ひとつの事故を発端に陰謀に巻きこまれ、極限まで追い詰められていく刑事とそれを追う謎の監察官。2人が年の瀬に繰り広げる4日間の攻防を群像劇として描く。岡田准一主演の映画『最後まで行く』は2014年に公開された韓国の同名映画のリメイクです。圧倒的な緊張感とスピード感の中にもクスっと笑ってしまうコミカルさもあるオリジナルの展開に、藤井道人監督が深い人間ドラマも加えました。危機、裏切り、罠、そして最後に待ち構える衝撃のラスト……。邦画史上類を見ない、手に汗握る予測不可能のノンストップエンターテインメントに仕上げた藤井道人監督にお話をうかがいました。(取材・文/ほりきみき)

ノンストップムービーのチャレンジの1つとして視点を切り替えた

──本作は2014年に公開された韓国の同名映画のリメイクとのことですが、どのように取り組まれたのでしょうか。

まずは脚本を担当された平田(研也)さんが作ったプロットを読みました。それからオリジナル作品である韓国版を見たのです。韓国版は正解みたいなもの。その正解に引っ張られるのは嫌なので、最初は見ないままでいようかと思っていたのですが、やはり敬意は表したいですから。

「リメイクするなら、韓国版のここは解決しないといけない」という部分はすでにプロデューサーの方々がまとめておいてくださっていたので、僕自身はあまり気にせず、韓国版の面白いところだけしっかりいただきながら、まったく新しい作品を作るつもりでトライしました。

画像: 藤井道人監督

藤井道人監督

──韓国版は追い詰められる刑事の話になっていますが、本作では追い詰められる刑事の工藤祐司だけでなく、追い詰める矢崎貴之や工藤に轢かれた尾田創、さらに新しいキャラクターについても丁寧にキャラクターが作られ、いろんな意味で追い詰められた人たちの群像劇になっています。この構想はいつ頃、何をきっかけに思いつかれたのでしょうか。

韓国版の良さはエナジーだけで突き進む面白さでしたが、自分が作品を作る上で大事にしているのは人をちゃんと描くこと。大晦日までの4日間に起きた受難をきちんと描きたいと思ったときにA面、B面みたいな構成が思い浮かびました。視点を切り替えるというのはノンストップムービーのチャレンジの1つとしては面白いのではないかと思ったのです。そうしたら全員描きたくなってきました。人はみんな理由があって行動しています。その理由が偶然的に降りかかってしまうところは脚本の段階から意識しました。

A面、B面にするというコンセプトが決まった後に、粗のような細かいところを警察の監修の方にチェックしていただいたり、取材をしたりして直していきました。脚本はかなりじっくり1年ほど時間を掛けて執筆しました。

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