約40年にわたってハリウッドを中心に映画記者活動を続けている筆者が、その期間にインタビューしたスターは星の数。現在の大スターも駆け出しのころから知り合いというわけです。ということで、普段はなかなか知ることのできないビッグスターの昔と今の素顔を語ってもらう興味津々のコーナーです。今回は、シリーズ最新作『ソー:ラブ&サンダー』が絶賛公開中のナタリー・ポートマンに注目です。(文・成田陽子/デジタル編集・スクリーン編集部)

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて40年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

『レオン』の頃はインタビューにも恥ずかしそうに答えていたが……

待望の新作、『ソー:ラブ&サンダー』(2022)では科学者のジェーン・フォスターから、ムジョルニア(巨大なハンマー)を振り回す「マイティ・ソー」に変身して、逞しいスーパーパワーを見せてくれるナタリー・ポートマン。

「今はあまり説明出来ないけれど、今度の役には物凄くエキサイトしています。筋肉作りに集中するトレーニングをして、女性版のスーパーヒーロー役に挑戦。監督のタイカ・ワイティティとはすっかり息があって、お馬鹿なジョークばかり言い合っているのよ」

一時は女性監督のパティ・ジェンキンスが降板したために『ソー』シリーズから遠ざかっていたナタリーがやっと「女性にもっと平等の機会を!」に沿った状況を認めて、マーベル・コミックス映画にカムバックしたのである。

コロナ禍での撮影はオーストラリアのシドニーで行われ、ナタリーは自分の家族に加えて両親をも呼び寄せて、1年以上も自然の中でリラックスしたファミリー・ライフを楽しんだと言う。

「その昔、17歳の時にSF大作『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)のパドメ・アミダラ役を演じたなんて信じられない。子供たちにはまだ見せてないけれど、見たらきっと『僕らのママも凄かったんだ!』って見直してくれるかも。当時は映画のスケールなど良く分からずに撮影に入って、無我夢中で役作りをしたのよ」

現在ナタリーは41歳、オスカー主演賞を受賞した『ブラック・スワン』(2010)の振り付けを担当していたフランス人のバンジャマン・ミルピエと2012年に結婚、長男は11歳、長女は5歳になる。

たった13歳の時に『レオン』(1994)の美少女役で強烈なデビューを果たしたナタリー・ポートマン。この時のインタビューでは、恥ずかしそうに、始終うつむき加減で質問にボソボソ答えていたが、時折見せる表情には高度の知性と毅然とした自信が見て取れた。共演のジャン・レノが時々、「大丈夫かい?」ってなことを聞くと流暢なフランス語で答えていたのが思い出される。

画像: 1995年ころのナタリー・ポートマン

1995年ころのナタリー・ポートマン

それから2年後の『ビューティフル・ガールズ』(1996)の時は、共演のティモシー・ハットンをお兄さんのように慕って、目配せしたり、思い出し笑いをしたりして、着実にハリウッド業界に馴染んだ姿を見せてくれた。

子供たちときたら私のフランス語がひどいと言って耳を塞いでしまうの(笑)!

画像: 子供たちときたら私のフランス語がひどいと言って耳を塞いでしまうの(笑)!

ケネディ元大統領のファーストレディを演じた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016)の会見の時は大きなお腹で現れて「もう出産も2回目だから余り心配しないけれど、これから当分は家族と共に過ごして、子育てに集中します」などと言っていたものの、すぐに復帰していた。

ハリウッドに頭脳と美貌の怒濤のパワーを持たらし、社会問題にも精力的に取り組み、今ではベテランの年輪も加わって、業界から畏敬の念を寄せられる貴重な存在の女優。

「息子と娘は私がフランス語を話すと、ヒドい!止めて!って耳をおさえるの(笑)。夫と子供たちはいつもフランス語で私を仲間はずれにして仲良く会話をしているのだから!」

小さい時は将来、父親のあとを継いで医師になって世界中の病気を撲滅するとか、又は外交官になって世界に平和を持たらすなどと勇ましく抱負を語っていたナタリー。実際はハーバード大を優等で卒業し、フランス語もヘブライ語もスペイン語もぺらぺらの優等生なのである。

イスラエルはエルサレム生まれのナタリーはユダヤ教信者。家族も信者となり、家族揃って教訓を守り敬虔に暮らしていると言う。

画像: 筆者とナタリー

筆者とナタリー

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