(映画評論家)

ヘカテ デジタル・リマスター版
2021年4/23(金)より、渋谷 Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開
配給:コピアポア・フィルム
©1982/2004 T&C FILM AG, Zuerich © 2020 FRENETIC FILMS AG.

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