まもなく第95回となる映画界最大の祭典、アカデミー賞の最終ノミネーションが発表される時期(2023年1月24日発表)がやってきました。果たしていま、どんな作品や監督、俳優たちが有力視されているのか。その最新情報を探りつつ、オスカーレース主要部門の行方を予想してみましょう。まずは作品賞、監督賞の有力候補から。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『トップガン マーヴェリック』© 2022 Paramount Pictures.

スピルバーグがレジェンド監督に仲間入り?

最も注目される作品賞部門のフロントランナーと目されているのは、『イニシェリン島の精霊』と並んで、まず昨年のトロント国際映画祭で観客賞(近年では『グリーンブック』(2018)『ノマドランド』(2020)などが獲得した賞)を受賞した名匠スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的要素を込めた感動ドラマ『フェイブルマンズ』を挙げなくてはならない。

画像: 『フェイブルマンズ』(2023年3月3日公開) © Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

『フェイブルマンズ』(2023年3月3日公開)

© Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

スピルバーグが子供時代に映画監督を目指すようになった体験を基にした作品で、映画ファンなら絶対ハートに響く作品と好評。スピルバーグは3度目の監督賞を受賞するのではないかという評判も高い。

監督賞の最多受賞記録はジョン・フォードの4回だが、それに次いで3回受賞しているのはウィリアム・ワイラー、フランク・キャプラといった映画史に残る往年の名匠2人だけ。ここに現代の巨匠スピルバーグが並ぶかどうか注目される。

画像: 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023年3月3日公開) © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023年3月3日公開)

© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

ここに対抗馬としてぐんぐん評価を高めているのが気鋭のスタジオ、A24が贈る最新作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。破産寸前のコインランドリーを経営するアジア系の女性エヴリンが、いつもは優柔不断な夫に連れ込まれたのはマルチバースの世界! という奇想天外なストーリーに移民問題や哲学的な問いかけなどをごちゃまぜにしたような誰も見たことのないエンターテインメント。

監督はあの異色作『スイス・アーミー・マン』(2016)のダニエル・シャイナート&ダニエル・クワンのコンビ。彼らも監督賞候補に上がりそうな勢いが生まれつつある。

画像: 『TAR/ター』(2023年5月公開) ©2022 FOCUS FEATURES LLC.

『TAR/ター』(2023年5月公開)

©2022 FOCUS FEATURES LLC.

そしてもう一つ注目されている作品が『イン・ザ・ベッドルーム』(2001)『リトル・チルドレン』(2006)のトッド・フィールド監督が名女優ケイト・ブランシェットと組んで16年ぶりに作り上げた『TAR/ター』。ドイツの有名オーケストラで女性として初めて首席指揮者に任命されたリディア・ターの物語。

すでに昨年のベネチア国際映画祭ではブランシェットが最優秀女優賞を獲得しているが、世界中の批評家165人が選んだ2022年最高の映画1位に選出され、フィールドは最優秀監督・脚本にも選ばれる高評価だ。

This article is a sponsored article by
''.