約40年にわたってハリウッドを中心に映画記者活動を続けている筆者が、その期間にインタビューしたスターは星の数。現在の大スターも駆け出しのころから知り合いというわけです。ということで、普段はなかなか知ることのできないビッグスターの昔と今の素顔を語ってもらう興味津々のコーナーです。今回は、シリーズ最新作『マトリックス レザレクションズ』が絶賛公開中のキアヌ・リーヴスに注目です!(文・成田陽子/デジタル編集・スクリーン編集部)

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて40年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

バイクの話になるとノンストップ! カスタム・オートバイ・ビジネスにも進出!

画像: 1987年ころのキアヌ

1987年ころのキアヌ

今から32年前の1989年に『ビルとテッドの大冒険』で25歳のキアヌ・リーヴスに初めて会ったのだが、その第3作『ビルとテッドの時空旅行』(2020)での56歳の彼はほとんど変わってない! 外見も内面もである。やはり浮世離れした、無限の世界の王子様のままで、するーっと存在して来たかのようだ。“スーパー「ゼン」(禅)人間”と呼ぶ人も多い。

ホームレス救助などの武勇伝、謎の行動、奇天烈な表現、彼自身はレバノン生まれ、キアヌは山を渡る涼風と言う意味のハワイ言葉の名前、などなどデビューしてからの逸話は数々。最近は48歳のアーティスト、アレクサンドラ・グラントとロマンス展開中で、ほのぼのとしたオーラを放出しながら色々なイベントに一緒に登場している。

キアヌはほとんどプライベートのことを話したがらないが、いざ、オートバイの話になると途端に饒舌になって、その嬉しそうな表情が何とも少年ぽくて若々しい。

「初めてオートバイを自由に乗り回したのがドイツに行った時で以来ずーっとバイク狂だった。それが昂じてカスタム製オートバイのビジネスに没頭して来て、やっと“アーチ・モーターサイクルズ”という会社をパートナーと立ち上げて、結構注目されているんだ。

僕が持っている中でのナンバーワンは何と言ってもノートン・コマンドーで最高のマシーンだ。今はノートンを3台、ノートンレースバイクを1台持っている。

ドイツから帰ってからロスアンジェルスでオートバイを買って、まずサンセット大通りからマリブに行き、それからサンタモニカ・マウンテンに登った。それが最初のライドだったね。以来機会がある毎にサンセット、パシフィック・コースト・ハイウェイ、マルホーランド、ローレル・キャニオンのサーキットを楽しむ。フランスのナポレオン・ロード、北オーストラリアのケアーンズ、など外国の名高いルートも色々経験した。サンフランシスコの下の沿岸道路、マサチューセッツの狭い道路もスリリングだし」

とバイクの話になると相変わらずノンストップになってしまう。何度も大事故に遭い、膵臓破裂、脳しんとう、足の裂傷等大けがを繰り返して来てもノンシャランとしているあたりがいかにもキアヌなのである。

画像: バイクの話になるとノンストップ! カスタム・オートバイ・ビジネスにも進出!

アクションの基本を教えてくれたキャスリン・ビグロー監督に感謝している

「小さい時からフェイクファイツ(戦闘ごっこ)が大好きで、舞台に出るようになってからはフェンシングの真似っこに凝って傷だらけになったり。キャスリン・ビグロー監督が『ハートブルー』(1991)でアクションの基本を教えてくれてから、僕はアクション俳優として有名になった。キャスリンに大いに感謝している。それから『スピード』(1994)、そして『マトリックス』シリーズ(1999~2003)につながっていったのだから。映画用カンフーがマトリックス・トリロジーの中心だったし、それが今の僕の芯になっていると思う。

僕にとって大事なものはオートバイと映画からの思い出の品物の数々、脚本とか小道具とか。古いタイプライターが2個、大好きなスーツが2着、友人や旅行の時の写真、好きな映画のDVD。大事なものの中にふさふさした毛並みのペットなんかいたらいいと思うのだけれどね」

一生懸命に思い出しながらあれとこれと答えてくれる無骨さが「キアヌ節」なのである。『マトリックス レザレクションズ」』(2021)については、まだ秘密なのだが、「非常に心を揺さぶられるラブ・ストーリー、それから過去に戻ったりしない」

と微妙なコメントを出していのが、ファンの期待を大いに揺さぶるではありませんか!

画像: キアヌと筆者

キアヌと筆者

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