この春、韓国から強烈な血みどろバイオレンスが到着。この映画、何度始まるんだ… そんな驚愕のストーリーも必見! 監督のインタビューとあわせてご紹介します。(文・前田かおり/デジタル編集・スクリーン編集部)

韓国発バイオレンス・アクション『オオカミ狩り』

画像: 韓国発バイオレンス・アクション『オオカミ狩り』

海上の監獄と化した貨物船を舞台に生死をかけた戦いの行方を描く韓国発バイオレンス・サバイバルアクション。『共謀者』(2012)『メタモルフォーゼ/変身』(2019)を手掛け、“ジャンル映画のマスター”と呼ばれるキム・ホンソン監督の最新作。実際の事件を元に想像を絶する作品を作り上げた。

2022年、フィリピン・マニラから韓国人犯罪者たちを乗せた貨物船が釜山港に向けて出航。船内には凶悪犯罪担当の刑事たち約20人が乗船する一方で、釜山では海上交通管制センターで海洋監査システムを設置し、韓比共同護送計画が進められていた。だが、脱走を企んでいた凶悪犯ジョンドゥ(ソ・イングク)が仲間の手引きで暴動を起こし、武器を手にした犯罪者たちが溢れかえる事態に。そんな中、船内に密かに積み込まれていた謎の“怪人”が覚醒し、おぞましい事態に陥っていく。

『グエムル-漢江の怪物-』(2006)以来、16年ぶりに第47回トロント国際映画祭のミッドナイトマッドネス部門に正式出品となったほか、第55回スペイン・シッチェス国際ファンタスティック映画祭コンペティション部門で審査委員特別賞・特殊効果賞を受賞するなど、各国のジャンル映画祭を席巻。極悪非道な犯罪者役に『パイプライン』(2021)のソ・イングクをはじめ、近年人気の韓国ドラマでお馴染みの俳優たちが集結。凄まじいエンタテインメントをぜひ劇場で楽しんで欲しい。

注目ポイント1:血糊使用量2.5トン! 韓国映画史最強の血生臭さ

画像: 注目ポイント1:血糊使用量2.5トン! 韓国映画史最強の血生臭さ

刑事側に紛れて乗り込んだジョンドゥの一味が起こした暴動を機に始まる、犯罪者VS警察の緊迫バトル。ショットガンに斧や鉈を振り回し、血しぶきが飛び散る中、謎の怪人が参戦するやたちまち異次元の三つ巴の戦いへと化す。いまだかつてないほど、血で血を洗う凄まじいバイオレンス描写には何と2.5トンもの血糊を使用した。

注目ポイント2:ただのサバイバルじゃない! 2段構えの痛快バトル&ドラマ

画像: 注目ポイント2:ただのサバイバルじゃない! 2段構えの痛快バトル&ドラマ

極悪犯たちを貨物船に乗せるところから漂うただならぬ空気。早々に始まる主犯ジョンドウによる凄まじい貨物船の乗っ取り劇が繰り広げられ、刑務所舞台のアクション作品の体を予想しがち。だが、謎の怪人の登場から全く違う様相が見え隠れ、まるで『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)のような驚愕必至の展開が待っている。

注目ポイント3:“キス職人”ソ・イングクが全身タトゥーの凶悪犯に

画像: 注目ポイント3:“キス職人”ソ・イングクが全身タトゥーの凶悪犯に

初主演ドラマ「応答せよ1997」(2012)でブレイクし、近年の「美男堂の事件手帖」(2022)も大ヒットの人気俳優。ロマコメ作品では“キス職人”という異名も持つ。本作では初の悪役を演じるために16kgも増量、筋肉だけでなくぜい肉もつけて体を大きくしたほか、全身に蛇のようなタトゥーを施し、初登場シーンから凶悪ぶりで観る者を圧倒する。

インタビュー:監督/脚本 キム・ホンソン

画像: インタビュー:監督/脚本 キム・ホンソン

キム・ホンソン プロフィール

1976年生まれ。2012年に臓器売買事件を題材にした『共謀者』で映画監督デビュー。その後、『技術者たち』(2014)、『メタモルフォーゼ/変身』(2019)を手掛ける。

──実際の事件をもとにしながら、想像を大きく超えるストーリーですが、どういった発想から生まれたのでしょうか?

日頃から私はニュース番組を見るのが好きで、ある時、2017年にフィリピンに逃走した犯罪者たちを韓国の刑事が逮捕した事件を知ったんです。それで最初の草案を作りましたが、それでは新鮮味がないなと。そのうち、別のニュースで戦時中に行われた軍による人体実験の話を見たんです。それを映画的な題材にし、最初の草案と混ざり合わせて、このストーリーが出来上がりました。

──全編に渡り、容赦ないバイオレンスシーンがありますが、強烈な暴力描写で監督が描きたかったことは何でしょうか?

暴力を極端に描くことで、逆説的に暴力は悪であると伝えたいという思いがありました。とくに、謎の怪人が登場した後は暴力を行使していた側の人間が、暴力で凄絶に命を失っていく。「人間は人間にとって狼だ」という哲学者の言葉があるんですが、私は人間が狼にならず、人間性を保つ社会であって欲しいというメッセ―ジを込めたつもりです。

──次回作の予定は?

本作の評価もあって、アメリカで映画か、TVシリーズを準備中ですが、契約の関係上、詳しくは明かせません。実は僕は日本の役者さん、作品がとても好きです。いつか木村拓哉さん、堺雅人さんを僕の作品でご一緒できないかといろいろとアイデアを練ってます。

『オオカミ狩り』
2023年4月7日(金)公開
2022/韓国/2時間1分/配給:クロックワークス
監督:キム・ホンソン
出演:ソ・イングク、チャン・ドンユン、チョン・ソミン、チェ・グィファ

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