この春はアカデミー賞ノミネート作から人気シリーズの最新作まで、期待の新作映画が続々と公開予定。なかでも“ある共通点”を持った作品の公開が多数控えている。その共通点とは、本編がモノクロで描かれているということ。この春注目の「極上」のモノクロ映画3作をピックアップしてご紹介!

近年A24制作のホラー『ライトハウス』、ミレニアル世代を代表するアーティストのアマリア・ウルマンが監督を務めた『エル プラネタ』など、あえてモノクロで描いた作品の公開は少なくない。今年公開され大ヒットを記録したウェス・アンダーソン監督『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』でも物語の一部がモノクロの映像となっている。

そしてこの春は特に『パリ13区』『ベルファスト』『カモン カモン』という、名匠による注目の3作品がいずれもモノクロ映画となっている。監督たちがモノクロームの世界の中で描きたかった物語とは? そしてあえてモノクロを選択した理由とは? この春は劇場のスクリーンでその映像美を堪能してみてはいかがだろうか。

“新しいパリ”の物語を、洗練されたモノクロの映像美で大胆に描く
『パリ13区』(4/22 公開)

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞『ディーパンの闘い』、グランプリ受賞『預言者』など数々の名作で世を驚かせてきた、今年70歳を迎える鬼才ジャック・オディアール監督。待望の最新作では、『燃ゆる女の肖像』で一躍世界のトップ監督となった現在43歳のセリーヌ・シアマと共同で脚本を手がけ、“新しいパリ”の物語を、洗練されたモノクロの映像美で大胆に描き出した。

画像1: “新しいパリ”の物語を、洗練されたモノクロの映像美で大胆に描く 『パリ13区』(4/22 公開)

2021年第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でお披露目されるや、フランス映画界屈指の世代を超えたビッグコラボが大きな注目を集め、絶賛を浴びた。また、第47回セザール賞では、撮影賞、脚色賞、音楽賞、有望若手女優賞、有望若手男優賞の5部門に選出された。

舞台となるパリ 13 区は、高層住宅が連なり、多文化で活気に満ちて、まさに現代の パリを象徴するエリア。コールセンターで働くエミリーと高校教師のカミーユ、32 歳 で大学に復学したノラ、そしてポルノ女優のアンバー・スウィート。ミレニアル世代の若者たちの恋愛物語。

画像2: “新しいパリ”の物語を、洗練されたモノクロの映像美で大胆に描く 『パリ13区』(4/22 公開)

圧倒的なモノクロの映像美で描かれるのは、誰も見たことのなかった”新しいパリ”。オディアール監督は、モノクロでの撮影について「パリでは何度も撮影をしてきましたが、13区を選んでモノクロで撮影することによって、より生き生きとしたものを提供できる可能性が生まれ、パリへの期待感が変わりました」と語っている。

パリ13区
4月22日(金)、新宿ピカデリーほかにて全国公開
配給:ロングライド
©︎ShannaBesson ©PAGE 114 - France 2 Cinéma

ノスタルジックで力強いモノクロ映像が永遠の記憶を映す
『ベルファスト』(公開中)

名匠ケネス・ブラナー監督が自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。監督の出身地である北アイルランドのベルファストを舞台に、9歳の少年バディの目線を通して、激動の時代に翻弄される故郷の姿や人々を描く。ノスタルジックで力強いモノクロ映像が、少年とその家族の厳しくも愛に満ちた永遠の記憶を映している。

画像1: ノスタルジックで力強いモノクロ映像が永遠の記憶を映す 『ベルファスト』(公開中)

自身のルーツ(故郷)への郷愁とリスペクトを笑いあり涙ありの人生讃歌へと見事に昇華させたケネス・ブラナー。本作は先日授賞式が開催されたアカデミー賞で作品賞を含む主要7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。ケネス・ブラナーはこれが悲願の初オスカーとなった。

画像2: ノスタルジックで力強いモノクロ映像が永遠の記憶を映す 『ベルファスト』(公開中)

本作をモノクロ映画で撮った理由をブラナーは次のように語っている。「シルクやサテンのように滑らかな質感のあるモノクロ映画を‘ハリウッドのモノクロ映画’と呼ぶことは後から知ったが、登場人物がみんな魅力的に見えたんだ。9歳の少年にとって、親という存在は実際よりもかなり美化されて見えるものだから、その手法を採用したんだ。モノクロ映画はあらゆるものを実際より劇的に見せる効果がある。アンリ・カルティエ=ブレッソンなどのモノクロの報道写真には、私たちが普段見ている世界とは見え方が違うのに信ぴょう性を増す力がある。想像力を必要とする詩的な手法を用いることによって、生々しさをより引き立てるという面白い手法だ。この物語の表現方法の1つに‘ハリウッドのモノクロ映画’の手法を取り入れることで、平凡な世界を魅力的に見せることができると思った」

ベルファスト
絶賛公開中
配給:パルコ ユニバーサル映画
Ⓒ2021 Focus Features, LLC.

“職人”によって生み出された眩くも美しいモノクロ映像
『カモン カモン』(4/22公開)

突然始まった甥っ子との共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公ジョニーの日々を描いた感動のヒューマンドラマ。『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』を手掛けたマイク・ミルズ監督がホアキン・フェニックスとタッグを組んだ最新作。監督初の全編モノクロ長編作で、どの瞬間を切り取っても美しいモノクロームの映像に目を奪われる。

画像1: “職人”によって生み出された眩くも美しいモノクロ映像 『カモン カモン』(4/22公開)

本作で撮影を手掛けたのは、ヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされ、『わたしは、ダニエル・ブレイク』など名匠ケン・ローチ監督作常連のロビー・ライアン。眩くも美しいモノクロの映像はこの“職人”によって生み出されたものだ。

画像2: “職人”によって生み出された眩くも美しいモノクロ映像 『カモン カモン』(4/22公開)

ミルズ監督は本作を撮るにあたって『都会のアリス』『ピアニストを撃て』『ペーパー・ムーン』ほか数々の名作白黒映画にインスパイアされたという。さらに「この映画の物語は、すごくありきたりのことだと思うんだよね。子供をお風呂に入れて、一緒に寝て、ご飯食べるというものだからね。だけど白黒にすることで、その日常風景から切り離されて、これは“物語”なんだということをまず提示できると思った」と明かしている。

カモン カモン
4月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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