1971年に公開され大ヒットを記録した『小さな恋のメロディ』。本作を彩る“ビー・ジーズ”の数々の名曲と共に今も愛される本作で主演のカップルを演じたトレイシー・ハイドとマーク・レスターが、ファン・ミーティング・イベント出席のため揃って来日。折よく『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』の公開もあってSCREEN ONLINEの単独インタビューに応えてくれた。(取材・文/米崎明宏)

「私は“若葉のころ”が好き」(トレイシー)「僕は“メロディ・フェア”がお気に入り」(マーク)

70年代の日本の若者文化に大きな影響を残したといっても過言ではない英国発の青春映画『小さな恋のメロディ』。まだ11歳の同級生がお互いを愛し、親や友人たちの前で結婚を宣言するという衝撃的なストーリーながら、時にメランコリックに、時にコミカルに幼い純愛を描いた本作にときめき、支持するティーンが続出。いまもこの映画を生涯の一本と熱愛するファンは少なくなく、主人公カップルを演じた二人、トレイシー・ハイドとマーク・レスターは伝説のカップルとして記憶されている。そんな二人がファン・ミーティングに出席するため、なんと50年ぶりに揃って来日。半世紀前にも二人を取材したSCREENのためにインタビューの時間を割いてくれた。

画像: 和やかにインタビューに応じてくれたマークとトレイシー

和やかにインタビューに応じてくれたマークとトレイシー

半世紀も前の来日記事のコピーを見せると、懐かしそうに、「これを撮影した時を覚えている!」と当時の思い出を語ってくれた二人。
トレイシー(以下T)「初めて日本に来た時、羽田空港(当時、成田はまだない)の出口を出た瞬間、何百人もの人が待っていて、歓声が聴こえたの。同行した母が『誰か有名人が乗っていたのかしら?』って言ったけど、それは私に向けての歓声だったと分かり、とても驚いたわ。あとはもみくちゃになって、あっという間に記者会見場に連れていかれて……という感じだったわ!」
マーク(以下M)「僕の初めて日本はその3年前の『オリバー!』の時だったから、その時はまだ誰も来ていなかったけど、東京の美しいネオンは覚えている」
T「会見まで誰も知っている人がいない中で、『どうしよう!』と慌てていた時、先に来ていたマークが花束を持って現れて、『やっと知っている人がいた!』と安心したわ(笑)」 
 今回はゆっくり日本のファンと直に会ってゆっくりお話もできて、とても幸せな時間を過ごしていると微笑む二人にとって、『メロディ』はいまどんな意味を持っているのだろう。
M「今でもとてもいい思い出だよ。映画は少し古くなったかもしれないけど、ビー・ジーズの音楽は今も新鮮に聞こえるよね」
T「半世紀たったいまでもこんな素敵な体験ができるくらいだから、とてもスイートな思い出。私は元々プロの女優ではなかったので、役をもらえたのはラッキーでした。いるべき時にいるべき場所にいたと言うのかしら」

画像1: 「私は“若葉のころ”が好き」(トレイシー)「僕は“メロディ・フェア”がお気に入り」(マーク)

ということで、当時の撮影の思い出も教えてもらった。
M「ワリス(フセイン監督)はあまり演技自体に口を出さず、僕がダニエルになるのをじっと待ってくれるタイプの人だった。アラン(パーカー=原作&脚本)はオブザーバーとして見ている感じで、現場で脚本をより良く書き直してくれたりしたね」
T「眼鏡の男の子の個性を生かして、出番を付け足したりね。冒頭のシーン撮影で私は出番がなかったけどアランと一緒に男の子たちの演技を見ていた記憶があるわ」
“ビー・ジーズ”の音楽も映画と共に今も人気があるが、二人の好きな曲は?
T「私は“若葉のころ”ね。ビー・ジーズの曲は映画に命を吹き込んでくれたのではないかしら。子供たちの生活を描写するのに音楽が意味を与えてくれているというか」
M「『メロディ』に関していえば、僕は“メロディ・フェア”が好き。彼らの音楽では初期の“マサチューセッツ”も良いね。もちろん『サタデー・ナイト・フィーバー』は名アルバムで、10年くらい彼らの曲で踊り続けていたよ(笑)」
 後で聞いたところによれば、マークが初めて買ったレコードが“マサチューセッツ”だったとか。

画像2: 「私は“若葉のころ”が好き」(トレイシー)「僕は“メロディ・フェア”がお気に入り」(マーク)

ところで二人の現在の生活ぶりも聞いてみると、次のように教えてくれた。
T「私はフランス南西部のコニャックが有名な地域に住んでいます。工場で一年間コニャック作りもやっていたこともあるのよ。馬も飼っていて毎日いろいろ忙しいけど、もうそろそろ引退する年齢だしマイペースで働いています。母と子供が住んでいるロンドンと行き来してるんですよ」
M「俳優復帰の噂があったけど本格的にはまだ。ただこの間(武術関係の?)友人が作った映画にお楽しみという感じで顔を出したんだ。それで復帰したと思われることもあるみたい。でも本職は整体師。指圧とか鍼灸もやるよ。ロンドンはガールフレンドが住んでいるので、時々訪れて、犬の散歩をするんだけど、その地域が『メロディ』のトロッコのシーンを撮影した場所の近くなんだ(笑)」
 二人ともロンドンにはいまも馴染みがあるということだが、「50年前にロケした地帯はもともと低所得の人たちが住むような地域だったけど、いまは高級住宅も並んでいる。でもロンドンは古いものを残しながら高層ビルも建つという、いい意味で新旧が共存しているところ」と意見が一致した。

『小さな恋のメロディ』

1971年製作のイギリス映画。監督はワリス・フセイン、脚本はアラン・パーカー。出演はマーク・レスター、トレイシー・ハイド、ジャック・ワイルドほか。
ロンドンの公立学校に通う11歳のダニエルは同じ学校に通うメロディという少女に初恋を。純粋な二人は交際をはじめ、周囲にからかわれたり、反対されたりしながらも「僕たち結婚したいんです」と宣言。大人たちは大慌てだがクラスメイト達は二人の結婚式を行おうとする……。

画像: 『小さな恋のメロディ』©1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『小さな恋のメロディ』©1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』

『 バック・トゥ・ザ・フューチャー 』 などのプロデューサーであるフランク・マーシャル監督が、半世紀以上にも渡って音楽業界をサバイブしてきた「ビー・ジーズ」の軌跡を描くドキュメンタリー映画。ビー・ジーズは英国マン島に生まれたバリー・ギブと 3 歳下のふたごの弟たちロビンとモーリスのギブ 3 兄弟によるグループで、少年時代から活動を開始し、全世界でアルバム 2 億 2 千万枚超を売り上げ、書いた曲は 1,100 曲以上、そのうち全英・米ナンバーワン・ヒットが 20 曲、トップ 10 ヒットが 70 曲という業績を誇り、ジャンルと時代を超えて文化に多大な影響を与えたバンド/パフォーマー、ソングライター。この映画は貴重な写真や未公開のムービーを駆使して名曲誕生の瞬間を体験できる臨場感あふれる構成になっている。配給: STAR CHANNEL MOVIES

画像: © 2020 Polygram Entertainment, LLC All Rights Reserved.

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11月25日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて公開

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