HBO MaxとWOWOWの日米共同制作で贈る史上初の超大作ドラマ・シリーズ「TOKYO VICE」。“世界で最も撮影が難しい都市”と言われる東京と、その近郊で全てが撮影された本作で主人公ジェイクを演じているのは、『ベイビー・ドライバー』でゴールデングローブ賞にノミネートされ、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』では主役に抜擢されたアンセル・エルゴート。難関な試験を突破して日本の大手新聞社に就職したアメリカ人のジェイク役に挑むために、アンセルは日本語を練習して撮影に臨んだ。
(撮影/久保田司 取材・文/清水久美子)
画像: 「TOKYO VICE」主演、アンセル・エルゴート来日インタビュー。あまりにも上手な日本語での受け答えに驚き!

4月、来日したアンセルはSCREENの取材に応じてくれた。朝一番のインタビューに現れたアンセルは、最初から流暢な日本語で「よろしくお願いします」と挨拶し、飲み物は何がいいか聞かれると「水をください。ありがとうございます」と、丁寧な受け答えをして、とても自然に日本語を話せることに驚いた。そんなアンセルに、日本語習得の話を含め、「TOKYO VICE」の撮影について話を聞いた。

日本語が上手で感激したことを伝えると、「ありがとうございます。でも、日本語はまだまだですね」と、照れ笑いしながら謙遜するアンセル。彼が演じるジェイクは劇中、猛勉強して、新聞社の実施する日本語の試験を受ける。日本語で作文を書き、面接も日本語。ちょっと意地悪な質問にもウィットに富んだ日本語で返答し、見事に採用される。アンセルは手元を映されているので、漢字もたくさん混ざっている日本語の文章を実際に書くシーンもあるが、どのように役作りしたのだろうか。「ジェイクは日本で一から自分というものを作り直して、新しい生活を始めようとします。日本の文化が大好きな彼は、日本語で試験を受けるために努力します。そのようなジェイクを演じるために、私は毎日4時間、日本語と歴史を教えてくださる本間先生の指導を受けました。本間先生にはとても感謝しています」と語り、今でも日本語の勉強を続けているのか聞くと、「はい、ずっと続けています」と笑顔で教えてくれた。

「TOKYO VICE」は、『ヒート』や『マイアミ・バイス』などで有名な巨匠マイケル・マンが監督を務めている。アンセルは、「マン監督は、視聴者に作品に没入してほしいと考えて撮る監督です。そして、俳優にもその世界に浸り切ることを求める方なんです。私の役は警察担当の新聞記者ということで、本物の新聞記者が警察の記事を書く際の執筆の仕方も覚えました。それはマン監督が助けてくれたからできたのですが、それをすることによって、私自身が新聞記者として浸ることができたし、ぜひ視聴者のみなさんにも浸ってほしいと思っています」と、マン監督の演出について語ってくれた。もともと没入型の俳優だというアンセルは、「私は毎回、そのキャラクターに100%のめり込むようにしています。そういうタイプだから、たぶん私は日本を好きなんだと思うんです。日本の人は、自分のやっていることに100%全力を注ぎますよね。私は俳優として、いつも細かいことまで一生懸命に気を配ってやっているので、日本の人に近いですよね」と、お茶目な表情で話した。

日本での撮影で、たくさんのことを学んだというアンセル。「養神館で合気道を習ったのですが、私には日本語の勉強よりもちょっと難しかったです(笑)。でも、とても良い経験になったし、人として成長することができたと思います」と、心身ともに鍛えた話もしてくれた。

非常に優等生なイメージだが、日本人キャストとはかなり仲良くなり、素の状態で楽しく過ごせたという。「伊藤英明さんとは本当に馬が合いました。新年には英明さんの故郷に招いていただいたんです。毎日温泉に入って、文字通り裸の付き合いをしました(笑)。ご家族と一緒に食事をして、お母様の手料理をご馳走になりました。初詣にも行きましたし、私と英明さんの息子さんはおみくじで大吉を引きました。とてもたくさん良い思い出ができました。英明さんに感謝しています」と、嬉しそうに語るアンセル。ほかにも、「笠松将さんはイケメンですよね! 一度、笠松将さんの演技を見たら、きっとファンになると思います」と絶賛。彼とも仲良くなったようだ。

また、「渡辺謙さんと仕事ができて、とても光栄です。菊地凛子さんも素晴らしい俳優ですね。日本の俳優さんたちと一緒に働くのがすごく楽しかったです。『TOKYO VICE』のキャストは、本当にクールなアンサンブルだったと思います」と言うアンセルは、心から日本での撮影を楽しんだようだ。「いつも東京で撮影したいと思っていたので、それが叶って本当に嬉しいです。『TOKYO VICE』をたくさんの方に見ていただきたいです」と語るアンセル。インタビュー中、8割がた日本語で質問に答えてくれた彼は、写真撮影前のメイク直しでは「確認しています」と、スタッフがよく言うフレーズまで覚えて使っており、周囲を和ませた。

TOKYO VICE

画像: (C)HBO Max / James Lisle ©️HBO Max _ Eros Hoagland

(C)HBO Max / James Lisle ©️HBO Max _ Eros Hoagland

WOWOWにて毎週日曜午後10時より独占放送中

WOWOWオンデマンドにて配信中

アンセル・エルゴードのインタビュー&「TOKYO VICE」の特集は、5月20日発売の『SCREEN 7月号』に掲載。その他、注目の海外ドラマも特集。

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