併せてポスタービジュアルを解禁
1975年にローマ郊外で非業の死を遂げて45年以上の時を経た今もなお、世界中のシネフィルに支持される異才ピエル・パオロ・パゾリーニ。2022年3月5日に生誕100年を迎えるのを記念し、日本国内においては1970年の劇場初公開以来、映画祭以外では上映される機会のほとんどなかった2作品がスクリーンに甦る。
“スペシャーレ1” は、現在公開中の映画『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』にも出演しているイギリスの名優テレンス・スタンプ主演の『テオレマ4Kスキャン版』。謎の《訪問者》によって次第に狂わされるブルジョワ一家を描いたパゾリーニ代表作の1本で、公開時は《訪問者》の解釈を巡って大論争を巻き起こした。共演には、当時ジャン=リュック・ゴダールの妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキー、『家族の肖像』のシルヴァーナ・マンガーノなど。イタリアが生んだ名作曲家、エンニオ・モリコーネが音楽を手掛けている。第29回ヴェネチア国際映画祭で最優秀女優賞(ラウラ・ベッティ)と同時に国際カトリック映画事務局賞を受賞したことで、イタリア・カトリック界で物議を醸し、猥褻罪に問われて裁判に発展。その後パゾリーニは無罪となり、裁判沙汰も手伝って映画は大ヒットとなった。今回は2020年に米クライテリオン社によってなされた、オリジナルネガからの4Kスキャンによる修復版での公開となる。
“スペシャーレ2”は、20世紀が誇るディーヴァマリア・カラスとの奇跡のコラボレーションによって生まれた1969年の『王女メディア』。『アポロンの地獄』(67)で初めて古代ギリシャを題材にとったパゾリーニが、エウリピデスのギリシャ悲劇「メディア」を元に再び神話世界を映像化したものだ。一切の映画出演オファーを断り続けていたマリア・カラスが「この映画だけは断れない」と出演を承諾した唯一の映画主演作となっている。トルコ・カッパドキアの岩窟群やピエロ・トージによる美しい衣装も見どころだ。
併せて2作品のポスタービジュアルも解禁。『テオレマ』はテレンス・スタンプ演じる謎の《訪問者》の妖しい魅力溢れるカットを、『王女メディア』はマリア・カラス演じるメディアの鬼気迫る表情が印象的なカットを使用。「この、聖なるもの。」「あるいは、愛の過剰さについて。」というそれぞれのコピーによってパゾリーニ独特の世界観がさらに際立つポスターが完成した。
『テオレマ4Kスキャン版』『王女メディア』は3月4日(金)より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次ロードショーされる。
『テオレマ 4Kスキャン版』(c) 1985 - Mondo TV S.p.A.
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