本年度トニー賞受賞『エンジェルス・イン・アメリカ』ほか、すでに初公開が終わっているナショナル・シアター・ライブの数々の傑作を一気に楽しめる特別上映イベント、“シネ・リーブル池袋 NTLiveアンコール夏祭り”の実施が決定した。

トニー賞受賞の「エンジェルス・イン・アメリカ」ほか豪華ラインナップ

ナショナル・シアター・ライブ2018ラインナップの『エンジェルス・イン・アメリカ』が先日のトニー賞にて見事3部門受賞(演劇リバイバル作品賞、演劇主演男優賞、演劇助演男優賞)した嬉しいニュースもあり、ナショナル・シアター・ライブについて多くの方から「どこで観られるのか」という問い合わせが相次いでいるという。7月6日からは2018年の新作『アマデウス』がTOHOシネマズ 日本橋ほかで公開になるが、すでに公開が終わっている傑作を一気に見られる特別上映イベント“シネ・リーブル池袋 NTLiveアンコール夏祭り”が実施。

今回は、『エンジェルス・イン・アメリカ』だけでなく、過去トニー賞受賞作である『スカイライト』(演劇リバイバル作品賞)、『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(演劇作品賞、演劇演出賞、演劇主演男優賞(*ただし、NTLiveのキャストとは別)、演劇照明デザイン賞、演劇装置デザイン賞)や『ザ・オーディエンス』(演劇 主演女優賞、助演男優賞)、そして『一人の男と二人の主人』(主演男優賞)も上映され、この機会にトニー賞受賞作を見比べる楽しさをぜひ味わってみては? 上映ラインナップは以下のとおり。

画像: 『ハムレット」 (c) JOHAN PERSSON

『ハムレット」 (c) JOHAN PERSSON

『誰もいない国』 2018/7/13(金)〜7/19(木)
原題:No Man’s Land / 尺:約2時間30分
作:ハロルド・ピンター(ノーベル文学賞受賞者)
演出:ショーン・マサイアス(『ベント』)
出演:イーアン・マッケラン、パトリック・スチュアート、オーウェン・ティール、
   ダミアン・モロニー
概要:ある夏の午後、パブで飲んでいた年老いた作家ハーストとスプーナーは酒が進むにつれ会話が誇張され、事実と空想の境がわからなくなっていく。やがてパワーゲームと化した彼らのやり取りは、二人の若者の登場でより複雑になっていく??。ノーベル文学賞に輝いた劇作家ハロルド・ピンターの1975年初演作。過去の背景や現在の関係性、力関係の分からない男たちの会話劇で、“イギリスの宝”ともいうべき名優イアン・マッケランとパトリック・スチュワートが共演。超豪華な二人の演技対決は必見だ。

『エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく』 
『エンジェルス・イン・アメリカ 第二部 ペレストロイカ』 
    2018/7/20(金)〜7/26(木)(同時期に2部作両方を上映)
原題:Angels in America Part 1 : Millennium Approaches / 尺:3時間40分(休憩15分が二回) 
原題:Angels in America Part 2 : Perestroika / 尺:4時間20分(休憩15分が二回)
作:トニー・クシュナー
演出:マリアン・エリオット
出演:アンドルー・ガーフィールド、ネーサン・レーン、デニース・ゴフ、スーザン・ブラウン
概要:エイズが同性愛者のがんと認識されていた80年代のNYを舞台に同性愛者とその周囲の人々を描く2部作。

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』2018/7/27(金)〜8/2(木)
原題:Rosencrantz & Guildenstern Are Dead / 尺:2時間45分(休憩20分含む)
作:トム・ストッパード
演出:デーヴィッド・ルヴォー
出演:ダニエル・ラドクリフ、ジョシュア・マグワイア、ルーク・マリンズ、デーヴィッド・ヘーグ
概要:「ハムレット」で端役の二人を主人公にした喜劇

『ハムレット』2018/7/27(金)〜7/28(土)*2回限定上映
原題:Hamlet / 尺:3時間27分(休憩含む)
作:ウィリアム・シェークスピア
演出:リンジー・ターナー
主演:ベネディクト・カンバーバッチ
内容:オリヴィエ賞最優秀演出賞ノミネート歴をもつ精鋭の女性演出家ターナーによる、舞台の奥行を活かしたダイナミックな演出は、劇場の空間でありながら大作映画に匹敵する躍動感が溢れる。本作でタイトルロールを演じたベネディクトは、彼特有の個性を評価されながら、同時に歴代の「ハムレット」俳優に匹敵する名演が賞賛された。チケット発売即日で10万枚完売した歴史に残るヒット舞台。

『お気に召すまま』2018/7/29(日)〜7/30(月)*2回限定上映
原題:As You Like It / 尺: 3時間20分
作:ウィリアム・シェークスピア
演出:ポリー・フィンドレー(『宝島』)
出演:ロザリー・クレーグ、ジョー・バニスター、パッチ・フェラン
概要: 弟に領地を奪われ、アーデンの森で暮らす元侯爵。その娘ロザリンドもまた、現侯爵である伯父に追放され、従妹シーリアとともにアーデンの森へ。ロザリンドに恋をしていたオーランドも訳あってアーデンの森へ行き、そこで身を守るために男として生きるロザリンドと出会う??。男装した娘と騎士の恋の駆け引きを牧歌的雰囲気で描いた、シェークスピアの人気喜劇。『三文オペラ』でロリー・キネアーの相手役を務めたロザリーが、“男装の麗人”ロザリンドに扮する。森を斬新に表現したリジー・クラチャンの舞台美術にも注目!

