昨年のクリスマスシーズンに公開されたファンタジックな感動作『魔女がいっぱい』が先行デジタル配信で登場!2021年3月19日(金)にはブルーレイ&DVDも発売されます。発売を記念して、今回はアン・ハサウェイ演じる大魔女の日本語吹き替えを担当した朴璐美(ぱく ろみ)さんへ特別インタビュー。彼女が持つ“魔女”のイメージとは?(文・タナカシノブ/写真・久保田司/デジタル編集・スクリーン編集部)

アン・ハサウェイがノリに乗っていたので私も楽しんで演じました

画像: アン・ハサウェイがノリに乗っていたので私も楽しんで演じました

朴 璐美(ぱく ろみ)

1998年に『ブレンパワード』カナン・ギモス役で声優デビュー。舞台や実写映画、プロデュースなど幅広い分野で活躍中。

主な主演作は『鋼の錬金術師』エドワード・エルリック役、『∀ガンダム』ロラン・セアック役など。外国映画ではヘレナ・ボナム=カーター、エヴァ・グリーン、ノオミ・ラパスをはじめ多くのハリウッド女優の吹き替えを担当している。

── 作品を観たときのストーリーの印象を教えてください。

「いきなりエンディングの話になっちゃいますが、〝こんな終わり方をするのか!〞と驚愕しました。(笑)。お決まりのエンディングとは全く異なる、衝撃的な終わり方に暫し呆然としました」

── アン・ハサウェイの演技はいかがでしたか?

「このお話をいただいたときは、〝え? 私がアン・ハサウェイ?〞と訝しく思いました。私とはまるで違うとても可憐なイメージが彼女にあったもので。ですが、作品を見て〝ーこれは私だわ……〞とすぐに納得してしまいました(笑)。

こういう役を演じるのは初めてということでしたが、彼女自身がノリに乗って、楽しみながら演じているのがすごく伝わってきたので、私自身も楽しんで演じさせていただきました」

── 朴さんから見たアン・ハサウェイの魅力とは?

「迷いがないところです。その場所にいることに迷いがなく、そこにスッと存在していられる女優さんという印象が強いですね」

── 大魔女を演じる上で、監督からどんなリクエストがありましたか?

「大魔女といえども、やはりアン・ハサウェイなので、〝もうちょっと可愛らしく〞とか〝もうちょっと抑えてください〞というリクエストがあるかな?と思っていました。が、特に何も言われないまま、収録が進んで行き……(笑)。

あまりにも何も言われなかったので、〝もうちょっとやってよかったのかな?〞なんて不安に思ったくらいです(笑)。Rの巻き舌になどは元々台本に、リクエストがありました」

── Rの巻き舌は、大魔女の大きな特徴のひとつで、吹替版もインパクトがありました!

「彼女はRをすごく強調しています(と言いながらRを実演!)。他にも特徴的な発音や言い回しについては、細かく台本に指示してあったので、その通りにやらせていただきましたが、巻き舌でこんなに痛快にしゃべらせていただく作品はなかなかないので、私も喜び勇んでしまってついつい巻き舌が増えてしまいました(笑)」

── アン演じる大魔女は、かなり巻いていましたよね?

「そうなんです。なので、私も彼女に倣って巻きに巻いたのですが、〝ここはあえて普通のRでいきましょう〞となったシーンもあります(笑)」

── 巻き舌も含めて、あまりにもぴったりハマっていて、実写で演じる朴さんの姿が浮かんでしまいました。

「それはとてもうれしい言葉です(笑)。ありがとうございます!」

何らかの悲しみを経たから、今の大魔女があるのだと思います

画像: 何らかの悲しみを経たから、今の大魔女があるのだと思います

──〝魔女〞と聞いて朴さんがイメージするのは?

「悲しみですかね。魔女って魔法が使えて自由奔放な感じもしますが、魔女になる前、きっととても悲しい経験をしているのではないかと思うんですよね。だってそうでなかったら、あんなことしないと思うんですよ。私は、魔女や悪というものに、とても美学を感じるんです。憂いがあるからこそ、その悪を演じることが楽しくなります。彼女たちは単に爆発的に感情を吐き出し悪をやっているわけじゃない。強い頑なまでの意志があるから魅力的なんですよね」

── 大魔女からも憂いを感じましたか?

「この作品では描かれていないので、想像するしかないのですが、幼少期に余程の悲しいことがあったのではないかと思っています。その辛くて悲しい過去があるから、今の彼女の選択があるのではと。

その悲しみが大きすぎてマグマのような怒りに変わり、〝すべての子どもが許せない〞〝すべての子どもを抹殺する〞という思いになった。自分を肯定する為に。でなかったら、あのような強固な意志は生まれてこないと思います。

きっと彼女もそのあたりを意識して演じていたのではないかと思います。私自身も大魔女の憂いを頭の中でイメージしながら演じていました」

── 今日の朴さんの衣装もとても素敵ですが、魔女たちのファッションで気になるものはありましたか?

「60年代を意識したとても素敵なファッションだと思います。中でも、ピンクのコートをパッと脱いだときに、蛇が巻かれているビジュアルはインパクトがありましたね。

これ(蛇)が裾をたくしあげていたのか、と(笑)。かわいらしいピンクからの蛇。そのギャップもいいですよね。

普段の衣装は貴婦人を気取っていて、魔女魔女していない。彼女のコンプレックスが衣装に反映されているのか、素敵だと思うと同時に切なさも感じました」

── 実際に着るならどの衣装を選びますか?

「ピンクはハードルが高いので……。やはり、終盤に出てくる黒のドレスですかね。」

── お気に入りのシーンやセリフはありますか?

「ピンクのコートをパッと脱いでめちゃめちゃ格好つけているのに、肩に乗っている蛇が起きてこないので〝チチッ〞と舌打ちをして周囲に気づかれないように起こすところ。

どこか決めきれない感じがお気に入りです。この人、根っからの悪人じゃなかったんだろうな、ちょっと間の抜けているところがチャーミングだと思いながら演じていました」

── 大魔女も含めて、お気に入りのキャラはいますか?

「みんな魅力的ですよね。おばあちゃんは可愛らしいですし、子どもたちもネズミに変えられたのに、それを受け入れてしまうところが、なんとも(笑)。

受け入れたことでたくましくなっているところも惹かれるポイントですね。気になったのは、なぜ、ネズミにされる瞬間、驚くほど跳ねるのですかね?ぶっ飛び具合が凄かったです(笑)」

── 吹き替えをするときに大切にしていることを教えてください。

「大魔女でもそうでしたが、そのキャラクターがどんな悲しみを抱いてきたのかを感じようとしていると思います。それは、多分、無意識だとは思いますが。

吹き替えでも、アニメーションでも舞台でも、演じるときには、その人の触れられたくない部分を感じようとしている気がしますね。一番信じられる人間の核のようなものだと思うので」

朴さんへ一問一答!

Q : 映画は字幕派? 吹替派?

A:字幕派です。“派”というより、吹き替えのお仕事が多いので結果的に字幕派に(笑)

Q : 最近観てハマった映画は?

A:『風の谷のナウシカ』です。“金ロー”での放送を観て、旦那さん(山路和弘)と一緒に号泣しました!

Q : 影響を受けた俳優は?

A: 橋爪功さんです。「演劇集団 円」での橋爪さんの言葉がこの身に染み付いています。

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