武士道精神や愛国心、正義をテーマに武道に長けた女子大生が日本を滅亡の危機から救おうと戦いに挑む姿が描かれる『愛国女子ー紅武士道』(公開中)で監督を務める赤羽博。主人公と同じく、剣道経験を持つ赤羽監督が武士道精神、大和魂を語る!(文・タナカシノブ/写真・奥田耕平(THE96)/デジタル編集・スクリーン編集部)

『愛国女子─紅武士道』あらすじ

画像: 武士道精神、大和魂を語る! 『愛国女子─紅武士道』赤羽博監督&西岡德馬インタビュー

ある日、街で芸能事務所にスカウトされた大学生の大和静(千眼美子)は案内された事務所で武器を手にした4人の男たちに襲われる。しかし、幼い頃から大和一心館10代目道場主の父に鍛えられ、剣道4段、全国大会優勝の腕前を持つ彼女は瞬く間に彼らを倒してしまう。身構える静の前に現れた芸能事務所社長の高山悟志(田中宏明)は、自身が国を守るための活動をしていることを告げる。高山との出会いを機に、静は日本滅亡の危機をめぐる激しい戦いに身を投じていく──。

剣を振り回すだけのアクションではない! 重要なのは「精神性」をのせること

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赤羽 博

1951年、山梨県出身。大学卒業後、フリーのテレビドラマ助監督となり、1985年にドラマ「毎度おさわがせします」で演出家デビュー。以降、テレビドラマ「教師びんびん物語」や「GTO」など、ドラマを中心に話題作の演出・監督を多数手がける。主な映画は『夜明けを信じて。』(2020)、岡江久美子遺作映画となった『車線変更-キューポラを見上げて-』(2021)など。

── 台本を読んだときのストーリーの印象を教えてください。

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テーマがたくさん入っていたので、どのように整理していこうかとまず考えました。タイトルにもある愛国はもちろん、なぜ今描くのか、なぜ女子なのかなど。思考をどんどん重ねていかないと本当のテーマにたどりつかないので、大変でした。

── どのように整理していったのでしょうか?

まず、愛国という言葉にどちらかというとあまりいいイメージを持っていない人が多いのではないかと思いました。世界の現状に目を向けると、いまだに紛争はあるし、すったもんだしている国もある。そういう時代を生きる中で、国を守ることにつながる愛国心は必要だと私自身は考えています。

だけど、若者とか年配者とか年齢に関係なく今の日本では愛国心のような言葉にややアレルギーのようになっている中で、このテーマを描き、伝えていくにはどうしたらいいのか。無関心であることの怖さに気づくこと、考えることのきっかけになり、かつ武士道の精神も描いていかなければいけない。正しい愛国心は武士道精神からなっていることを描くために、じゃあ、武士道精神とは一体なんなのか、と順を追って整理していきました。

── テーマが多いだけに大変な作業のように感じます。

大変ではありましたが、歴史をたどり武士道に備わっていた精神を考えれば、愛国心を描くことは難しいことではありません。武士には命をかけて守るべきものをしっかり守らなくてはいけないという精神があり、その自分の精神をどこまでも鍛えていかなければいけないという考え方だったわけです。戦争を含めたさまざまな戦いを経て、時が流れた今、もともと日本人が持っていた武士道精神から大和魂を学びなさいというテーマを映画で感じ取ってもらえるようにという思いがありました。

── 映画では剣道を通して武士道精神、大和魂を伝えています。

剣を振り回す、いわゆるチャンバラのようなシーンもありますが、大切にしたのは相手と向かいあったときの精神です。もちろんアクションも映画の見どころなので、かっこよく見えることにはこだわりました。みなさん役者ですし、ある程度練習すれば、斬られ役の方たちの技も相まって、見応えのあるアクションシーンには仕上がります。

ただし、この映画で重要なのは、そこに精神をのせることなんです。今を生きる日本人がよく言われる“平和ボケ”に“気づき”を与えること、見て見ぬ振りをしてはいけない、しっかり見つめなさい、見極めなさいというメッセージが我々作り手に与えられたと考え、それを全うしようという気持ちで挑みました。非常に精神的な部分の強い映画なので、観ている人たちにその精神性がどのくらい伝わるだろうかということを常に考えていました。大変難しかったです。

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