高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による緊迫の対話を描く『対峙』が、2月10日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開となる。今回同作のはじまりを捉えた4分間の本編映像、そして本作を一足早く鑑賞した著名人たちからのコメントが到着した。

銃乱射事件の被害者両親と加害者両親、人生のすべてをかけた対話のはじまり

本作の舞台となるのは、アメリカのある田舎町の美しい並木通り沿いに建つ小さな教会。その奥にある個室である会合が開かれようとしており、その目的を知る者は念入りに部屋の細部や装飾までチェックし、椅子の位置や、飲み物を置く場所に至るまで細心の注意を払っていた。

少しだけ早く到着したのは、この会合に参加するジェイ(ジェイソン・アイザックス)とゲイル(マーサ・プリンプトン)夫妻。この映像は、リチャード(リード・バーニー)とリンダ(アン・ダウド)が到着するところから始まる。

画像: 2.10(金)公開『対峙』<人生をかけた対話>のはじまり|本編映像① youtu.be

2.10(金)公開『対峙』<人生をかけた対話>のはじまり|本編映像①

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会合実現のために仲介をしてきたカウンセラーが、4人に「ついにみなさんが同じ席に。今日ここを出る時に、話してよかったと思えますように」などと言葉をかけ、部屋を後にする。リンダがゲイルに渡すために用意した花は自分で育てたものだというが、ゲイルのお礼はどこかよそよそしく、ジェイはそれをテーブルからどかすことを提案。

4人はぎこちなく会話を始めるが、明らかに回りくどく、核心からはほど遠いものだった。しかし、リチャードの「息子を守るためだった」という言葉に、ジェイとゲイルは凍り付く――

劇中、ここまでのシーンにおいてこの会合の目的は一切語られることはなく、観る者は、ここから始まる4人の会話のみを通じて、その目的や4人の関係、過去と現在、事件によって人生を断裂された4人のことなどについて少しずつ知っていくことになるのだ。

かねてから出演を確約していたというトニー賞俳優である大ベテランのリード・バーニーは、脚本を読んだ時の感想として「ものすごくパワフルだった。ディテール、態度や仕草のニュアンス、人間関係の複雑さに驚かされた。ベテランの脚本家ですらなかなか書けないような見事な脚本を、フランはデビュー作でいきなり書いたんだ」と絶賛している。

また、白石和彌、瀬々敬久、吉田恵輔ら7名の映画監督を含む総勢14名による著名人のコメントも到着。白石の「映画が何のために存在するのか、その一端を教えてくれた気がします。」など、それぞれの視点で映画に迫るコメントを寄せている。こちらも合わせてチェックしてみてほしい。

『対峙』著名人コメント(敬称略・順不同)

白石 和彌(映画監督)
映画を見て数日経つが、紡ぐ言葉が見つからない。
とにかく凄まじいものを見た。
映画が何のために存在するのか、その一端を教えてくれた気がします。
多くの悲しみと憎悪の溢れる世の中に、静かな光を差し込む映画です。

奥田 瑛二(俳優/映画監督)
自身が生きてきた経験や準備された言葉では言い表すことができず
自問自答を繰り返している。
大切な人の手を握りしめることしかできない。

瀬々 敬久(映画監督)
シンプルは力強い。
対話のみで加害者と被害者の心の葛藤を描き切った。
人生の残酷と生きることの美しさ。
何度となく出てくる「赦し」という言葉の重さ。
本物の映画だ。

坂上 香(ドキュメンタリー映画監督)
埋めようのない喪失を味わった2組の夫婦が、問いかける。
その先を、私たちはどう生き続けることができるのか?

デーブ・スペクター(放送プロデューサー)
教会の密室、6年の経過を経て許すか許さないかのサスペンス。
彼らが望む「完結」は得られるのか、最後まで目が離せない。

岸 善幸(映画監督/ディレクター)
罪と罰と、許し。突きつけられる問いに向きあい続けた親たち。
事件の後も生きなければならない彼らの心に触れてほしい。

香山 リカ(精神科医)
人間の心はとてももろい。でも、とても深い。そして、何度でも再生する。
心の専門家であるはずの私も魂を揺さぶられた。

吉田 恵輔(映画監督)
他者への想像力。少し広がるだけでも世界は暖かい。
しかし簡単に出来ないのが人間。もどかしさが痛く切ない。

浜田 敬子(ジャーナリスト)
どんなに憎んでいても、赦せなくても、向き合わなければ知ることすらできない。
対峙することの苦しさと、それでもその先にしか一筋の光がないことを知らしめてくれる作品。

宮本 亞門(演出家)
映像は一見、何の問題もない暮らしから始まる。
だが4人の親によって子供たちの様子が炙り出される。
社会や個人、加害者や被害者の気持ち、残された者、親や子とは? 
誰もが持ちうる混乱、疑惑、不安、恐れを炙り出す。
実にシンプルだ、シンプルゆえに語られてこなかったことを語る彼らの言葉が心に響く。
不安が人を自己的にさせ、分断を生みだす今、対峙し話し合うことは可能か否か?
これは演劇であり映画であり新たなドキュメンタリー、この時代が産んだ秀作だ。

上西 充子(法政大学教授)
耳を傾ける者がいて初めて、胸のうちに押し込められた思いは言葉となって姿をあらわす。

森 達也(映画監督/作家)
まさしく密室劇。対峙するのは加害者の家族と被害者の遺族。言葉をぶつけ、憎悪や絶望に身を焦がし、そして慰め合う。言葉にすればひりひり。罪と罰とは何か。ここに今の世界の多くの問題が凝縮されている。

猿渡 由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)
現代のアメリカで多発する学校での乱射事件を限りなく近い距離から人間的に見つめる感動の傑作。4人の役者の演技に大絶賛を送りたい。

名越 康文(精神科医)
赦しだけが魂の救いだとしても、どうして凍てつく心の扉を、開けることなどできるだろうか。
その絶望的な問いに真正面から挑んだ映画がここに出現した。
この作品を通じて、あらゆる意味での人間の勇気を、我々は知ることになるだろう。

『対峙』
2023年2月10日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:トランスフォーマー
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