2018/7/31(火)*1回限定上映
『ヘッダ・ガーブレル』
原題:Hedda Gabler  尺:2時間34分(休憩含む)
作: ヘンリック・イプセン(『人形の家』)
脚色: パトリック・マーバー(『ディーラーズ・チョイス』『クローサー』)
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ(『橋からの眺め』『るつぼ』『ラザルス』)
出演: ルース・ウィルソン、レーフ・スポール
概要: 故ガブラー将軍の娘ヘッダは、美しく勝気な女性。自由奔放な彼女は、研究者のテスマンとの結婚生活に窮屈を感じ、かつての恋人レーヴボルグら自分を取り巻く人々の充実した生活への羨望や嫉妬から、ある行動に出る??。NTLive『橋からの眺め』で、世界に大きな衝撃を与えた鬼才イヴォ・ヴァン・ホーヴェがイプセン劇を演出。過去にイングリッド・バーグマンやイザベル・ユペール、マギー・スミス、ケート・ブランシェットら名だたる女優たちが演じてきたヒロイン・ヘッダ役を、過去に2度ローレンス・オリヴィエ賞に輝く実力派ルース・ウィルソンが演じる。

『青く深い海』2018/8/1(水)〜8/2(木)*2回限定上映
原題:The Deep Blue Sea  尺: 2時間31分
作:テレンス・ラティガン
演出:キャリー・クラックネル(『人形の家』、『メディア』)
出演:ヘレン・マクローリー、トム・バーク
概要: 第二次世界大戦後のロンドン。何不自由なく夫と暮らしていたヘスターだったが、若い元空軍パイロットのフレディに心を奪われ、駆け落ちしてしまう。しかし、フレディの愛の物足りなさに失望した彼女は??。20世紀イギリスを代表する劇作家テレンス・ラティガンの1952年初演作。過去に二度も映画化され、ヴィヴィアン・リーとレーチェル・ワイズといった実力派女優が演じたヘスター役に挑むのは、NTによる舞台『メディア』(14年)での熱演が記憶に新しいヘレン・マクローリー。

『スカイライト』2018/8/3(金)〜8/9(木)
原題:Skylight 尺:2時間42分
演出: スティーヴン・ダルドリー
作:デーヴィッド・ヘアー
出演: ビル・ナイ、ケアリー・マリガン
デーヴィッド・ヘアー作の「スカイライト」を「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリーが演出し、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」のビル・ナイと「華麗なるギャッツビー」のマリガンが主演。二人が織りなす複雑な人間ドラマを、人気デザイナーのボブ・クローリーが手がける舞台美術が彩る。現在ブロードウェイで上演中の本作は、上演劇場の興行記録を塗り替える大ヒットとなっている。

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』2018/8/3(金)〜8/9(木)
原題:The Curious Incident of the Dog in The Night-Time 尺:約2時間51分(休憩含む)
原作:マーク・ハッドン(ガーディアン賞受賞)
脚色:サイモン・ステファンズ
演出:マリアンヌ・エリオット
主演:ルーク・トレッダウェー
内容:並外れた頭脳をもつ15歳のクリストファーは、その才能を活かして隣人シアーズさんの犬を殺害した犯人を探そうとする。2013年のオリヴィエ賞で作品賞を含む主要7部門(最優秀プレイ賞、最優秀演出賞(マリアンヌ・エリオット)、最優秀主演男優賞(ルーク・トレッダウエー)、最優秀助演女優賞(ニコラ・ウォーカー)ほか)を独占し、ブロードウェイ公演では第69回トニー賞プレイ部門最優秀作品賞や最優秀演出賞などを受賞した。

『一人の男と二人の主人』2018/8/10(金)〜8/16(木)
原題:One Man, Two Guvnor 尺:3時間9分(休憩含む)
作:リチャード・ビーン(『グレイト・ブリテン』)
演出:ニコラス・ハイトナー(『ミス・サイゴン』)
出演:ジェームズ・コーデン、トム・エデン
概要:1960年、イギリス南東部の街。主人公フランシスは地元のギャング ロスコ?と、悪名高い犯罪者スタンリーの二人に雇われているが、その事実を主人たちは知らない。二人が鉢合わせしないように右往左往するフランシスだが??。伊の作家カルロ・ゴルドーニの戯曲がもとの抱腹絶倒のドタバタ・コメディー。2011年初演で大好評を博し、ウエストエンドでロングランを記録。ブロードウェイでは、2012年のトニー賞7部門(主演男優賞・助演男優賞(トム・エデン)・演出賞・楽曲賞・舞台デザイン賞・装置デザイン賞・音響デザイン賞)で候補に。ジェームズ・コーデンが見事最優秀主演男優賞を獲得した。

『オーディエンス』2018/8/17(金)アンコール祭りクロージング作品(1回限定上映)
原題:The Audience 尺: 2時間32分
演出: スティーヴン・ダルドリー
作:ピーター・モーガン
出演: ヘレン・ミレン、ジェフリー・ビーヴァーズ、リチャード・マッケーブ、ジョナサン・クート
映画「クイーン」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンが再びエリザベス2世に扮した本作は高い評価を受け、2013年ローレンス・オリヴィエ賞プレイ部門でミレンが最優秀主演女優賞、リチャード・マッケーブが最優秀助演男優賞を受賞した。本年ニューヨーク、ブロードウェイへの進出では両人とも見事にトニー賞を受賞。この舞台にインスパイアされたドラマシリーズも製作中という、各方面から注目されている舞台だ。1952年の即位以来続く英国首相と女王の謁見を描く本作は、本来見ることのできないクイーンのふつうの人間としての一面を垣間見せる、秀逸なドラマになっている。

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