初開催の「香港映画祭2021」でしか観られない、日本初公開の注目ラインナップ
「香港映画祭2021」は大阪シネ・ヌーヴォを皮切りに、出町座(京都)、元町映画館(兵庫)、名古屋シネマスコーレ(愛知)、ユーロライブ(東京)にて開催されることになった。
2020年に施行された「香港国家安全維持法」により、香港の映画への検閲、規制はますます厳しくなり、香港の言論と表現の自由が一段と狭まる事態が懸念されている。しかしそうした中でも、社会の変化を反映し、映画人たちの豊かな感性によって、多くの魅力ある作品が生み出されている。
2021年6月より開催された、「2021年香港インディペンデント映画祭」は全国3都市において開催され、大きな話題を呼んだ。そして今回、初開催となる「香港映画祭2021」は、より香港映画の面白さと、多様な魅力を味わえる、日本初公開となる7作品をラインナップしている。
酒と女に溺れる小説家、セレブ女優の逃避行、時代に翻弄される野球チームを描くスポ魂映画から、
カンヌ国際映画祭サプライズ上映で話題となった、『時代革命』の監督が描く、ラブストーリーまで。香港を知る、香港を楽しむ、いま観るべき7作品がそろった。5作品が新人監督の作品でありながら、ジャッキー・チュン、カリーナ・ラムなど、香港を代表するベテラン俳優が出演しており、香港映画ファン必見!
香港映画祭2021年に寄せて リム・カーワイ
リム・カーワイ(映画監督、香港映画祭2021キュレーター)
香港の言論と表現の自由が、中国により益々厳しくなっていると、最近懸念されている。もちろん映画業界への影響も計り知れない。特にクリエイターやスタッフ、俳優たちは香港映画の独自性とアイデンティティーについて、より深く考え始めている。また、従来の映画会社も娯楽だけのメジャー映画ではなく、もっと香港人の日常生活に寄り添うような映画を企画・製作するようになってきている。政治的な影響は、皮肉なことに香港映画の製作形態、内容、ジャンルをさらに豊かに、さらに強靭にした可能性がある。香港映画の魅力はエンターテインメントだけではなく、社会の変化、日常生活の問題などに真剣に取り組むという温かい眼差しであり、さらにその豊かな表現力の中にある。
初開催となる「香港映画祭2021」は、最近の香港の変化を反映して作られた商業映画を紹介し、香港映画のアイデンティティーを強く意識した映画たちに焦点を当てる。上映される7作品の内、新人監督のデビュー作が5作品も含まれている。香港のベテラン、スター俳優の新たな魅力を引き出した、新人監督たちの力量には驚くべきものがある。本映画祭の開催により、ぜひ香港映画の底力を感じていただき、日本の観客にもっと香港映画の魅力を知ってもらい、香港と日本の文化交流がより深く、より豊かなものになればと期待している。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、地方のミニシアターの経営と番組編成が大変厳しくなっているのも事実である。関西と名古屋のミニシアターと本映画祭を共催することにより、映画文化の多様化に貢献するだけでなく、少しでも映画館が活気を取り戻して、盛り上げることができれば、まさしく本望である。
映画祭概要
香港映画祭2021
2021年11月27日より全国5都市にて順次開催!
11月27日(土)~12月3日(金)シネ・ヌーヴォ(大阪)
12月3日(金)~12月9日(木)出町座(京都)
12月11日(土)~12月17日(金)元町映画館(兵庫)
12月18日(土)~12月24日(金)シネマスコーレ(愛知)
12月29日(水)、30日(木)ユーロライブ(東京)