なお、東京・新宿シネマカリテで2021年5月14日からの公開とされていたが、6月4日からに変更された。他全国順次公開。
映画史に残る数々の名作を生み出したロベール・ブレッソン。『罪の天使たち』(1943)、『ブローニュの森の貴婦人たち』(1945)に続く長編第3作目にあたる本作は、ブレッソン作品を特徴づける、職業俳優を排して素人を起用し、音楽やカメラの動きなども含めたいわゆる「演出」を削ぎ落としていくスタイル—監督自らが「シネマトグラフ」と呼ぶ手法—を確立した作品だ。
原作はのちに『少女ムシェット』(1967)でも取り上げるカトリック作家ジョルジュ・ベルナノスによる同名小説。公開当時ゴダールやトリュフォーを魅了し、『タクシー・ドライバー』(1976年)や『魂のゆくえ』(2017)などその後の多くの作品に影響を与えたと言われる伝説的な作品である。
北フランスの寒村に赴任した若い司祭。彼は身体の不調を覚えながらも、日々村人たちの悩みを聞き、布教と善行に務める。しかし、彼の純粋な信仰への思いは村人たちとの間にしだいに溝を作っていくことになり、事態は思いもよらぬ方向へ進んでいく…。ブレッソンはベルナノスの世界を忠実に再現し、司祭が綴る日記を通して、神と自己の探究、信仰への懐疑や迷いに苦悩する姿を映し出していく。
監督・脚本:ロベール・ブレッソン
原作:ジョルジュ・ベルナノス『田舎司祭の日記 Journal d'un curé de campagne』
出演:クロード・レデュ、ジャン・リヴィエール、アンドレ・ギベール、ニコール・モーレイ、ニコル・ラドミラル
提供:マーメイドフィルム/配給:コピアポア・フィルム
1951年/ フランス / 115分 / モノクロ / スタンダード ©1950 STUDIOCANAL