第75回カンヌ国際映画祭 「コンペティション」部門に『ベイビー・ブローカー』が正式出品されたことを受け、是枝裕和監督、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン(歌手名:IU)、イ・ジュヨンの5名がカンヌ入りし、レッドカーペットを歩き公式上映の会場に入った。

是枝監督とソン・ガンホの組み合わせに世界の関心も高く

大勢の取材陣や観客が注目する中、レッドカーペットに黄色い歓声と共に迎え入れられたのは、アルマーニのタキシードにサングラスをかけた正装の是枝裕和監督と、同じくタキシードにサングラスの出で立ちでひげをたくわえ、さすがの貫録を見せるソン・ガンホ率いる『ベイビー・ブローカー』チーム。
2人に続くのは、ルイ・ヴィトンのスパンコールタキシードで長身を生かしたスタイルの良さが一段と目を引くカン・ドンウォン。そして、最も注目を集めたのは、胸元にポイントのおかれたオフショルダーのグレーのロングドレスにショーメのアクセサリーでエレガントに登場したイ・ジウン(歌手名:IU)だ。アップにしたヘアスタイルと透明感のあるメイクがその可憐さをさらに際立たせる。さらに、胸元が大きく開いたシンプルな白いロングドレスに身を包んだイ・ジュヨンも横に並ぶ。イ・ジウンはファンサービスにも丁寧応じ、アジア、そしてヨーロッパの観客からはIUコールも起こり、一目見ようと木に登ったり、中には泣きくずれるファンもいて世界的な人気ぶりがうかがえた。

画像1: 是枝監督とソン・ガンホの組み合わせに世界の関心も高く

全員が一列に並んだタイミングからは、『ベイビー・ブローカー』の音楽を手掛けたチョン・ジェイルの美しいピアノの旋律にのせ、ゆっくりと階段をあがる監督とキャスト陣。パルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督と『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホがタッグを組んだ作品ということで、世界から集まったメディアや観客からの注目度は非常に高く、盛り上がりを見せるレッドカーペットとなった。
会場に向かう直前に心境を聞かれた是枝監督は「毎回持ってくる作品も違いますし、チームも違うので、何度来てもいつも新鮮な思いで臨んでいます。今回は特に会場へ向けての出発場所となるホテルの壁に作品の垂れ幕がかかっているので、ちょっと背筋が伸びる思いです。でも、作品の出来上がりには自分的にとても満足しているので、そんなに何かが負担になったり、過剰な期待をしたり、それで落胆したりという、今回はそこは卒業できたのかなと思っています。あとはみんなと楽しみたいと思います。」と語っていた。

画像2: 是枝監督とソン・ガンホの組み合わせに世界の関心も高く

また、レッドカーペット上のインタビューでは、「言葉を越えてつながれたという印象がスタッフともキャストともあるので、自分でも納得ができる作品でまたここに帰ってこられて本当にうれしいです。」「ベイビー・ボックス自体は韓国だけでなく、日本にもあるのですが、今回はベイビー・ボックスがあるなしにかかわらず、生まれてきた命に対して大人たちがどう関われるのか、それを旅を通して描いてみたいなと思いました。」と語り、さらに大好きなケン・ローチと同じようにもう一つパルムドールを獲ってしまうのでは?という質問に対しては「そんなことが起きたら、本当にうれしい」と素直な思いを伝えた。

画像3: 是枝監督とソン・ガンホの組み合わせに世界の関心も高く

『ベイビー・ブローカー』

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。〈赤ちゃんポスト〉で出会った彼らの、特別な旅が始まる―。

■監督・脚本・編集:是枝裕和   
■出演:ソン・ガンホ  カン・ドンウォン  ペ・ドゥナ イ・ジウン イ・ジュヨン
■配給:ギャガ

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