当初4月に公開を予定していた映画『糸』が、4ヵ月の延期を経て8月21日に公開を迎える。公開を前にW主演の菅田将暉と小松菜奈、そして瀬々監督が登場し、作品への想いや撮影エピソードを語った。
本作は、中島みゆきの名曲「糸」に着想を得て制作されており、北海道、東京、沖縄、シンガポールを舞台にした壮大な愛の物語。
北海道で生まれ育ち、地元のチーズ工房で働く青年・高橋漣を菅田将暉が演じ、中学生の時に漣と運命的に出会いを果たすも家庭の事情で漣と離ればなれになる少女・園田葵を小松菜奈が演じている。
公開を前にした心境
菅田将暉
舞台挨拶は、毎年何本もやらせていただいていて、MAX多い時、年間9本公開していたので、毎月舞台挨拶だなーという日々だったんですけど、今日は久々で緊張しますね、あんなに慣れていたはずなのに。ありがたい気持ちでいっぱいですし、変な感じがします。
小松菜奈
私たちの仕事は人と人とのつながりでお仕事させていただいてるし、人がいないと動けない仕事なので、素直に公開できるのはうれしいことですし、映画が公開されることが当たり前じゃないと改めて考えを正されました。コミュニケーションが恋しくなるという時間がすごくありました。
コロナ禍において公開されるということについて
瀬々敬久監督
今はお盆ですけど、お墓参りに行けなかったり、遠慮しなくてはいけなかったり、ダイレクトに人と人とが出会ったり、つながったりすることがはばかられる時代になっています。だからこそ、中島みゆきさんの「糸」という、人と人とのつながりや縁、そういうことの素晴らしさをうたった歌を映画化した作品ですけど、みなさんにその大切さを訴えるいい機会になると思いますし、今だからこそつながりの素晴らしさが伝わればいいと思います。今だからこそ観てほしい映画という気がしています。
菅田×小松:3度目の共演
共演3度目となる菅田将暉と小松菜奈の様子をMCから振られた瀬々監督は「やはりツーカーというかそういう感じを受けました。待ち時間とか親しそうにしていました。ただ、芝居が始まると馴れ合いにならないように2人で演っていて、新しいところにいきたいというような感じを常に目指しているような感があって素晴らしいなと思いました。決して馴れ合いにはしないぞ、違うところにいこうよ、2人でみたいな芝居作りを常に挑んでいたとこはいいなと思いました。」
それを受けて菅田は「ツーカーはツーカーなんでね。今回、同じシーンがあまりなくて、幼少期の思い出ありきの芝居だったので、はじめましての人でなくて良かったと思いました。過去作で首絞めあったり、顔面につば吐いたりした作品とかの思い出が効いてきたのかなという感じはありました。」と語ると、それに対し小松は「今まで激しい作品が多かったので、王道というかラブストーリーということで、逆にいろんな作品を経て私たちはどう変化していったのかなとか、どう糸をみせるのかなというのも、おもしろさもあって、ご一緒できてうれしかったです。」と述べた。
共演してきての変化、発見:菅田「(小松が)いっぱい差し入れしてくれた」
3度の共演経験となった今作でお互いの変化や発見があったかをたずねられると、菅田は「いっぱい差し入れしてくれましたね。前は余裕もそんなになかったんじゃないのかなという印象で、撮影の合間にあまり会話をした記憶もなくて、今回はスイッチングと言うか我々俳優部としての仕事として、お芝居をする、カメラの前に立つ仕事以外にも、僕らにしかできないケアみたいなこともあると思うので、主演感・俳優感は感じましたね。」とコメント。
印象に残った差し入れを求められると、「エキストラさんがたくさんいらっしゃって寒いシーンがあったんですけど、(小松さんが)制作陣の人と話していて聞いていると”寒いから豚汁とかできないですかね、私北海道に知り合いがいるのでレストランの方に電話して食材を調達できないか聞いてみます”と言っていて頼りになるなと思いました。結果、火が使えない使えるか問題でできなかったんですけど、豚汁案は捨てて”お菓子買いにいきます”みたいな感じでカッコよかったです。できる人でしたね。」とエピソードを披露した。
「その時は船のシーンで、エキストラさんもたくさんいらっしゃって、寒い中、協力していただいていたので、何かできることがあればいいなと思ってましたね」と小松。
新たな発見:小松「(菅田が)いいお父さんになるんだなと思いました」
菅田の変化をたずねられると「うーん、そんなにすごい変わったことはなかったんですけど、今回(菅田が)父親役として演じたのが初めてと言っていたので、子ども役(結役)の子どもたちがすごくかわいくて、ずっと”カワイイ、カワイイ”と毎日その話をしているくらいの父親の顔をしていたというか、そういう部分はこれまでの役ではなかったので、私も30代の役は初めてでしたし、大人になってきているんだなと思いました。子どもが好きとは聞いていたんですけど、愛情たっぷりで現場でも結ちゃんが飛びついてきたり、父親みたいな一面が見られて新しい部分だなと思いました。全力で向かっていたので、いいお父さんになるんだなと思いました。」と回顧。
「あれはかわいいですよー。(お父さん役も子どもと向き合う役は初めてで)正直不安ではありましたけど、現場に行ってみると娘役の結ちゃんたちがかわいくて、アドリブで鼻とか食べてやろうかなと。でも本当のお母さんも見てるしなと思って気にしました。」と目尻を下げながら当時を振り返った。
中島みゆきからのリスエストとは
「決して悲しいだけのエンディングにはしないでください。幸福な物語にしてください。」と中島みゆきからリクエストがあったことが、瀬々監督から明かされた。
菅田将暉、小松菜奈からメッセージ
菅田将暉
4か月越しにやっと公開できるということで、心から感謝しています。1つのエンターテインメントとして楽しんでいただけたらこれ以上ないなという気持ちでいっぱいです。映画館でお待ちしております。
小松菜奈
今いろんなことを経て、この映画であらためてそれぞれの仕合わせだったりとか、今何が大切かをぜひこの映画を観て感じてもらえたらいいなと思います。ぜひ映画館でご覧ください。
STORY
平成元年生まれの高橋漣と園田葵。
北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。
そんなある日、葵が突然姿を消した。
養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。
真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。
しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまう。
その後、葵は、母親に連れられて北海道から移ることになった。
漣は葵を見送ることすらできないまま、二人は遠く引き離された…。
それから8年後。
地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。
北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。
もうすでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。
そして10年後、平成最後の年となる2019年。
運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた…
映画『糸』
2020年8月21日(金)全国公開
菅田将暉 小松菜奈
山本美月 高杉真宙 馬場ふみか / 倍賞美津子 /
永島敏行 竹原ピストル・二階堂ふみ(友情出演)
松重 豊・田中美佐子 山口紗弥加 / 成田 凌
斎藤 工 榮倉奈々
Inspired by 中島みゆき「糸」
原案・企画プロデュース:平野 隆
脚本:林民夫
監督:瀬々敬久
音楽:亀田誠治
©2020映画『糸』製作委員会
公式サイト :https://ito-movie.jp/