世界的ダンサーのリル・バックの驚異的なダンスの秘密と彼が育った街メンフィスを描いたドキュメンタリー映画『リル・バック ストリートから世界へ』が公開中! ダンスフェスティバルやTVシリーズやCMの撮影、短編映画の制作などで忙しいリル・バック。その忙しいスケジュールの合間にオンラインインタビューに応じてくれました!

‟僕が影響を受けたのはメンフィスのジューカーたち”

画像: リル・バック 予告編 www.youtube.com

リル・バック 予告編

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――ご自身のことが、ドキュメンタリー映画になると聞いての感想を教えてください。

ルイ・ウォレカン監督とはこの企画の前から、バンジャマン・ミルピエを通して知り合いでした。「君のことを題材に撮りたい」という声がかかり、僕はルイのフィルム映像に対するアプローチがすごくいいと思っていたので、ぜひぜひ!と応えました。この映画が、メンフィスやジューキン文化について語れるいい機会になると思いました。ジューキンは目まぐるしく変わる文化で、それを語るのには、今こそいい時期だと! また、僕自身の物語を語っていきたいと思いもありました。僕のことは、一般的には「ヨーヨー・マと踊ってたあの子ね」とか、クラシック音楽やバレエとのコラボで知られているかもしれませんが、実際、僕がどんな背景の人なのかをみなさんは知らないでしょう。そんな僕の骨格にあるのは、メンフィスのストリートダンスなのだというのを話したかったんです。

画像: ――ご自身のことが、ドキュメンタリー映画になると聞いての感想を教えてください。

――元々、お姉さんの影響もあったと思いますが、実際、憧れていたダンサーはどなたでしょう?

最初の衝撃はマイケル・ジャクソン! お姉ちゃんたちと、マイケルのツアーのビデオテープを繰り返し観て、振り付けを真似していました。マイケルの技は神業で、僕らには到底できないと思っていました。ところが、メンフィスに引っ越したら、僕と同じ年代やもっと若い子が、マイケルみたいに見事に踊っているんだよ! 中には、「これはマイケル以上だ」と思える技を見せる人もいました。

世の中的には、無名のダンサーたちですが、僕が影響を受けたのはダニエル・プライスとか、ドクター・リコなど、メンフィスのジューカーたちです。彼らは、音楽やダンスの振りの分解の仕方が素晴らしく、動きが滑らかなんです。そういう人たちを尊敬しています。そして、クリスタル・パレスのカルチャーを僕に紹介してくれたボボのことも尊敬している。

画像1: メンフィスのストリートが生んだ驚異のダンサー、リル・バック本人からメッセージ
画像2: メンフィスのストリートが生んだ驚異のダンサー、リル・バック本人からメッセージ

――ジャンルの垣根を超えたダンスが素敵です。今後、取り入れてみたい要素があれば教えてください。

僕は昔から色んなコラボレーションをするのが好きだというのは言うまでもないです。しかし、世界に見せたいのはストリートから生まれたジューキンの文化。これはダンス以上の文化形態であり、僕のベースにあるものです。色んなアーティストとのコラボも考えていますが、音楽のジャンルとして興味がるのはロックンロールです。パフォーマンスで言うと、インドの舞踊のダンサー。クチプディというインド舞踊の形態があるのですが、そういう人たちとコラボをしてみたいです。あとは、ハウスミュージックにも興味があります。今、企画しているのが、タブラ奏者とのコラボです。例に挙げたジャンルやそのプレイヤーたちの舞台上でのライブサウンドが生み出す‟何か“に興味があるんです。そんなライブパフォーマーたちとコラボしていきたいですね。そういうコラボの中でだからこそ、新たな発見やジャンルを開拓できるのかな。

今、家でよく聴いているのが、コンテンポラリー音楽やロックミュージックなんですね。実は僕のジューキンのフットワークが滑らかにできるのは、ロックに合わせて踊っていたからなんです。ロックに意外と影響を受けていました。どうしてジューキンをスタートにしつつ、ロック音楽とかクラシックを経て、今のダンススタイルに至ったのかと分かるパフォーマンスを今は手掛けています。

画像: ――ジャンルの垣根を超えたダンスが素敵です。今後、取り入れてみたい要素があれば教えてください。

――ところで、メンフィスという街の魅力って何でしょう?

僕はメンフィスのすべてが好きです。色んなところに光る原石があるんです。ニュースでは暴力とか悪いニュースがあり、皆さんの印象が歪んでいますけど(笑)。確かに暴力的な街ではありますが、石を投げれば、当たった先に出会ったことのないミュージシャンの可能性があることも(笑)。そのぐらい才能の宝庫なんです。生活するには大変かもしれませんが、そういう場所だからこそ色んな文化が生まれ、ヒップホップやジューキンも生まれました。タフな街だからこそ、そこが美しいと思います。評判はさておき(笑)。カルチャーや芸術全般が非常に豊かな土地なので、普通に訪れると楽しみ方さえ知っていればすごく楽しい街です。僕もメンフィスからは長くは離れられないです。「ようこそ我が町へ!」と受け入れてくれるような、おもてなしの精神のあるメンフィスの文化が好きです。

――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

ぜひみなさんに映画を観てもらえることを僕も楽しみにしています。また、観なくていいものをわざわざ観に来てくれる人にも感謝です(笑)。僕の存在はあまり知られていないかもしれませんが、映画を観てくれば、何かしら受け止めるメッセージを持ち帰ってもらえると思います。メンフィスのダンスシーン、ジューキン、僕らがどんなダンスコミュニティなのか、インスピレーションを感じてもらえたら嬉しいです。どこから来た人であれ、どこに住んでいる人であれ、我が道を地道に進んでいければ、世界にインパクトを与えて光り輝くことができるんだよというメッセージを受けてもらい、観る人の刺激になればと思います。

画像3: メンフィスのストリートが生んだ驚異のダンサー、リル・バック本人からメッセージ

リル・バック

1988年、米・シカゴ生まれ。8歳でテネシー州メンフィスに転居しジューキンに出会う。その後、奨学金を得てバレエ・カンパニー、ニュー・バレエ・アンサンブルのレッスン生となり、ジューキンとバレエを融合させた「白鳥」を踊る。2011年、世界的チェロ奏者のヨーヨー・マの演奏で「白鳥」を踊り、その様子を映画監督のスパイク・ジョーンズが携帯で撮影しYouTubeにアップするとたちまち評判となる。これを機に世界中で活躍。ジャネール・モネイのMV、シルク・ドゥ・ソレイユ「マイケル・ジャクソン ONE」等に出演。マドンナのツアーへ参加。ユニクロやGAP、AppleのCMに出演。現在、NYのジュリアード音楽院のクリエイティブ・アソシエイツも務める。

リル・バック ストリートから世界へ

ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺にて公開中

ほか全国順次公開

監督:ルイ・ウォレカン 配給:ムヴィオラ

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